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加算・減算・報酬改定

関係機関連携加算、算定できる連携を見逃していませんか?|学校・医療機関等との日常業務から確認する

藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
この記事を書いた行政書士
藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
障がい福祉・児童福祉事業所の指定申請・運営支援を中心に取り扱っています。

はじめに

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、学校、保育所、医療機関、児童相談所などと連携する機会があります。

学校の先生と支援方法を話し合う、医療機関とこどもの状態を共有する、就学前に小学校へ支援内容を引き継ぐ。

こうした業務を行っていても、「関係機関連携加算の対象になるとは知らなかった」ということがあるかもしれません。

関係機関連携加算は、令和6年度報酬改定で見直され、Ⅰ~Ⅳの区分が設けられています。単位数はⅠが250単位、Ⅱが200単位、Ⅲが150単位、Ⅳが200単位です。

Ⅰ~Ⅲはそれぞれ月1回が限度です。ただし、ⅠとⅡは同一月に併算定できません。Ⅳは月ごとの加算ではなく、就学・就職に伴う連絡調整等について1回を限度に算定する区分です。

本記事では、令和8年10月時点の現行制度を基に、日常的に行っている業務から算定対象となる連携を確認する方法を説明します。

なお、令和9年度報酬改定に向けて、関係機関連携加算の対象となる連携の範囲等について見直しが検討されています。この点については、記事の最後で整理します。

1.まず「誰と連携したか」から確認する

加算を確認するときは、最初からⅠ~Ⅳの要件を読み比べるよりも、まず「今月、誰と連携したか」を確認すると分かりやすくなります。

主な連携先は、学校・保育所、児童相談所、こども家庭センター、医療機関、保健所・保健センター、就学先・就職先などです。

次に、「何のために連携したのか」を確認します。

・学校・保育所等との個別支援計画の作成や見直しに関する会議……Ⅰ
・学校・保育所等との、それ以外の情報共有のための会議……Ⅱ
・医療機関・児童相談所等との情報共有のための会議……Ⅲ
・就学・就職に向けた連絡調整や相談援助……Ⅳ

図1 関係機関連携加算|まずは「誰と連携したか」を確認

例えば、同じ小学校との連携でも、在学中の支援について話し合ったのか、入学に向けて支援内容を引き継いだのかによって、確認する区分が変わります。

なお、こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.2」(令和6年4月12日)問3では、Ⅲの「その他の関係機関」として、保健所・保健センターなどが想定されると示されています。

2.「連携した」だけで算定できるわけではありません

学校の先生と話した、医療機関へ電話した、会議に出席した。

その事実だけで、自動的に算定できるわけではありません。

誰と、何について、どのような方法で連携し、どのような記録を残したかまで確認します。

算定前には、次の点を確認しておきます。

・対象となる関係機関との連携か
・対象児について具体的な情報共有や連絡調整を行ったか
・区分ごとに必要な会議や連絡調整等を行ったか

・出席者、日時、内容の要旨などを記録したか
・同月算定や他加算との重複がないか
・あらかじめ保護者の同意を得ているか

図2 関係機関連携加算|「連携した=算定」ではありません

記録には「学校と連携した」とだけ書くのではなく、対象児の状況、共有した情報、確認した支援方法などを残しておきます。

後から記録を確認する職員にも、何を目的として、どのような連携を行ったのかが分かる状態にしておくことが重要です。

3.学校・保育所等との会議は、Ⅰ・Ⅱを確認する

学校や保育所等との会議では、個別支援計画の作成・見直しに関するものか、それ以外の情報共有かを分けて確認します。

例えば、個別支援計画を見直すに当たり、学校での様子を聞き、事業所での支援目標や対応方法を話し合った場合は、Ⅰの要件を確認します。

Ⅰでは、会議を開いただけではなく、関係機関と連携して個別支援計画を作成・見直すことまで確認します。

一方、計画の作成・見直しとは別に、最近の学校での様子や事業所での支援状況について会議で情報共有した場合は、Ⅱの確認対象になります。

「相手先が学校だからⅠ」と判断するのではなく、会議の目的と個別支援計画との関係を見ることがポイントです。

4.医療機関・児童相談所等との会議は、Ⅲを確認する

医療機関、児童相談所、こども家庭センター等との会議で、対象児の心身の状況や生活環境について情報共有・連絡調整を行った場合は、Ⅲの要件を確認します。

例えば、

・医療機関と、こどもの状態や支援上の留意点を共有した
・児童相談所と、対象児への支援について協議した
・こども家庭センターと、家庭状況や支援方針を確認した

といった場面です。

ここでは、他の加算で評価されている連携と重複していないかも確認します。

個別サポート加算(Ⅱ)を算定している場合、同加算で求められる児童相談所等との情報連携について、関係機関連携加算(Ⅲ)を重ねて算定することはできません。

「個別サポート加算(Ⅱ)があるからⅢはすべて算定できない」と一律に判断するのではなく、どの連携を根拠に算定するのかを整理します。

5.サービス担当者会議への参加は、Ⅱの算定対象ではありません

会議に参加した場合は、会議の名称だけでなく、その性質を確認します。

こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)問36では、障害児相談支援事業所が主催するサービス担当者会議への参加について、関係機関連携加算(Ⅱ)は算定しないと示されています。

