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はじめて他サービスを「体験」に送り出す場面で誤解が多いのが「障害福祉サービスの体験利用支援加算」です。今回は「障害福祉サービスの体験利用支援加算」の制度の位置づけ・対象サービス・単位・算定要件・記録と留意点まで、実務で迷いやすいポイントを整理して説明します。
目次
- 体験利用支援加算とは
- 誰が算定できるか
- 対象サービス
- 算定できる単位と日数区分
- 主な算定要件(支援内容・連絡調整・記録)
- 併算定の可否・届出の実務
- ケース別の運用例
- よくある落とし穴Q&A
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体験利用支援加算とは
利用中の事業所が、利用者の地域移行やサービス選択のために他の障害福祉サービスを「体験的に利用」させる支援を行った日に算定できる加算です。
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誰が算定できるか(“受入先”ではありません)
加算の算定主体は体験利用を受け入れた事業所ではなく、体験利用を行う利用者が現在利用している事業所(送り出し側)です。受入先はこの加算を算定しません(受入調整の委託費等は別途の契約実務)。
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対象サービス

・就労継続支援A型・B型
・就労移行支援
・生活介護
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算定できる単位と日数区分
- 体験利用支援加算(Ⅰ):500単位/日(体験開始から5日以内の期間)
- 体験利用支援加算(Ⅱ):250単位/日(6~15日以内の期間)
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主な算定要件(支援内容・連絡調整・記録)
- 算定の対象となる支援
- 体験利用日の昼間の時間帯における介護等の支援を行った場合、または
- 体験利用に係る指定一般相談支援事業者・指定地域移行支援事業者との連絡調整その他の相談援助を行った場合。
- 記録義務:実施した支援の内容・時間・連絡調整の相手方等を記録すること。
- 日数の考え方:体験利用の初日から起算し、5日以内=体験利用支援加算(Ⅰ)、6~15日以内=体験利用支援加算(Ⅱ)として整理。
- 当日の基本報酬との関係:体験利用に該当する日の基本報酬等は算定不可とする取扱いが示されています(当該加算のみ算定)。
- 事前支援の算定日:体験利用前に準備的な支援を行った場合でも、実際の体験利用の初日に算定する整理が示されています。
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併算定の可否・届出の実務
- 併算定:体験利用日に基本報酬等を併せて算定しないこと。
- 届出:加算の新規取得・取下げは、所轄自治体の定める期日・様式で届出。
- 要件不充足が判明した場合:速やかな届出と過誤返還の手続が示されており、利用者負担分の精算も必要です。
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ケース別の運用例
- 例1:就労Bの利用者を生活介護へ体験
送り出し元(就労B)が、体験当日の支援・連絡調整を実施し記録。(Ⅰ)~(Ⅱ)の範囲で日数に応じて算定。受入先(生活介護)は本加算を算定しない。 - 例2:体験初日前の準備(見学調整・送迎可否の確認など)
実際の体験が実施されたら、初日に加算算定(準備日には算定しない)。 - 例3:同一日に自事業の基本報酬も算定?
体験該当日は基本報酬等の算定は不可。体験支援加算のみ。
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よくある落とし穴Q&A

Q1. 受入先で算定してよい?
A. できません。算定は“送り出し側”のみです。
Q2. 何日まで算定できる?
A. 初日から5日以内=500単位/日 体験利用支援加算(Ⅰ)、6~15日以内=250単位/日 体験利用支援加算(Ⅱ)です。
Q3. 体験当日の基本報酬は?
A. 算定できません。
仕上げのチェックリスト(実務)
- 体験の目的・到達目標を個別支援計画に位置づけ
- 当日の支援内容・連絡調整の記録(誰が・いつ・何を・どれだけ)
- 体験日=基本報酬の不算定の確認
- (Ⅰ)(Ⅱ)の日数カウントの誤り防止(初日起算)
- 届出・体制の整合性(要件不充足時は速やかに取下げ・精算)
(参考文献)
障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)
障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)
(参考資料)