はじめに
児童指導員等加配加算は、多くの児童発達支援・放課後等デイサービス事業所で算定されている加算です。
厚生労働省・こども家庭庁が令和8年10月5日に公表した資料によると、令和8年3月サービス提供分の算定率は、児童発達支援で84.7%、放課後等デイサービスで91.6%となっています。
一方、吹田市が公表している報酬返還事由には、利用児童数に応じた基準人員が配置されていない日に、この加算を算定していた事例が挙げられています。
職員を追加で雇用していても、それだけで毎日の算定要件を満たすわけではありません。その日の利用児童数に応じた基準人員と、加算のために追加配置する職員を、それぞれ確認する必要があります。
この記事では、運営指導で確認される人員配置や根拠資料、毎月の請求前に行いたい点検を整理します。
1.基準人員と加配人員を分けて確認する

児童指導員等加配加算は、基準上必要な職員に加えて、児童指導員、保育士、理学療法士等又はその他の従業者を配置した場合に算定するものです。
管理者や児童発達支援管理責任者を含め、基本報酬の算定に必要な職員が配置されていることが前提となります。そのうえで、追加配置する職員が、届け出ている加算区分の要件を満たしているかを確認します。
主な確認点は、次のとおりです。
- 常勤専従の配置か、常勤換算による配置か
- 児童福祉事業等の経験が5年以上か、5年未満か
- 児童指導員等の対象職種か、その他の従業者か
基準人員として必要な職員を、同じ配置時間について加配人員にも重ねて数えることはできません。
吹田市の令和7年度集団指導資料でも、常勤専従区分の加算対象職員を基準人員として配置した場合は、算定要件を満たさないと説明されています。職員の採用時や届出時だけでなく、勤務実績を毎月確認することが必要です。
2.人員配置で確認したい4つのポイント
① 利用児童数が増えた日の配置
例えば、主として重症心身障害児を通わせる事業所を除く、定員10名の放課後等デイサービスを考えてみます。
利用児童数が10名以下の場合、基準上必要な児童指導員又は保育士は2名以上です。しかし、やむを得ない事情で12名を受け入れた場合は、実際の利用児童数に応じて3名以上の配置が必要になります。
この日に、普段は加配職員として配置している3人目を基準人員に充てた場合、ほかに加配要件を満たす配置があるかを確認しなければなりません。
「いつも3名いるから加算を算定できる」と判断せず、その日の利用児童数から必要な基準人員を確認します。
なお、定員を超えた受入れが認められるのは、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合です。定員超過利用減算に該当しない人数であっても、自由に定員を超えてよいわけではありません。
② サービス提供時間帯を通じた配置
勤務表に必要な人数が記載されていても、早退や遅刻、勤務時間の違いによって、支援中の一部の時間帯で人員が不足する場合があります。
例えば、サービス提供が17時まで続く日に、基準人員の1人が16時に退勤していれば、16時以降の配置を確認する必要があります。
加配職員についても、こども家庭庁の「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1」問10(令和6年3月29日)では、サービス提供時間帯を通じた配置が必要とされています。また、加配職員が事務作業だけを行い、直接支援や家族支援に一切当たらない状況は想定されていません。
1日の勤務時間の合計だけでなく、実際に支援を行っている時間帯に、誰がどの職務に当たっていたかを確認します。
③ 常勤専従区分と兼務の関係
常勤職員であっても、兼務の内容によっては「常勤専従」の区分を算定できません。
こども家庭庁の同Q&A VOL.3問6(令和6年5月2日)では、管理者と児童指導員を兼務している職員は、この加算の「専従」要件を満たさないとされています。
一方、多機能型事業所の兼務は、組み合わせによって扱いが異なります。同VOL.3問5では、児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に行い、両事業を通じて加配職員として配置されている場合は、専従として取り扱うとされています。
保育所等訪問支援や生活介護等との兼務は、同じ扱いにはなりません。「多機能型だから専従ではない」「同じ事業所内だから専従でよい」と一律に判断せず、兼務する事業と職務を確認します。
④ 経験年数を裏付ける資料
「経験5年以上」の区分は、履歴書に記載された在籍期間だけで判断しないようにします。
こども家庭庁の同Q&A VOL.1問13では、雇用形態や1日当たりの勤務時間数は問わないものの、1年当たり180日以上の勤務を想定するとされています。また、この加算では、資格取得前や、その職種として配置される前の経験も含めることができます。
勤務先、従事した業務、従事期間、実際の勤務日数を、実務経験証明書等で確認しておきます。
過去の勤務先が廃業して証明書を取得できない場合は、同問11に基づき、雇用契約書、給与明細書、勤務表等を活用する方法もあります。どの資料で確認できるか、指定権者に相談します。
なお、専門的支援体制加算で保育士・児童指導員に求められる経験年数とは、資格取得前の経験の扱い等が異なるため、分けて確認する必要があります。
3.運営指導では資料の内容を照合する

