はじめに
障害福祉サービスや放課後等デイサービスでは、サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)が退職・異動した場合、後任者の配置と変更届の提出が必要になります。
このとき注意したいのが、人員変更によって、これまで算定していた加算が算定できなくなったり、基本報酬に減算が適用されたりする場合があることです。
人員欠如減算が適用される前から一部の加算を算定できなくなる場合や、後任者の配置に伴う職種変更によって、別の加算要件を満たさなくなる場合もあります。
今回は、厚生労働省・こども家庭庁のQ&Aと吹田市の集団指導資料をもとに、サビ管・児発管の変更が加算・減算に与える影響と、運営指導で確認される事項を解説します。
1.サビ管・児発管の変更届と加算の算定要件は別

サビ管・児発管の変更届は、事業所の人員体制が変更されたことを指定権者に届け出る手続きです。
一方、加算を算定するには、それぞれの報酬告示や留意事項通知で定められた要件を満たす必要があります。
そのため、変更届を提出できることと、変更後も従来の加算を算定できることは別の問題です。
例えば、生活支援員をサビ管に変更した場合、直接処遇職員の人数や有資格者割合が変わることがあります。
放課後等デイサービスでは、児発管の交代によって一時的に欠如が生じると、児童指導員等加配加算や専門的支援関係の加算に影響する場合があります。
また、後任者の実務経験や研修要件を満たしていなければ、正式なサビ管・児発管として配置できない可能性があります。
特に、実践研修や更新研修の修了状況、前職での実務経験の確認が必要です。
後任者の実務経験の確認については、関連記事「サビ管・児発管の実務経験証明書はどう集める?」で解説しています。
2.児発管が欠如すると、いつから加算が算定できなくなる?
(1)児童指導員等加配加算への影響
児童発達支援・放課後等デイサービスの「児童指導員等加配加算」は、指定基準上必要な従業者に加えて、児童指導員や保育士等を配置することを評価する加算です。
厚生労働省の令和5年3月30日付事務連絡「障害児通所支援における児童指導員等加配加算の取扱いについて」(別紙2・問1)では、児発管が欠如している場合、児童指導員や保育士を基準人数より多く配置していても、加算を算定できないと回答しています。
つまり、加配職員の人数を満たしていても、児発管が欠如していれば児童指導員等加配加算は算定できません。
同通知の別紙1では、会計検査院の検査により、96事業者・119事業所で、児発管が配置されていない期間に児童指導員等加配加算を算定していた事例が報告されています。
加算を算定する際には、加配職員の人数だけでなく、児発管を含めた指定基準上必要な職員の配置状況も確認する必要があります。
(2)専門的支援体制加算・専門的支援実施加算への影響
児発管の欠如は、専門的支援関係の加算にも影響します。
こども家庭庁の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.4」(2ページ・問1)では、児発管が欠如している状態で専門的支援実施加算を算定できるかという質問に対し、算定不可と回答しています。
また、吹田市の令和7年度集団指導資料(障がい児通所支援・6ページ)では、4月に児発管が欠如し、7月1日に解消した場合の取扱いを示しています。
この場合、4月から6月まで、次の加算は請求できません。
- 児童指導員等加配加算
- 専門的支援体制加算
- 専門的支援実施加算
一方、児発管欠如減算が適用されるのは6月と7月です。
加算を算定できなくなる時期と、人員欠如減算が適用される時期は一致しないという点に注意が必要です。
なお、児発管が有給休暇など法令に基づく休暇を取得した場合は、直ちに欠如とは扱いません。この取扱いについても、厚生労働省の同事務連絡(別紙2・問2)で示されています。
3.サビ管の変更で福祉専門職員配置等加算に影響する場合

生活介護や就労継続支援A型・B型などでは、サビ管の変更に伴い、福祉専門職員配置等加算の算定要件が変わる場合があります。
吹田市の令和7年度集団指導資料(就労系サービス・30ページ)では、次の要件が示されています。
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)
常勤の職業指導員・生活支援員・就労支援員のうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の割合が35%以上であること。
福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)
同じく、対象となる有資格者の割合が25%以上であること。
福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)
対象職員の常勤配置割合が75%以上、または一定の勤続年数を満たす職員の割合が30%以上であること。
例えば、常勤の生活支援員等3人のうち、介護福祉士が1人いる事業所を考えます。
この場合、有資格者割合は約33%となり、加算(Ⅱ)の割合要件を満たしています。
しかし、その介護福祉士をサビ管に変更し、直接処遇職員の対象から外れた場合、残る職員の有資格者割合が変わります。
その結果、サビ管の資格要件を満たしていても、福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)の要件を満たさなくなる場合があります。
ただし、サビ管と直接処遇職員を兼務する場合の取扱いは、サービス種別や勤務形態によって異なります。
吹田市の同資料でも、職員の異動や退職等があった際は、加算の算定要件を満たしているか確認し、加算の変更・取下げについて必要な届出を行うよう求めています。
4.サビ管・児発管欠如減算は、後任者を配置した月も対象になる
(1)サビ管欠如減算の適用期間
吹田市の令和7年度集団指導資料(就労系サービス・21ページ)では、サビ管が欠如した場合、原則として欠如した月の翌々月から、欠如が解消された月まで人員欠如減算を適用するとしています。
減算割合は、次のとおりです。
- 減算適用1か月目から4か月目:所定単位数の70%で算定(30%減算)
- 減算適用が連続5か月目以降:所定単位数の50%で算定(50%減算)
例えば、4月にサビ管が欠如し、7月1日に後任者を配置した場合、6月と7月が欠如減算の対象になります。
7月1日に人員欠如が解消しても、7月分まで減算が適用されます。

