はじめに
障害福祉サービスや放課後等デイサービスの事業者様から、サービス管理責任者(サビ管)・児童発達支援管理責任者(児発管)の資格要件について、ご質問をいただくことがあります。
「福祉施設で5年間働いていればサビ管になれるのか」「基礎研修を修了すれば児発管として配置できるのか」など、実務経験と研修の関係は分かりにくい部分があります。
サビ管・児発管として配置するには、実務経験と研修修了の両方の要件を満たす必要があります。
今回は、これからサビ管・児発管を目指す方の一般的な流れについて、実務経験の確認方法、研修の受講順序、更新研修を中心に解説します。
1.サビ管・児発管になるには?必要な2つの要件を確認

サビ管は、生活介護、就労継続支援B型、共同生活援助などの障害福祉サービス事業所で、個別支援計画の作成やサービス提供の管理を担当します。
児発管は、児童発達支援や放課後等デイサービスなどで、個別支援計画の作成や支援内容の管理を担当します。
対象となるサービスは異なりますが、どちらも次の2つが必要です。
- 実務経験要件:相談支援・直接支援などの所定の業務経験があること
- 研修修了要件:必要な基礎研修等と実践研修を修了していること
大阪府の「令和8年度サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修について」でも、一定の実務経験と研修の受講が必要であることが示されています。
基本的な流れは、次のとおりです。
実務経験の確認 → 基礎研修等 → OJT → 実践研修 → 配置 → 更新研修
ただし、配置に必要な実務経験をすべて積み終えてから、研修を始めるとは限りません。実務経験の一部と研修の受講は、並行して進めることができます。
2.実務経験は何年必要?年数と従事日数の両方を確認する
(1)業務内容や保有資格によって必要な経験が異なる
サビ管・児発管に必要な実務経験は、勤務先の名称や在籍年数だけで決まるものではありません。担当してきた業務や保有資格によって、必要な年数が異なります。
神奈川県の「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者になるまでの流れ」(PDFの2ページ)では、主な実務経験要件を次のように示しています。
| 主な業務区分 | サビ管 | 児発管 |
| 相談支援業務 | 5年以上・900日以上 | 5年以上・900日以上 |
| 所定の資格等を有する場合の直接支援業務等 | 5年以上・900日以上 | 5年以上・900日以上 |
| 所定の資格等を有しない場合の直接支援業務 | 8年以上・1,440日以上 | 8年以上・1,440日以上 |
また、国家資格等による業務経験がある場合は、次の区分があります。
- サビ管:国家資格等による業務3年以上に加え、相談支援・直接支援業務が通算3年以上・540日以上
- 児発管:国家資格等による業務5年以上に加え、相談支援・直接支援業務が通算3年以上・540日以上
国家資格等による業務と相談支援・直接支援業務の期間は、要件を満たす場合、同じ期間を数えることができます。
ただし、国家資格等を持っているだけで、必要な実務経験が短縮されるわけではありません。その資格に基づく業務に従事した期間も確認が必要です。
さらに、児発管は、必要な実務経験の中に、児童または障害者への支援経験を3年以上・540日以上含むことが必要です。高齢者施設などでの経験が長くても、それだけで要件を満たすとは限りません。
(2)5年間在籍していても900日に届かない場合がある
実務経験は、対象業務に従事した期間と、実際の従事日数の両方を確認します。
例えば、相談支援業務で5年以上の経験が必要な場合は、次の両方を満たす必要があります。
- 対象業務に従事した期間:5年以上
- 実際に対象業務に従事した日数:900日以上
5年間勤務していても、従事日数が860日であれば、日数の要件に達していません。また、在籍期間中であっても、長期間の休職など、対象業務に従事していない期間をそのまま含めることはできません。
採用や配置を検討する際は、「何年間在籍したか」だけでなく、「どの業務に、何年間・何日従事したか」を確認することが重要です。
実務経験証明書の集め方や、複数法人で勤務していた場合の確認方法については、関連記事「サビ管・児発管の実務経験証明書はどう集める?|履歴書・実日数・複数法人・廃業事業所の確認手順」で詳しく解説しています。
3.基礎研修から実践研修まで|OJTを含む受講の流れ

