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令和9年度報酬改定でB型にスコア方式導入?|平均工賃だけで決まらない評価へ

はじめに|B型の報酬はどう変わるのか

就労継続支援B型の開所を考えるとき、物件や職員の確保とともに気になるのが、報酬収入の見通しです。既に運営している事業所にとっても、報酬の評価方法は人員配置や事業計画に関わります。

令和8年9月28日の障害福祉報酬改定検討チームでは、令和9年度改定に向け、B型に「スコア方式」を導入する案が示されました。平均工賃月額に加え、支援時間、障害の程度、個別支援など、複数の観点から評価する方向です。

ただし、導入や具体的な配点、報酬単位が決まったわけではありません。今回は、検討案の内容と、事業所が確認しておきたい点を整理します。

1.なぜ平均工賃中心の評価を見直すのか

B型は、雇用契約に基づく就労が難しい方などに、就労や生産活動の機会を提供し、知識・能力の向上に必要な訓練等を行うサービスです。利用者とは雇用契約を結ばず、生産活動に対して「工賃」を支払います。

ここで、利用者に支払う「工賃」と、サービスの提供に対して事業所が受け取る「報酬」は、区別して考える必要があります。

現在の基本報酬には、平均工賃月額に応じて評価する体系と、就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価する体系があります。人員配置や定員規模も関係するため、すべての事業所の報酬が工賃だけで決まるわけではありません。

今回の資料では、平均工賃月額による評価では、障害の程度が重い利用者への支援が適切に評価されていないという指摘が紹介されています。

作業手順を繰り返し説明する、体調に応じて作業量を調整するなど、必要な支援は利用者によって異なります。こうした違いを工賃額だけで捉えることは難しいため、工賃とともに、支援の必要性や内容も評価する案が示されています。

2.スコア方式では何を評価するのか

スコア方式は、複数の項目を点数で評価し、基本報酬に反映させる仕組みです。今回の資料では、次の評価項目のイメージが示されています。

評価項目の案 主な評価内容
平均工賃月額 利用者の平均工賃月額
支援時間 1日の平均サービス提供時間
障害の程度 利用者の障害の程度
地域連携活動 地域と協働した生産活動、地域貢献活動など
個別支援 利用者の状況に応じた本人を中心とする支援
支援体制 職員の福祉分野での従事年数、有資格者の配置
事業の透明性 第三者評価や自己評価など
指定基準の遵守 特に遵守すべき項目の達成状況

最初の3項目が「主たる項目」、残りの5項目が「従たる項目」とされています。

平均工賃月額は引き続き評価項目に含まれており、工賃向上への取組が不要になるわけではありません。

支援時間は、1日の平均サービス提供時間による評価です。職員が個別に対応した時間の合計を示すものではありません。また、障害特性等によって提供時間が短くなる場合への配慮も検討されています。

地域連携活動には施設外就労も含めて評価する案があり、指定基準については、特に遵守すべき項目が未達成の場合に厳しく評価する方向です。

具体的な配点や対象資格、評価方法は未確定です。自事業所の点数や、点数に応じた報酬を試算できる段階ではありません。

3.重症心身障害のある方への支援も評価されるのか

重症心身障害のある方など、手厚い支援を必要とする利用者を受け入れるB型にとっては、今回の案に期待できる面があります。

例えば、姿勢や体調に配慮して作業を調整し、本人の意思表示を確認しながら生産活動への参加を支える場合、その支援の手間や専門性は工賃額だけでは表れません。

評価項目に障害の程度、個別支援、支援体制を含める案は、工賃額だけでは捉えにくい支援を評価する可能性を示しています。

ただし、重症心身障害や医療的ケアに関する専用の配点は示されていません。「障害の程度」を何で判断するかも具体化されておらず、重心の方を受け入れれば報酬が上がるとは言えません。

現行の重度者支援体制加算は、主に障害基礎年金1級受給者の割合などを要件とする制度です。重症心身障害という名称だけで算定できるものではなく、今回のスコア方式とも分けて考える必要があります。

