はじめに
共同生活援助(グループホーム)では、地域との連携やサービスの質の確保を目的として、地域連携推進会議の開催が求められています。
令和8年10月30日に開催された障害福祉報酬改定検討チームでは、この地域連携推進会議について、開催頻度を現在のおおむね年1回以上から、おおむね年2回以上に見直す案が示されました。
あわせて、事業所が行う自己評価の結果について、地域連携推進会議で外部評価を行う仕組みも検討されています。
今回は、地域連携推進会議の現在の取扱いと、令和9年度報酬改定に向けた検討内容、新規開設を考える際の注意点を整理します。
なお、年2回への見直しや外部評価の仕組みは、令和8年10月30日時点の検討案であり、決定したものではありません。
1.地域連携推進会議は年2回になる?

地域連携推進会議は、グループホームの利用者や家族、地域の関係者などが参加し、事業所の運営状況について報告を受け、意見や助言を伝える会議です。
現在、事業者には、原則として、おおむね年1回以上、事業の運営状況を報告し、要望や助言等を聴く機会を設けることが求められています。
令和9年度報酬改定に向けた検討では、地域連携推進会議について、従来の役割に加え、事業所が行った自己評価に対する外部評価を行う場とする案が示されました。
そのうえで、事業運営に関する意見交換と外部評価のそれぞれについて、十分な議論の機会を確保するため、開催頻度をおおむね年2回以上に見直してはどうかとされています。
現時点では、会議の回数や具体的な実施方法、適用時期などは決まっていません。今後の議論や正式な基準を確認する必要があります。
2.現在の地域連携推進会議で求められていること
地域連携推進会議は、グループホームの運営やサービスの内容を地域に開き、地域との連携や利用者の権利擁護につなげることなどを目的としています。
会議の構成員には、次のような方が想定されています。
- 利用者やその家族
- 地域住民の代表者
- 共同生活援助について知見を有する方
- 市町村の担当者など
現在、事業者には、原則として次の取組が求められています。
- 地域連携推進会議を開催し、おおむね年1回以上、事業の運営状況を報告して、要望や助言等を聴く
- 会議の開催とは別に、おおむね年1回以上、会議の構成員が事業所を見学する機会を設ける
- 会議での報告や要望、助言等について記録を作成し、公表する
会議の記録の作成・公表は、今回の改定案で初めて示されたものではなく、現在も求められている取組です。
また、会議の開催と、構成員による事業所の見学は、それぞれ別に定められています。今回の資料では会議を年2回以上とする案が示されていますが、見学も年2回にすると示されているわけではありません。
なお、一定の外部評価とその実施状況の公表等を行っている場合には、地域連携推進会議の開催等に関する規定が適用されない取扱いがあります。適用の可否については、指定権者に確認する必要があります。
3.なぜ年2回への見直しが検討されているのか

今回の検討資料では、共同生活援助の支援の質を継続的に評価し、改善するための仕組みを整えることが課題とされています。
現在の指定基準でも、共同生活援助事業者には、提供するサービスの質を評価し、常に改善を図ることが求められています。
一方、国は、質の評価・改善について、具体的な実施方法や実施状況を確認する仕組みが十分に整備されておらず、事業所ごとの取組状況にばらつきがあるとしています。
そこで示されたのが、事業所の運営や支援の質を継続的に確認・改善するため、次の仕組みを事業所の運営に関する基準に位置付ける案です。
- 事業所による自己評価
- 自己評価の結果に対する、地域連携推進会議での外部評価
- 評価結果の公表
これらは、新規指定を受ける前にすべて実施するという意味ではありません。 新規事業所がいつまでに初回の評価を行うかなどは、今後示される正式な取扱いを確認する必要があります。
一方、地域連携推進会議については、現在のガイドラインでも、指定申請時にすでに設置されているか、確実な設置が見込まれることが必要とされています。新規開設を考えている場合は、会議の構成員や設置に向けた準備について、指定権者に事前に確認しましょう。
地域連携推進会議には、これまでの事業運営に関する要望や助言を聴く機能に加え、外部評価を行う役割を持たせることが検討されています。
国は、事業運営に関する意見交換と外部評価のそれぞれについて、十分な議論の機会を確保するため、開催頻度をおおむね年2回以上に見直してはどうかとしています。
ただし、今回の資料には、現在の年1回の会議でどの程度議論が不足しているのか、年2回が必要とされる具体的な調査結果までは示されていません。
そのため、「現在の年1回では不十分と判断され、年2回に決まった」ということではなく、会議に外部評価の役割を加えることに伴う検討案として捉える必要があります。
4.自己評価・外部評価はどのように行う?
(1)事業所が行う「自己評価」
厚生労働省は、令和8年2月に「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」と、別紙の自己チェックシートを示しています。
自己チェックシートは、事業所が運営状況や提供しているサービスを振り返るためのものです。
例えば、次のような内容を確認します。
- 必要な職員を配置し、適切な勤務体制を確保しているか
- 共同生活住居の設備が基準を満たしているか
- 利用者の状況や希望を踏まえた支援を行っているか
- 虐待防止や身体拘束の適正化に取り組んでいるか
- 地域との交流や関係機関との連携を図っているか
自己チェックシートには、各項目に対する回答のほか、事業所が工夫している点や、改善が必要と考える点などを記入する欄があります。
国は、自己評価の結果を事業所内で共有し、サービスの改善に向けて検討するとともに、地域連携推進会議での報告などに活用することを案内しています。
(2)地域連携推進会議で行う「外部評価」
今回の見直し案では、事業所が行った自己評価について、地域連携推進会議で外部評価を行うことが検討されています。
事業所内での振り返りに加え、外部の視点からサービスの内容や課題を確認することで、改善に向けた取組につなげることが想定されています。
また、外部評価の客観性や実効性を確保するため、会議には、市町村職員、基幹相談支援センター職員、共同生活援助に知見のある公正・中立な第三者等の参加を求めることも検討されています。
ただし、誰の参加が必須となるのか、どのような方法や様式で評価を行うのかは、現時点では確定していません。
今回示されたのは、地域連携推進会議を活用する外部評価の案であり、すべての事業所が有料の第三者評価機関に依頼することが決まったものではありません。
また、検討資料では、会議での評価に伴う負担を考慮し、現在の自己チェックシートの項目を絞って活用するイメージも示されています。具体的な取扱いは、今後の検討を確認する必要があります。
(3)評価結果の公表
今回の案では、自己評価と外部評価の結果を公表することも検討されています。
公表方法としては、利用者や家族への提供に加え、次のような方法が示されています。
- 障害福祉サービス等情報公表システムへの掲載
- 法人ホームページへの掲載
- 事業所内の外部の方にも確認しやすい場所への掲示
公表する内容や具体的な方法については、今後の正式な取扱いを確認する必要があります。
5.新規開設を考える事業者が確認したいこと

