LINEで相談

運営指導・書類整備

【新人さんの初出勤】シフトに数えていい日・ダメな日を確認する4つの基本手順|運営指導を見据えた雇用・配置・記録の整合性

【障がい福祉運営チェック】「この運営で大丈夫だろうか」そんな時は、一緒に確認しませんか。▶ 詳しくはこちらからご相談ください。

はじめに

障害福祉サービスや児童福祉サービスにおいて、新しく職員を採用した際、その職員を「いつから人員配置(配置人数)に入れてよいか」という判断は、日々のシフト作成や毎月の報酬請求において極めて重要です。 現場に職員が出勤しているという事実があっても、必ずしも勤務表(従業員の体制一覧表)上の配置人数(常勤換算数)としてそのまま数えてよいわけではありません。 行政の指定基準に基づく配置ルールと、雇用契約上の日付や実際の出勤実績との間にズレ(齟齬)があるまま報酬を請求してしまうと、運営指導(旧実地指導)において「人員配置基準違反」として指摘を受けたり、過去に遡って給付費の返還(自主返還等)を求められたりする原因となる場合があります。 本記事では、採用した職員を配置人数に算入する際の適正な基準、資格や研修の確認方法、勤務実績の整理について、日常の実務に即して客観的に解説します。

1.採用からシフト配置までに確認すべき「3つの日付」

職員の採用決定から実際の勤務開始までの間には、勤務予定表や実績表に名前を載せるにあたって、以下の3つの日付を正確に整理しておく必要があります。

雇用契約上の「雇用開始日」より前は算入できない

労働条件通知書や雇用契約書に記載された「雇用開始日(契約期間の始まりの日)」より前の期間は、勤務表に配置人数として算入することはできません。 たとえば、契約書上の開始日が8月1日である場合、7月下旬に「事前研修」や「開所準備の作業」のために出勤してもらったとしても、7月中の人員としてカウントすることはできません。契約の効力が発生していない期間の労働は、人員配置基準上の人員としては認められないためです。

雇用契約開始日と実際の「初出勤日」を区別する

契約上の雇用開始日が8月1日であっても、実際の最初の出勤日(初出勤日)が8月3日である場合、8月1日と2日の配置人数にその職員を含めることはできません。 人員配置は、事業所で「実際に勤務した実績」をベースに計算することが原則です。契約期間中であっても、まだ一度も出勤して働いていない日は、配置実績に入れることはできない点に留意が必要です。

採用予定者の入職辞退や延期時の管理

指定申請や変更届の段階では、今後の「予定」として採用予定者を含めた勤務予定表を提出することが一般的です。しかし、その後に入職が延期になったり辞退されたりした場合は、その予定は無効となります。予定していた日付ではなく、実際の雇用開始日と出勤実績をベースに、日々の人員数を把握しておく業務フローが推奨されます。

2.常勤・非常勤の「常勤換算」と時短勤務の特例ルール

新しい職員をシフトに入れる前に、その職員を「常勤」と「非常勤」のどちらの勤務形態として勤務表に載せるかを整理します。この際、指定基準における「常勤」の定義を正しく把握しておく必要があります。

  • 指定基準における「常勤」の定義 :障害福祉サービス等の人員基準において、「常勤」とは、事業所で定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は、32時間を基本とする)に達していることを指します。 なお、育児・介護・治療等による「短時間勤務措置」が講じられている職員については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合に限り、例外的に「週30時間以上の勤務」で常勤(常勤換算1.0)として取り扱うことが可能です。
  • 欠勤が発生した際の計算ルールの違い: 採用初月などに急な体調不良等で欠勤が発生した場合、その職員の契約形態が「常勤」か「非常勤」かによって、常勤換算の計算方法が異なります。
    • 非常勤職員(パート等)の場合: 実際に勤務しなかった時間については、常勤換算の計算(勤務延べ時間数)に含めることはできません。たとえば、週20時間勤務する予定の非常勤職員が、初月に4時間欠勤した場合、実績として算入できる時間は「16時間」となり、実際の勤務実績をベースに常勤換算数を算出します。
    • 常勤職員(フルタイム)の場合: 有給休暇や病欠等の期間が、暦月で「1か月を超えない範囲」であれば、常勤として勤務したものとみなして常勤換算数「1.0」のまま計算に含めることが認められています。ただし、採用初日から一度も出勤しないまま欠勤が続くようなケースにおいては、実際の勤務実態(出勤実績)が全く確認できないため、安易に「働いたものとみなす処理(みなし)」とせず、実際の初出勤日を起点として実績を記録する方法が実務上安全です。