運営指導に備える際は、届出書だけでなく、実際の利用状況や勤務状況を示す資料をそろえます。
| 確認する資料 | 主な確認内容 |
| サービス提供実績記録票・利用実績一覧 | 日ごとの実利用児童数、利用日、提供時間 |
| 勤務形態一覧表・勤務実績表 | 職員の職種、勤務時間、基準人員と加配人員の配置、兼務関係 |
| 出勤簿・タイムカード | 実際の出退勤時刻、遅刻、早退、欠勤、休暇 |
| 資格証・実務経験証明書等 | 対象職種への該当、経験年数の根拠 |
| 加算届出書・体制届の控え | 届け出ている加算区分と算定開始時期 |
例えば、勤務実績表では17時まで勤務したことになっていても、タイムカードに16時退勤と記録されていれば、その理由と実際の配置を確認します。
国保連への請求が返戻されず、給付費が支払われていても、実際の人員配置が適切だったことまで確認されたわけではありません。
「利用児童数」「勤務実績」「届出区分」の内容がつながっているかを、事業所側で確かめておくことが大切です。
4.毎月の請求前に行いたい3つの点検

ステップ1 実際の利用児童数を集計する
予約人数ではなく、実績記録票等から、その日に実際に利用した児童数を集計します。
利用人数が増えた日や、通常と異なる受入れがあった日は、配置を重点的に確認します。
ステップ2 基準人員が確保されていたか確認する
実利用児童数から必要な基準人員を確認し、勤務実績表やタイムカードと照合します。
急な欠勤、早退、遅刻があった日は、変更後の配置が分かるように記録を残します。月全体の常勤換算と、サービス提供時間帯に必要な配置は、分けて確認します。
休暇の取扱いにも注意が必要です。こども家庭庁の同Q&A VOL.5問3(令和6年6月6日)では、常勤の加配職員が病欠や有給休暇を取得した場合も配置要件を満たすとされる一方、欠勤等が1月以上続く場合は、要件を満たさなくなるとされています。
常勤加配職員が休んだ日を、一律に算定不可とするわけではありません。ただし、基準人員について必要な配置が確保されているかは、別に確認します。
ステップ3 届出区分に合った加配人員を確認する
基準人員を確認したうえで、追加配置する職員が、届出区分の要件を満たしているかを確かめます。
- 加配職員を基準人員に充てていないか
- 常勤専従又は常勤換算の要件を満たしているか
- 兼務や担当業務に変更がないか
- 経験年数の根拠資料がそろっているか
要件を満たさないことが分かった場合は、該当する日や期間、請求への影響を整理します。請求済みであれば過誤調整、配置体制が変わっていれば体制届の変更について、指定権者に確認します。
まとめ
児童指導員等加配加算の確認では、「実利用児童数 → 基準人員 → 加配人員 → 届出区分」の順に資料を照合すると、確認する内容が整理しやすくなります。
普段どおりの勤務体制でも、利用人数の増加や早退、兼務の変更によって、確認が必要になることがあります。毎月の請求前に、利用実績と勤務実績を並べて点検しておくことが、請求誤りや後日の返還を防ぐことにつながります。
なお、令和8年10月5日の国の資料では、児童指導員等加配加算と専門的支援体制加算の整理・統合が検討されています。現時点では検討段階であり、現在の請求は現行の算定要件に基づいて確認します。
(参考資料)
・「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和8年10月5日)(厚生労働省・こども家庭庁)P30~32
加算の算定状況と見直しの検討内容。
・「令和7年度 指定障害児通所支援事業者集団指導(報酬算定編)」(吹田市)P14
基準人員と加配人員の確認、専門的支援体制加算との併算定。
・「障害福祉サービス等報酬(障害児支援)に関するQ&A一覧」(こども家庭庁)P37~41
令和6年度報酬改定等に関するQ&A VOL.1(令和6年3月29日)問10~13
VOL.3(令和6年5月2日)問5・6
VOL.5(令和6年6月6日)問3
加配職員の配置、経験年数、専従要件、病欠・有給休暇の取扱い。