この例では、4月・5月はサビ管欠如減算の対象外、6月・7月は30%減算となり、8月から通常算定に戻ります。
ただし、減算が始まる前の4月・5月も、人員基準を満たしていない状態であることに変わりはありません。
その期間における加算の算定可否や、個別支援計画への影響は別途確認する必要があります。
(2)児発管欠如減算と個別支援計画未作成減算
放課後等デイサービス等の児発管欠如減算についても、吹田市の集団指導資料(障がい児通所支援・6ページ)では、欠如した月の翌々月から欠如が解消された月までの適用とされています。
ただし、児童発達支援センターや主として重症心身障がい児を通わせる事業所など、サービス種別によって取扱いが異なる場合があります。
また、サビ管・児発管の変更に伴い、個別支援計画が適切に作成されていない場合には、個別支援計画未作成減算も確認する必要があります。
吹田市の集団指導資料では、減算適用1・2か月目は所定単位数の70%、3か月目以降は50%で算定するとしています。
ただし、サビ管・児発管が交代しただけで、個別支援計画未作成減算が自動的に適用されるわけではありません。
個別支援計画の作成・見直し、アセスメント、会議、説明・同意、交付、モニタリング等の実施状況を確認する必要があります。
計画作成の手順については、関連記事「個別支援計画の適正な作成手順とモニタリング頻度の基本ルール」で解説しています。
5.運営指導で加算・減算の算定誤りが確認された場合

サビ管・児発管の変更後、加算要件を満たさないまま従来の報酬を請求していた場合、運営指導等で算定誤りが確認されることがあります。
こども家庭庁の令和8年3月31日最終改正の報酬算定に関する留意事項通知(2ページ「第一 届出手続の運用」)では、加算を算定できなくなる状況が生じた場合、速やかに届け出ることとしています。
また、加算を算定できなくなった事実が発生した日から、当該加算を算定しないという取扱いが示されています。
届出済みの加算であっても、実際に算定要件を満たしていない期間に請求していた場合には、過誤調整や返還が必要になることがあります。
変更届の提出状況だけでなく、次の資料と実際の勤務状況が一致しているかを確認することになります。
- 資格証明書・研修修了証
- 勤務形態一覧表・勤務実績
- 加算届・体制届の内容
- 個別支援計画の作成・更新状況
- 国保連への請求内容
また、前任者の退職日と後任者の就任日との間に空白期間がないか、後任者が正式な配置要件を満たしているかも確認事項です。
加算・減算の算定状況については、関連記事「障害福祉サービスの運営指導における加算・減算の算定留意点と事前確認のポイント」でも解説しています。
まとめ
障害福祉サービスや放課後等デイサービスでサビ管・児発管を変更する際は、変更届の提出とあわせて、現在算定している加算と、変更後に適用される可能性がある減算を確認する必要があります。
特に、児発管が欠如した場合、人員欠如減算が始まる前から、児童指導員等加配加算や専門的支援関係の加算を算定できなくなることがあります。
また、生活支援員等をサビ管に変更した場合には、福祉専門職員配置等加算の有資格者割合や常勤配置割合が変わることがあります。
人員欠如減算は、後任者を配置して欠如が解消された月まで対象となる点も確認が必要です。
変更届を提出する前に、変更後の勤務体制、加算の算定要件、個別支援計画の管理状況を確認することが、算定誤りを防ぐための基本となります。
※本記事は令和8年11月時点で公表されている資料に基づいています。加算・減算の適用は、サービス種別、実際の人員配置、指定権者の取扱い等によって異なる場合があります。
(参考資料)
1.「令和7年度集団指導 指定障害児通所支援事業者の適切な事業運営について(報酬算定編)」(吹田市)
6ページ「児童発達支援管理責任者欠如減算」、7ページ「個別支援計画未作成減算」を参照。児発管の欠如期間、減算の適用時期、加算の算定可否について確認。
2.「令和7年度集団指導 指定障害福祉サービス事業者の適切な運営について(就労系サービス)」(吹田市)
21ページ「サービス管理責任者欠如減算」、22ページ「個別支援計画未作成減算」、30ページ「福祉専門職員配置等加算」を参照。サビ管欠如による減算期間、職員の異動・退職に伴う加算要件の変更を確認。
3.「障害児通所支援における児童指導員等加配加算の取扱いについて」(厚生労働省)(令和5年3月30日付事務連絡)
2ページ「別紙1 会計検査院検査による指摘事項」、3ページ「別紙2 Q&A 問1・問2」を参照。児発管欠如時の加配加算の算定可否、休暇取得時の取扱いについて確認。
4.「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.4」(こども家庭庁)(令和6年5月24日)
2ページ・問1「専門的支援実施加算」を参照。児発管が欠如している場合の専門的支援実施加算の算定可否について確認。
5.「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(こども家庭庁)(平成24年3月30日、令和8年3月31日最終改正)
3~4ページ「第一 届出手続の運用」を参照。加算要件を満たさなくなった場合の届出、算定停止、事後調査及び返還の取扱いについて確認。。