3.職種ごとの配置条件と事前確認の実務手順

職種によっては、単に出勤したという事実だけでは人員にカウントできない、資格や研修の要件が定められています。

  • 専門の資格が必要な職種(保育士、看護職員、理学療法士など) :人員基準や専門職配置加算等の算定にあたってこれらの有資格者を配置する場合、その資格を証明する資格証等の写しを事業所に保管しておく必要があります。 この確認において、履歴書の記載内容だけを根拠に勤務表に載せることや、「資格証のコピーは後日郵送してもらう」という状態で、先行して人員にカウントすることは認められません。必ず、勤務を開始する日より前に、資格証等の原本を管理者が直接確認し、コピーを保管する手順をご徹底ください。
  • 研修修了が必要な職種(サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者など): サービス管理責任者(サビ管)や児童発達支援管理責任者(児発管)として勤務表に配置する場合、研修の「修了証書」や「実務経験証明書」の実物が手元に揃っている必要があります。 「研修の全日程を受講し終えており、修了証が来月届く予定だから、今月からサビ管として配置する」という取扱いは認められません。修了証書に記載された「修了年月日」以降の日付でなければ、人員としてカウントすることはできません。原本の確認が取れないまま配置した場合は、当該職種が「不在(人員欠如減算の対象)」とみなされるリスクがあります。

4.加算の配置要件と届出手続きのタイムラグ

新しい職員を配置したことで、人員配置体制加算や福祉専門職員配置等加算などを新たに算定する場合、採用日当日からすぐに加算請求ができるわけではない点に注意が必要です。 加算の新規取得や変更を行う場合、指定権者(都道府県や市町村)に対する「加算届(体制届)」の提出期限が定められています。 大阪府や大阪市等の多くの自治体において、届出の締め切りは「算定を開始したい月の前月15日」となっています。 たとえば、8月1日に新たな専門資格者を採用し、その日から人員体制の要件をクリアしたとしても、実際の加算算定(請求)が認められるのは最短でも「9月1日」以降となります。採用スケジュールと加算請求のタイムラグをあらかじめ計算に入れた収支計画・シフト計画を立てることをおすすめします。

5.運営指導で確認される「4つの書類」のクロスチェック

行政の運営指導においては、勤務表(実績表)が単独でチェックされるわけではありません。監査担当者は、以下の4つの書類を並べて、日付や時間に矛盾(齟齬)がないかを細かく突合(クロスチェック)します。

  1. 就業規則および雇用契約書(労働条件通知書): 雇用開始日、契約上の職種、勤務日、勤務時間が定義され、双方の合意がなされているか。
  2. 従業員の勤務の体制及び勤務形態一覧表(勤務実績表): 日々の実績(何日に、何時間、どの職種・ポジションとして勤務したか)が正確に記録されているか。
  3. タイムカード・出勤簿: 実績表に記載された勤務時間と、実際の打刻記録が1分単位で一致しているか。
  4. 支援記録・サービス提供記録・業務日誌: 勤務実績表において「新人が直接支援に入っていた」とされる日に、実際の支援記録やケース記録等に、その職員の担当記録や署名が矛盾なく残されているか。
  5. 【よくある実務上の指摘事例】 「タイムカードには7月25日(契約期間外の事前研修日)から打刻記録があり、その日の支援日誌にも新人の名前が支援担当者として記載されているが、雇用契約書上の雇用開始日は8月1日、資格証の確認日(原本確認日)も8月1日になっている」といったケースです。 この場合、契約開始前、あるいは資格の有効性が確認される前の期間に、実質的に「無資格・無届」の状態で直接支援業務に従事させていたとみなされ、人員配置基準違反加算の不正算定を指摘される要因となります。 事前研修等であっても、実際の労働・支援実績と各種書類の日付が完全に一致していることを確認する管理体制が必要です。

まとめ

新しく職員を採用した際、人員配置に含めてよいかの確認は、以下の4つのステップに沿って進めることをおすすめします。

  1. どの職種(常勤・非常勤・専従・兼務)として配置するかを決定する
  2. その職種に必要な資格や研修要件を満たしているか、事前に「原本」を確認する
  3. 雇用契約上の「雇用開始日」以降で、実際の「初出勤日」を確定する
  4. 月間の勤務実績表、タイムカード、業務日誌・支援の記録のデータが一貫して一致しているか確認する

単に「採用人数が揃った」ということだけで安心せず、実務上の手続きや資格確認のタイミング、日々の記録の連動性を整えておくことが、適正な事業運営を行うための基本となります。

各種書類の記載内容を実際の運営状況や勤務実績と合致させ、現場のシフト管理と給付費請求のプロセスを矛盾なく連動させておくことが、適正な事業運営の客観的な証明となります。本記事が、日々の確実な人員管理と記録業務のお役に立てば幸いです。

指定申請・運営サポートをご検討中の方へ
サービス内容や進め方についてご案内いたします。

▶ 初回相談はこちら(30分・無料)

関連記事

最近の記事
  1. 介護タクシーは1日何件で利益が出る?|売上・経費・必要受注件数の考え方
  2. 利用者同士のトラブルが続いたら席を離してよい?|支援上の配慮と身体拘束・権利擁護の境界
  3. 【新人さんの初出勤】シフトに数えていい日・ダメな日を確認する4つの基本手順|運営指導を見据えた雇用・配置・記録の整合性
目次