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グループホーム・共同生活援助

【実務確認】令和8年6月施行「新・処遇改善加算」直前点検:グループホームの加算率変更と人件費計画への影響

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はじめに

令和8年(2026年)6月1日より、障害福祉サービスにおける処遇改善加算の制度拡充が施行されます。 グループホーム(共同生活援助)を運営する事業所様におかれましても、今回の改定による「加算率の引き上げ」と「対象職員の範囲拡大」は、毎月の人件費計画やシフト管理の根幹に関わる重要な変更となります。 本記事では、6月の新制度施行を目前に控えたこの時期に確認しておきたい改定の要点と、実務上の点検事項を整理いたしました。自社の賃金規程や配分計画が新制度の要件に適合しているか、最終確認のガイドとしてご活用ください。

1.【重要確認】加算率の引き上げと新区分の創設

今回の改定では、障害福祉従事者全体のベースアップを図るため、加算率全体の引き上げが行われます。また、生産性向上等の取組を評価する「上乗せ区分」が新設され、従来の「加算Ⅰ」と「加算Ⅱ」が、それぞれ基本となる「イ」と、上乗せとなる「ロ」に細分化されます。

共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)の加算率の変化

【改定後(令和8年6月~)】

加算Ⅰロ(上乗せ):16.9% ・加算Ⅰイ(基本):16.3% ・加算Ⅱロ(上乗せ):16.6% ・加算Ⅱイ(基本) :16.0% ・加算Ⅲ:14.4% ・加算Ⅳ:12.1%

※加算率は「処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数」に乗じて算定します。

※外部サービス利用型についても、同様の引き上げ幅で加算率の改定が行われます。

今回の改定により、例えば従来の「加算Ⅰ」を取得していた事業所様が、6月以降も同等の要件である「加算Ⅰイ」へ移行した場合、加算率は14.7%から「16.3%」へと引き上げられますさらに生産性向上等の要件を満たして「加算Ⅰロ」を取得すれば「16.9%」となります。 加算率が上がるということは、同じ利用定員・支援日数であっても、受け取る加算総額が増加することを意味します。加算は「全額を職員の賃金改善に充てる」ことが必須のルールとなるため、増加する受取見込額に合わせて、社内の賃金引上げ計画(ベースアップや手当の増額等)を再設計しておくことをおすすめします。

2.対象職員の拡大(障害福祉従事者全般へ)と規程の見直し

従来、処遇改善加算の主な配分対象は直接支援を行う「福祉・介護職員」に限定されていましたが、6月からは「障害福祉従事者」全般へと正式に拡大されます。

事務員等への配分拡大:これにより、グループホームの運営を支える事務職員や、調理・清掃等を担うスタッフ(直接支援以外の世話人など)、送迎の運転手等も、新たに賃金改善の配分対象に含めることが可能となります。事業所全体でのチームワーク向上や、これまで加算を配分できなかった職員様の待遇底上げに繋がる見直しです。

就業規則・賃金規程の再点検:配分対象者を拡大する場合、既存の就業規則や賃金規程における「処遇改善手当等の支給対象者」の定義と、実際の運用にズレが生じないかどうかのご確認をご検討ください。規程上は「生活支援員のみに支給する」となっている状態で事務員へ配分を行うと、運営指導の際に規程違反とみなされる可能性があるため、施行前の改定および職員様への周知をおすすめいたします。

3.上位区分「ロ」算定のための特例要件と「月給配分ルール」

新設された上位区分(加算Ⅰロ・加算Ⅱロ)を算定する場合、令和8年度の特例要件として以下の条件を満たすことが求められます。

生産性向上等の取組:「職場環境等要件の生産性向上に関する取組を5つ以上実施(うち『⑱現場の課題の見える化』と『㉑ICT機器の導入』は必須)」、あるいは「社会福祉連携推進法人に所属していること」のいずれかが必要です。

月給配分の2分の1ルール:上位区分を取得する際の厳格な配分ルールとして、「処遇改善加算Ⅱロ相当の加算額の2分の1以上を、月給(基本給または毎月決まって支払われる手当)で配分すること」が求められます。受け取った加算を年度末の賞与(一時金)だけで還元するのではなく、毎月の固定給の引き上げに確実につなげるための要件です。自社の配分計画がこの「月給2分の1ルール」を満たす設計になっているか、改めての試算をおすすめします。

4.6月以降のシフト管理と予実管理のポイント

「賃金改善内訳表」の作成:月給での配分が求められる中、給与明細上の既存の「基本給」や「職務手当」に処遇改善分を含めて支給する場合は、エクセル等で「賃金改善内訳表」を作成しておくことが有効です。「職務手当3万円のうち、1万円が処遇改善を原資としたベースアップ分である」といった内訳を毎月客観的に整理しておくことで、後日の運営指導においても算定根拠を論理的に証明することができます。

【無料フォーマット】賃金改善内訳表(参考様式)のダウンロード

日々の実務に活用できるエクセルフォーマットを作成いたしました。以下のリンクよりダウンロード(無料)し、自社用にアレンジしてご活用ください。

[賃金改善内訳表(Excel)のダウンロードはこちら]

「誓約」による算定と証拠書類の保管:生産性向上の取組や月給配分のルールについては、令和8年度中は「年度内(令和9年3月末まで)に対応する」という計画書での「誓約」により、6月からの算定開始が認められています。ただし、年度末の実績報告において実施状況が客観的に確認できない場合は加算の返還対象となるため、ICT機器導入の領収書や、業務改善会議の議事録など、実施証拠を日常的にファイリングする仕組みづくりをご検討ください。

5.【参考】新規指定グループホームにおける基本報酬の減算特例

令和8年6月1日以降に新規で指定を受けるグループホーム(介護サービス包括型・日中サービス支援型)については、サービスの質の確保等を勘案し、当面の間、基本報酬が所定単位数の「1000分の972(2.8%減算)」となる特例措置が設けられています。 ※既存の事業所にはこの減算は適用されません。今後新たに事業所の立ち上げを検討されている法人様におかれましては、事業計画の収支シミュレーションに影響するため、指定時期と配慮措置(重度障害者支援加算等の対象者がいる場合等は減算適用外となる等)の要件について、事前の確認をおすすめいたします。

まとめ

令和8年6月施行の処遇改善加算の改定は、加算率の引き上げと対象職種の拡大により、グループホームで働くスタッフの皆様の待遇向上を図る制度です。 一方で、月給配分の厳格なルールや生産性向上の要件など、実務上で新たに管理・証明すべき項目が増加しております。本記事で整理したポイントをご参考に、自社の賃金規程や配分計画、証拠資料の保管体制が6月からの新運用に適合しているか、施行前の再点検をおすすめいたします。 計画と実態にズレが生じないよう、定期的な予実管理と記録の照合を行うことが、複雑な制度に対応する鍵となります。適正で安定した事業運営基盤の構築にぜひご活用ください。

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