なお、生活介護で重心の方を支援する事業所の評価は、今回のB型の検討とは別の論点です。

4.年間開所日数「269日」の上限案とは

平均工賃月額の算定方法にも見直し案があります。現在の算定式は、次のとおりです。

平均工賃月額=年間工賃支払総額 ÷(年間延べ利用者数 ÷ 年間開所日数)÷12か月

この式では、工賃総額と利用実績が同じでも、開所日数が増えると括弧内の平均利用者数が小さくなり、算定上の平均工賃月額は高くなります。

資料では、この問題への対応として、算定に用いる年間開所日数を269日までとする案が示されています。

269日は、利用できる「原則の日数」に由来します。日中活動サービスでは、原則として各月の日数から8日を差し引いた日数まで利用でき、365日の1年間では、365日-8日×12か月=269日となります。

これは算定に用いる日数の上限案であり、事業所の営業日数そのものを269日までに制限する案ではありません。

年間工賃支払総額120万円、年間延べ利用者数2,690人として比較すると、次のようになります。

算定に用いる開所日数 平均利用者数 算定上の平均工賃月額
300日 2,690÷300 → 9.0人 11,111円
269日 2,690÷269=10.0人 10,000円

※現行Q&Aに従い、平均利用者数は小数点第2位を切り上げ、平均工賃月額は円未満を四捨五入しています。上限案の最終的な取扱いは未確定です。

支払った工賃が同じでも、算定上の平均工賃月額は下がる場合があります。ただし、報酬区分や今後のスコアの設定も関係するため、この計算だけで報酬の減額は判断できません。

また、算定に使う開所日数は、単に事業所を開けた日数ではありません。現行Q&Aでは、原則として工賃の支払いが生じる生産活動の実施日を数え、生産活動を目的としないレクリエーション等の日は数えない取扱いです。

5.事業所にとって朗報か、厳しい見直しか

今回の案は、事業所の状況によって影響が異なります。

個別支援や職員の専門性、重い障害のある利用者への支援などが評価に反映されれば、これまで工賃額だけでは表れにくかった取組が評価される可能性があります。

一方、支援時間の評価や開所日数の上限、指定基準の未達成に対する厳しい評価によって、影響を受ける事業所も考えられます。

評価項目が増えることと、報酬が増えることは同じではありません。最終的な配点や報酬単位が決まるまでは、B型全体にとって朗報とも、厳しい改定とも判断できない段階です。

6.開所準備・日々の運営で確認しておきたいこと

開所予定者は、現行制度に基づいて収支計画を作り、改定内容に応じて見直せるようにしておきましょう。令和8年6月には基本報酬区分の基準が既に変更されているため、最新の単価や新規指定時の取扱いを確認する必要があります。

新規指定ガイドラインでも、支援内容とともに、工賃を支払える生産活動収入や事業の継続性を確認する考え方が示されています。

開所準備・運営では、次の点を整理しておくと現状を把握しやすくなります。

  • 誰に、どのような支援を提供するのか
  • 生産活動の収支から継続して工賃を支払えるか
  • サービス提供時間と利用実績を確認できるか
  • 個別支援計画、支援記録、モニタリングがつながっているか
  • 職員の経験・資格、地域との連携実績を整理できるか

現在の支援と収支を根拠に基づいて説明できることが、今後の事業計画や運営の見直しに役立ちます。

まとめ|工賃と支援の両方を確認する

今回の検討では、工賃に加え、支援時間や障害の程度、個別支援などを含めた評価が示されています。

具体的な配点や報酬単位は未確定です。今後の議論を確認しながら、工賃の算定根拠と、利用者に提供している支援の内容を整理することから始めましょう。

参考資料

  1. 「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」(厚生労働省)(令和8年9月28日)※資料記載89~90ページ「スコア方式の導入について」を中心に参照。
  2. 「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2の正誤」(厚生労働省)(令和6年4月26日)※問24:平均工賃月額の算定に用いる開所日数・端数処理。
  3. 「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン」(厚生労働省)(令和7年11月28日)
  4. 「就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて」(厚生労働省)(令和8年6月施行)

※本記事は令和8年9月30日時点の検討資料等に基づいています。今後の議論や告示・通知等により、内容が変更される可能性があります。

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