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障害福祉サービス令和9年度の生活介護報酬改定|延長支援加算の拡充と新たな連携評価を解説

藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
この記事を書いた行政書士
藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
障がい福祉・児童福祉事業所の指定申請・運営支援を中心に取り扱っています。

はじめに

令和9年度の障害福祉サービス報酬改定に向けて、生活介護の延長支援加算の拡充と、日中一時支援事業所等との連携に対する新たな評価が検討されています。

令和8年10月22日の第66回障害福祉報酬改定検討チームでは、特別支援学校等の卒業に伴う支援環境の変化や、夕方以降の居場所の確保、家族の負担軽減などが課題として取り上げられました。

今回は、現行の延長支援加算の要件と課題を確認し、今後の見直しの方向性や、生活介護事業者様が確認しておきたい事項を説明します。

なお、今回取り上げる見直し案は検討段階であり、正式に決定された内容ではありません。

1.生活介護の延長支援加算とは?現行の算定要件と単位数

生活介護の延長支援加算は、生活介護の前後に引き続き日常生活上の世話を行い、一定の要件を満たした場合に算定できる加算です。

令和6年度の報酬改定で、生活介護の基本報酬はサービス提供時間に応じた区分となり、8時間以上9時間未満までが対象となりました。

これに伴い、延長支援加算は、8時間以上9時間未満の生活介護と、その前後の日常生活上の世話を通算した所要時間が、9時間以上となる場合を評価する仕組みに変更されています。

所要時間 加算単位数
9時間以上10時間未満 100単位/日
10時間以上11時間未満 200単位/日
11時間以上12時間未満 300単位/日
12時間以上 400単位/日

ただし、合計9時間以上利用していれば、必ず算定できるわけではありません。

報酬告示と実施上の留意事項通知では、対象となる生活介護の時間区分に加え、次の取扱いが示されています。

  • 所要時間は、生活介護計画に定めた時間ではなく、実際にサービスを提供した時間で判断する。
  • 原則として、送迎のみを実施する時間は含めない。
  • 延長時間帯には、直接支援業務に従事する職員を1名以上配置する。

また、施設入所者は算定対象外です。加算に係る施設基準を満たし、必要な届出を行うことも求められます。

2.生活介護の延長支援加算の現状と課題

厚生労働省の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査では、回答した612事業所のうち、延長支援を実施している事業所は10.5%でした。

また、延長支援を実施している事業所のうち、令和6年9月に延長支援加算を算定していないと回答した割合は42.2%となっています。

延長支援を実施していても、加算の算定にはつながっていない事業所があることが分かります。

① 実際の利用時間で要件を満たす必要がある

現行制度では、通常の終了時刻を過ぎて支援しても、通算した実際の利用時間が9時間に満たなければ、加算の対象となりません。

東京都の「令和6年度報酬改定に関するQ&A Vol.3」(13ページ・問37)では、次の事例が示されています。

  • 実際のサービス提供時間:5.5時間
  • 障害特性による配慮時間:2時間
  • 通常の退所時間からの延長:1.5時間

この場合、計算上は9時間となりますが、配慮時間を除いた実際の利用者受入時間は7時間のため、算定できないとされています。

基本報酬の算定に用いる時間と、延長支援加算の判定に用いる実際の利用時間は、分けて確認する必要があります。

② 延長時間帯にも支援体制が必要になる

延長支援には、通常のサービス提供時間の前後にも職員を確保する必要があります。

特に、医療的ケアや強度行動障害への対応が必要な利用者については、延長時間帯にも、その方の状態に応じた支援を行える体制が求められます。

事業所にとっては、利用希望だけでなく、職員の勤務時間や配置、必要な支援内容を踏まえて、受入れを判断することになります。

ただし、こうした負担が延長支援の実施率や加算の算定状況にどの程度影響しているかは、調査結果だけでは断定できません。

3.特別支援学校卒業後の生活介護で、夕方以降の居場所が課題になる理由

夕方以降の居場所の確保は、特別支援学校等の卒業後に初めて生じる問題ではありません。在学中も、学校や放課後等デイサービスの終了後に支援が必要となる場合があります。

一方、在学中は学校と放課後等デイサービス等を組み合わせて、夕方までの活動や見守りの機会を確保できる場合があります。

卒業後に生活介護へ移行すると、利用できるサービスや終了時刻が変わり、それまで確保できていた時間帯の支援を受けられなくなることがあります。

例えば、放課後等デイサービスを夕方まで利用していた方が、生活介護の終了に合わせて早い時刻に帰宅することになれば、家族の勤務時間との調整が必要になります。

卒業後の課題は、夕方以降の支援ニーズに加え、サービスの切替えによって、それまで利用できていた支援が途切れる場合があることです。

厚生労働省の検討資料(63ページ)でも、卒業後の居場所や預かり、人との交流、生涯学習の機会などが課題として挙げられています。生活介護事業所での生涯学習の実施を、努力義務として位置付けることも検討されています。

4.令和9年度の生活介護報酬改定で延長支援加算はどう変わる?