これからグループホームの新規指定を考えている場合は、開設後に地域連携推進会議を運営できるよう、指定申請の準備段階から会議の構成員や開催方法を検討しておくことが大切です。
国のガイドラインでは、新規指定時の地域連携推進会議の設置に関する確認事項が示されています。
例えば、次のような点を開設準備の中で整理しておくことが考えられます。
- 地域住民の代表者など、どのような方に参加を依頼できるか
- 共同生活援助について知見のある方に相談できるか
- 開設後、会議の日程調整や資料作成を誰が担当するか
- 会議の記録をどのように作成し、公表するか
指定申請の段階では、利用予定者や家族がまだ決まっていない場合もあります。
申請時にどの程度まで準備状況を示す必要があるか、どのような資料が必要かは、開設予定地を管轄する指定権者に事前に確認しましょう。
なお、令和9年度に向けては、地域連携推進会議の見直しのほか、共同生活援助の管理者に関する資格要件の導入も検討されています。
こちらも新規開設時の人選に関わる可能性があるため、開設予定時期に適用される正式な基準や経過措置を確認することが大切です。
大阪市でグループホームの開設を考えている場合は、開設までの流れや事前に確認したい事項について、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 大阪市におけるグループホーム開設のスケジュール感と留意点
6.令和9年度報酬改定に向けて今後確認したいこと
今回の検討案について、事業者様が今後確認したい主な点は、次のとおりです。
- 地域連携推進会議の開催頻度が、おおむね年2回以上に見直されるか
- 自己評価・外部評価をどのような方法で行うか
- 外部評価を行う会議の構成員に、どのような要件が設けられるか
- 評価結果の公表方法や公表する内容
- 新規・既存の事業所への適用時期や経過措置
- 現在の外部評価等による会議開催等の適用除外が、改定後にどのように扱われるか
また、日中サービス支援型共同生活援助については、新しい自己評価・外部評価の仕組みが設けられることを前提に、現在の協議会等による評価等を廃止する案も示されています。
いずれも現時点では検討段階のため、今後公表される告示や通知等を確認する必要があります。
令和9年度報酬改定に向けて検討されている、新規指定や基本報酬の見直しについては、こちらの記事で整理しています。
▶ 障害福祉サービスの指定申請・新規開業はどう変わる?|令和9年度報酬改定と基本報酬の見直し
まとめ|現在の取組を確認し、今後の改定情報に注意する
共同生活援助(グループホーム)の地域連携推進会議は、現在、原則としておおむね年1回以上の開催が求められています。
令和9年度報酬改定に向けた検討では、会議に自己評価に対する外部評価の役割を加え、開催頻度をおおむね年2回以上に見直す案が示されました。
ただし、会議の回数や外部評価の方法などは、まだ決定していません。
事業者様においては、現在の基準に基づく会議の開催や記録の公表等を確認するとともに、新規開設を考えている場合は、指定権者に会議の設置準備について相談しながら、今後の改定情報を確認しておくことが大切です。
(参考資料)
1.「自立訓練、自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、地域生活支援拠点等、共同生活援助、強度行動障害の状態にある者等への支援に係る報酬・基準について」(令和8年10月30日、第67回障害福祉報酬改定検討チーム)(厚生労働省)
主に122~123ページを参照。共同生活援助の質の評価・改善、地域連携推進会議の開催頻度、評価結果の公表等に関する検討内容が示されています。128ページでは現在の指定基準、132ページでは自己評価・外部評価のイメージを確認できます。
2.「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」(令和8年2月)(厚生労働省)
共同生活援助の運営や支援に関する考え方、自己評価、地域連携推進会議などを確認できます。
3.「共同生活援助に関する資料一覧」(厚生労働省)
共同生活援助のガイドラインや自己チェックシート、地域連携推進会議に関する資料などを確認できます。
4.「障害福祉サービスの質の確保について」(令和8年6月5日、社会保障審議会障害者部会第156回・資料3)(厚生労働省)
16ページで、共同生活援助の管理者の資格要件や経過措置に関する検討案を確認できます。
※本記事は、令和8年10月30日時点で公表されている資料に基づいています。令和9年度報酬改定に関する事項は検討段階の内容を含み、今後変更される可能性があります。