指定通所支援事業者には、障害児相談支援事業者等が行う連絡調整への協力が求められており、その参加をこの加算で評価するものではないためです。

また、同Q&A問34では、地域課題を検討するために対象児を一事例として取り上げた会議も、算定対象ではないとされています。

「会議に参加した」という実績だけでなく、その会議が対象児への具体的な支援について行われたものか、加算で評価される会議なのかを確認します。

6.電話での情報交換と、就学・就職時の連携を区別する

学校や関係機関との日常的な連絡には、電話を使うことも多いでしょう。

ただし、前掲Q&A VOL.1問34では、電話による情報交換だけでは、Ⅰ~Ⅲは算定できないと示されています。

Ⅰ~Ⅲは会議の開催・参加による情報連携を基礎としており、会議は対面のほか、テレビ電話装置等を活用して行うこともできます。

一方、Ⅳは必ずしも会議の開催まで求められていません。

就学・就職に向けて連絡調整や相談援助を行い、保護者の同意を得て、こどもの状態や支援方法を記録した文書を就学先・就職先に渡すことなどが必要です。

現行制度では、就学時は小学校等への入学が対象で、中学校・高校への進学を一律に含むものではありません。また、就職先が就労継続支援A型・B型、就労移行支援事業所の場合は、現行の関係機関連携加算(Ⅳ)の対象とはなりません。

ただし、この点については、令和9年度報酬改定に向けて見直しが検討されています。詳しくは第9章で確認します。

「学校に連絡した」という同じ記録でも、日常的な情報交換なのか、就学時の引継ぎなのかを分けて確認することが大切です。

7.月末・請求前には、実際の連携記録を見直す

算定漏れを防ぐには、「今月、加算を算定できる利用児はいないか」と考えるだけではなく、実際に行った業務の記録から確認する方法が有効です。

児童発達支援管理責任者や担当職員が、次の記録を確認し、請求担当者と算定区分を照合すると整理しやすくなります。

・学校・保育所等との会議記録
・医療機関・児童相談所等との連携記録
・個別支援計画の作成・見直し記録
・就学・就職に向けた連絡調整・引継ぎ記録

図3 関係機関連携加算|日常業務を「算定確認」につなげる

例えば、学校との会議記録を開いたら、開催日と参加者を確認し、個別支援計画の作成・見直しに関する会議かを見ます。

次に、保護者の同意や計画への反映を確認して、Ⅰの要件と照合します。

連携の内容を把握している職員と請求を行う職員が、同じ記録を基に確認することが、算定漏れを防ぐポイントです。

8.算定漏れと重複算定の両方を確認する

請求前には、算定できる連携の見落としだけでなく、重複算定についても確認します。

前掲Q&A VOL.1問35では、ⅠとⅡは同一月にいずれか1回のみとされています。

ⅠまたはⅡとⅢは、要件を満たせば同一月にそれぞれ1回ずつ算定できます。ただし、ⅠまたはⅡの会議とⅢの会議の参加者が同一の場合は、併算定できないとされています。

学校の先生と医療機関の担当者が同席したからといって、一つの会議をⅡとⅢに分けて二重に算定することはできません。

相手先、目的、会議内容、参加者、記録、他加算との関係まで照合してから請求内容を確定します。

9.令和9年度報酬改定に向けて見直しが検討されています

令和8年10月5日に開催された第65回障害福祉報酬改定検討チームでは、関係機関連携加算について複数の見直しの方向性が示されました。

一つ目は、保育所や放課後児童クラブ等との継続的な連携の下で、事業所職員が実際に訪問し、こどもの支援方法の共有、受入れ環境の調整、専門的な助言等を行う取組を評価することです。

二つ目は、学校や保育所などの機関だけでなく、地域における多様な活動や居場所等との連携を評価対象に加えることです。国の資料では、背景となる地域資源の例として、こども食堂、居場所づくり活動、習い事、スポーツクラブなども挙げられています。

三つ目は、高校卒業後の移行支援です。

現行制度では企業等への就職に伴う連携が評価されていますが、今回の検討では、一般就労だけでなく、就労系障害福祉サービスや生活介護等への移行についても評価対象とすることが示されています。

さらに、学校や関係機関と連携して行う受入先の探索・選定、実習・体験機会の調整、進路先とのケース会議、情報共有や支援内容の引継ぎなどについても評価する方向が検討されています。

ただし、これらは令和8年10月5日時点では「検討の方向性」です。新しい区分、単位数、算定回数、具体的な要件が確定したものではありません。

したがって、現時点の請求では、これまでのⅠ~Ⅳの算定要件に基づいて確認する必要があります。

まとめ

日常的に行っている学校・保育所・医療機関・児童相談所等との連携の中に、関係機関連携加算の要件を満たす取組が含まれている可能性があります。

まずは直近の会議録や連携記録を開き、「誰と」「何のために」「どのような方法で」連携したかの確認をおすすめします。

そのうえで、保護者の同意、区分ごとの要件、記録、重複算定の有無を確認し、請求内容と照合します。

実際に行った支援と算定要件を結び付けて確認することが、算定漏れと誤算定の両方を防ぐ基本になります。

また、令和9年度報酬改定に向けて、訪問による連携、地域の多様な活動・居場所との連携、高校卒業後の障害福祉サービスへの移行支援など、関係機関連携加算の見直しが検討されています。

今後、具体的な算定要件が示された際には、現行制度との違いを改めて確認する必要があります。

(参考資料)

・「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日・こども家庭庁)
問34:電話による情報交換・地域課題を検討する会議の取扱い
問35:Ⅰ~Ⅲの併算定ルール
問36:サービス担当者会議への参加の取扱い

・「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.2」(令和6年4月12日・こども家庭庁)
問3:Ⅲの連携先として想定される保健所・保健センター等

・「令和8年度 児童発達支援・放課後等デイサービス」自主点検資料(大津市)
項目80「関係機関連携加算」(P91~93)

・「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(第65回障害福祉報酬改定検討チーム・令和8年10月5日・厚生労働省/こども家庭庁)
論点8「児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける地域支援機能の強化について」P77
論点9「地域における活動参加及び居場所の充実に向けた連携強化について」P83
論点11「高校卒業後における円滑な接続・移行支援の評価について」P91

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