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就労継続支援B型

就労継続支援B型の指定申請で事業計画書は何を審査される?|生産活動・利用見込み・収支計画を障害福祉専門行政書士が解説

藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
この記事を書いた行政書士
藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
障がい福祉・児童福祉事業所の指定申請・運営支援を中心に取り扱っています。

はじめに

就労継続支援B型の開業を検討する際、人員配置や設備基準とともに準備が必要となるのが、事業計画書や収支予算書です。

「生産活動の売上はどの程度見込めばよいのか」「開業当初の利用者数はどのように設定するのか」「工賃の支払計画は何を根拠に作成するのか」といった疑問を持つ事業者様もいらっしゃると思います。

就労継続支援B型の指定申請では、事業計画に記載された内容が具体的であり、その数字に合理的な根拠があるかという点も確認されます。

今回は、厚生労働省のガイドラインや大阪府の指定申請資料をもとに、指定権者が確認する主な事項を整理し説明します。

1.就労継続支援B型の指定申請では事業計画書の何を審査される?

就労継続支援B型の指定申請では、職業指導員や生活支援員などの人員配置、訓練・作業室などの設備基準を満たす必要があります。

それに加え、指定権者は、事業者が適切な就労支援と継続的な事業運営を行える計画になっているかを確認します。

厚生労働省が令和7年11月28日に示したガイドラインでは、事業計画書等の審査において、地域の支援ニーズ、利用定員の根拠、生産活動の内容、収入見込み、工賃の支払計画などを確認することとしています。

つまり、事業計画書は開業の目的を説明するだけの書類ではなく、実際の支援内容や事業運営の見通しを示す資料として位置づけられています。

なお、令和9年度報酬改定に向けた検討では、ガイドラインに示された確認事項の一部を指定基準等に位置づける方向が議論されています。ただし、2026年10月現在、検討段階の内容であり、決定事項ではありません。

2.就労継続支援B型の開業で地域のニーズと利用者数はどう見込む?

事業計画を作成する際、最初に整理したいのが、開業予定地域の支援ニーズと利用者の見込みです。

国のガイドラインでは、なぜその地域で就労継続支援B型を開業するのか、既存事業所の状況や地域の支援ニーズを把握しているかなどを確認することが示されています。

具体的には、相談支援事業所、就労支援機関、特別支援学校などとの情報交換が、地域の状況を把握する一つの方法となります。

また、利用定員と開業当初に実際に利用する人数は別に考える必要があります。

例えば、定員20名の事業所で、次のように利用者数を見込んだとします。

  • 開業初月:8名
  • 3か月後:12名
  • 6か月後:15名

これは説明用の仮定ですが、なぜその人数を見込めるのかという根拠が必要です。

さらに、契約者数と実際の通所人数も一致するとは限りません。

給付費収入を計算する際には、契約者数だけでなく、1日当たりの利用人数や月間の延べ利用日数を見込むことが重要になります。

なお、利用者の募集方法についても確認対象です。高工賃の支払いを根拠なく確約するなど、利用者に誤解を与える募集方法は避ける必要があります。

3.就労継続支援B型の生産活動は何を審査される?|作業内容・受注先・継続性

就労継続支援B型の事業計画において、特に重要なのが生産活動の内容です。

例えば、事業計画書に「企業から軽作業を受注する」と記載しただけでは、実際にどの程度の仕事を確保できるのか分かりません。

国のガイドラインでは、具体的な作業内容に加え、受注単価、作業数量、取引先、利用者が作業に従事できる時間などを確認する観点が示されています。

仮に、袋詰め作業を1個10円で受注し、月間30,000個を納品する計画であれば、売上見込みは30万円となります。

しかし、そこで確認が必要となるのは、月間30,000個の仕事を継続して受注できるのか、利用者と職員の体制でその数量を処理できるのかという点です。

取引先との契約書や覚書、受注予定数量を示す資料などが、売上見込みの根拠になります。

また、生産活動は収益を得ることだけが目的ではありません。

国のガイドラインでは、その活動によって利用者の就労に必要な知識や能力の向上が見込まれるかという点も確認事項としています。

例えば、袋詰め作業であれば、作業手順の理解、数量の確認、品質管理、職員との報告・連絡など、どのような支援を行うのかを具体的に整理できます。

生産活動の収益性と、障害福祉サービスとしての支援内容の両方を説明できる計画であることが重要です。

4.就労継続支援B型の収支計画は何を確認される?|給付費収入・生産活動・工賃

就労継続支援B型の収支計画では、「福祉サービス事業の収支」と「生産活動の収支」を区別することが重要です。

福祉サービス事業の主な収入は、利用者への支援に対して支払われる障害福祉サービスの給付費です。

ここから職員の人件費、家賃、水道光熱費など、事業所の運営に必要な経費を支出します。

一方、生産活動の収入は、受注作業や製品販売などによって得られる売上です。

指定基準第201条では、生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額に相当する金額を、利用者に工賃として支払うこととされています。