第66回障害福祉報酬改定検討チーム資料(63ページ)では、延長支援加算について、主に次の方向性が示されています。

① 夕方以降の居場所や預かりへの評価を拡充する

特別支援学校等の卒業後も必要な支援を受けられるよう、夕方以降の居場所や預かりのニーズを踏まえ、延長支援加算の評価を拡充することが検討されています。

ただし、現行の「9時間以上」という時間要件が緩和されるかどうかは、現時点では示されていません。

評価の拡充が、そのまま時間要件の緩和や、すべての事業所の増収を意味するわけではありません。

② 重度障害者への延長支援を評価する

強度行動障害の状態にある方や、医療的ケアが必要な方などに対する延長支援についても、評価の拡充が検討されています。

例えば、医療的ケアが必要な方を受け入れる場合は、延長時間帯にも必要なケアに対応できる体制が求められます。

今後は、こうした支援の内容や負担を、報酬上どのように評価するかが確認点となります。

新たな単位数、対象者の範囲、職員配置などの具体的な算定要件は、今後の公表資料で確認する必要があります。

5.生活介護と日中一時支援の連携を新たに評価へ

延長支援加算の拡充とは別に、生活介護と日中一時支援事業所等が連携して支援を行う場合の、新たな評価も検討されています。

日中一時支援は、障害者等の日中の活動の場を確保し、家族の就労支援や一時的な休息などを目的とする地域生活支援事業です。市町村等が実施主体となり、地域の状況に応じて行われています。

生活介護の終了後に別の日中一時支援事業所を利用する場合には、障害特性、健康状態、必要な介助などを引き継ぐことが考えられます。

今回の検討は、こうした連携を評価し、生活介護終了後も支援が途切れない体制につなげようとするものです。

生活介護事業者に、日中一時支援への参入を一律に求める内容ではありません。

また、連携の具体的な方法や、どちらの事業所が評価を受けるのかなどは、現時点では示されていません。日中一時支援の利用条件や、生活介護と同じ日に利用できるかどうかも、各自治体の取扱いを確認する必要があります。

6.生活介護事業所が今から確認しておきたいこと

正式な要件の公表前でも、現在の利用者の希望や支援体制を確認しておくことはできます。

  • 利用者・家族の希望
    生活介護の終了後に、どの時間帯まで、どのような支援を必要としているか。
  • 実際の利用時間と職員配置
    現在の受入時間や勤務体制で、延長支援に対応できるか。
  • 重度障害者への対応
    延長時間帯にも、医療的ケアや障害特性に応じた支援を提供できるか。
  • 地域の事業所との連携
    利用可能な日中一時支援事業所等があり、情報共有や引継ぎを行えるか。

増員や営業時間の変更を判断する際は、見直し案による加算収入を確定した収入として見込まず、正式な算定要件と利用見込みを確認することが大切です。

まとめ

令和9年度の障害福祉サービス報酬改定では、生活介護の延長支援加算について、夕方以降の支援ニーズや重度障害者への対応を踏まえた評価の拡充が検討されています。

日中一時支援事業所等との連携についても、新たな評価が検討されていますが、具体的な算定要件は今後の確認事項です。

現在の算定要件と今後の見直し案を区別し、利用者の希望、職員配置、地域の支援体制を確認しながら、正式な改定内容を見ていく必要があります。

※本記事は、令和8年11月時点で公表されている資料に基づいています。令和9年度報酬改定に関する検討事項は、今後変更される可能性があります。

(参考資料)

1.「施設入所支援、生活介護、短期入所、療養介護に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和8年10月22日)(厚生労働省・こども家庭庁)

第66回障害福祉報酬改定検討チーム資料。
※主に63~69ページを参照。障害児施策からの円滑な移行、延長支援加算の拡充、日中一時支援事業所等との連携評価及び延長支援の実施状況を確認できる資料です。

2.「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)(厚生労働省)

※第6「生活介護」11「延長支援加算」を参照。現行の単位数及び算定要件を定めた報酬告示です。

3.「実施上の留意事項について」(平成18年10月31日・障発第1031001号)(厚生労働省)

※生活介護サービス費の「延長支援加算の取扱い」を参照。実際のサービス提供時間や延長時間帯の職員配置等を示しています。上記1の検討チーム資料64ページにも、該当部分が掲載されています。

4.「令和6年度報酬改定に関するQ&A Vol.3」(令和6年10月24日時点)(東京都福祉局)

※13ページ・問37を参照。障害特性による配慮時間と、延長支援加算の判定に用いる実際の利用者受入時間の関係を示したQ&Aです。

5.「地域生活支援事業の実施について」(平成18年8月1日・障発第0801002号)(厚生労働省)

※地域生活支援事業実施要綱の日中一時支援事業を参照。事業の目的、対象者及び事業内容などを示した通知です。

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