例えば、月間の生産活動について、次のように見込んだ場合です。

  • 生産活動の売上:50万円
  • 材料費・その他必要経費:15万円
  • 工賃の原資:35万円

この場合、35万円を基礎として工賃の支払計画を検討することになります。

仮に15名の利用者が同じ条件で作業し、35万円全額を工賃として配分するなら、1人当たりの月額工賃は約23,333円です。

ただし、実際の工賃額は利用日数や作業実績、工賃規程などに応じて異なります。

また、生産活動の収益が不足した場合に、障害福祉サービスの給付費を工賃の補填に使用することはできません。

そのため、売上が計画を下回った場合も考慮し、受注先や作業量、必要経費を確認しておく必要があります。

国のガイドラインでは、事業開始から2~3年程度の中期的な計画についても確認することが望ましいとされています。

開業直後の収支だけでなく、その後の利用者数や生産活動の拡大見込みを整理することも、事業計画の検討事項となります。

5.就労継続支援B型の事前協議では何を確認される?|指定権者の書類審査と面談

就労継続支援B型の指定申請では、指定権者によって事前協議の手続や提出書類が異なります。

大阪府の指定申請の手引きでは、就労継続支援B型について、書面審査と面談による事前協議が設けられています。

提出資料には、事業内容確認書、生産活動内容と収支状況に関するシート、金額の根拠となる委託契約書や請負契約書などが含まれています。

また、面談では法人の代表者、事業所の管理者、サービス管理責任者のいずれかの参加が必要とされています。

ここで重要なのは、提出した事業計画について、実際に事業所を運営する方が内容を把握し、説明できることです。

例えば、月間売上50万円とした根拠や、予定していた取引先から受注できなくなった場合の対応など、事業運営に関する確認が想定されます。

なお、国のガイドラインは自治体への技術的助言であり、記載された審査手順が全国一律に実施されるわけではありません。

吹田市、豊中市、茨木市、高槻市など、指定権限を持つ自治体では、それぞれの申請案内を確認する必要があります。

6.就労継続支援B型の指定申請前に確認したいこと|事業計画書と提出書類の整合性

事業計画書を作成した後は、各資料に記載した数字や内容に食い違いがないかを確認します。

例えば、事業計画書には月間売上50万円と記載していても、生産活動シートで計算すると40万円にしかならない場合、売上見込みの根拠を再確認する必要があります。

同様に、利用者数を15名と見込んでいるのに、給付費収入を20名が毎日利用する前提で計算していれば、収支予算書との整合性が取れません。

また、生産活動の計画と職員配置、作業室の広さ、使用する設備なども関連します。

国のガイドラインでは、他事業所の申請書類や事業計画書の流用は原則認めず、事業所ごとの地域特性や支援内容に応じて作成することが示されています。

指定申請前には、事業計画書、収支予算書、生産活動シート、勤務形態一覧表などを照らし合わせ、記載内容が一致しているかを確認しておくことが重要です。

まとめ|就労継続支援B型の指定申請では事業計画の具体性と根拠が重要

就労継続支援B型の指定申請では、人員・設備基準を満たすことに加え、事業計画の内容についても確認が行われます。

特に重要なのは、地域の支援ニーズと利用者見込み、生産活動の具体的な内容、収支計画と工賃支払予定の整合性です。

事業計画書は、開業後にどのような支援を行い、どのように事業を継続するのかを示す資料でもあります。

指定申請に向けて、計画に記載した数字や事業内容を、それぞれの根拠資料と照らし合わせて整理しておくことが大切です。

(参考資料)

1.「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドラインについて」(令和7年11月28日)(厚生労働省)

2.「生産活動シート 記入方法と確認点(解説資料)」(厚生労働省)

3.「障がい福祉サービス事業者等 指定申請の手引き(就労継続支援A型・B型)」(大阪府)

※本文は2026年10月時点の制度・公表資料をもとに作成しています。指定申請の手続や提出書類は指定権者によって異なるため、開業予定地を所管する自治体の最新案内をご確認ください。

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