(1)基礎研修と相談支援従事者初任者研修の所定課程を修了する
サビ管・児発管を目指す場合、まず必要になるのが次の2つです。
- サービス管理責任者等基礎研修
- 相談支援従事者初任者研修の講義部分(大阪府では2日課程)
どちらを先に受講しても構いませんが、基礎研修だけでは、必要な研修課程を修了したことにはなりません。以下、この2つを合わせて「基礎研修等」といいます。
大阪府の令和8年度研修案内では、基礎研修は、配置に必要な実務経験を満たす2年前から受講できるとされています。
例えば、相談支援業務5年以上が必要な職員であれば、3年以上の段階から受講対象となります。配置に必要な5年間の経験を積み終えるまで、研修を待つ必要はありません。
(2)基礎研修等の修了後は原則2年以上のOJTが必要
基礎研修等を修了した後、実践研修を受講するまでには、原則2年以上の実務経験(OJT)が必要です。
OJTとは、実際の業務を通じて経験を積むことです。相談支援・直接支援業務に従事しながら、既に配置されているサビ管・児発管と協力して、個別支援計画案の作成や会議などに関わることが考えられます。
神奈川県の資料(PDFの8ページ)でも、個別支援計画案の作成や個別支援会議への参加などが例として紹介されています。ただし、これらの業務だけに限定されるものではありません。
原則2年以上のOJTは、基礎研修等の両方を修了した後の経験が対象です。実践研修の受講開始日前5年間に、対象となる業務に2年以上従事している必要があります。
なお、配置に必要な「実務経験5年」と、研修後の「OJT2年」は、必ずしも別々に積み上げるものではありません。
例えば、相談支援業務の経験が3年ある時点で基礎研修等を修了し、その後2年間、対象業務に従事することで、配置に必要な5年間の実務経験と、実践研修の受講に必要なOJTの両方を満たせる場合があります。
(3)実践研修の修了と実務経験要件を確認して配置する
原則2年以上のOJTを経て実践研修を修了すると、研修修了要件を満たします。
そのうえで、配置に必要な実務経験要件も満たしていることを確認します。基礎研修を修了しただけで、通常の配置要件を満たすわけではありません。
なお、一定の条件をすべて満たす場合には、実践研修の受講に必要なOJTを6か月以上に短縮できる特例があります。経験年数だけで適用されるものではなく、個別支援計画作成業務への従事や、指定権者への届出なども必要です。
詳しくは、関連記事「児発管の要件は『最短』で満たす!実務経験の数え方2年待機を6ヶ月に縮める戦略を解説」をご参照ください。
4.サビ管・児発管の更新研修はいつ必要?受講期限と要件を確認する

実践研修を修了した後も、継続して配置要件を満たすためには更新研修が必要です。
実践研修を修了した年度の翌年度から5年度間に、更新研修を1回修了する必要があります。
例えば、令和8年度に実践研修を修了した場合は、令和9年度から令和13年度までの5年度間に更新研修を修了します。その後も、更新研修を修了した年度の翌年度から5年度間ごとに更新が必要です。
ただし、期限内であれば誰でも受講できるわけではありません。大阪府の令和8年度研修案内では、実践研修または更新研修の修了後、次のいずれかに該当することが必要とされています。
- 現にサビ管・児発管、管理者、相談支援専門員として従事している
- 更新研修の受講開始日前5年間に、これらの業務に2年以上従事した経験がある
そのため、更新期限だけでなく、受講に必要な実務経験も確認する必要があります。
期限までに更新研修を修了できなければ、サビ管・児発管としての配置を継続できず、事業所の人員基準にも影響します。
職員ごとの研修修了証書を確認し、修了年度と次回の更新期限を把握しておくことが大切です。
更新研修の詳しい計算方法については、関連記事「【要点解説】サビ管・児発管の「更新研修」受講期限と実務経験の確認方法」で解説しています。
まとめ
サビ管・児発管の配置に当たっては、実務経験と研修の両方を確認する必要があります。
確認するポイントは、次の3点です。
- 実務経験は、対象業務の内容・年数・実際の従事日数を確認する。
- 基礎研修等の修了後、原則2年以上のOJTを経て実践研修を修了する。
- 実践研修の修了後も、更新研修の受講期限と実務経験要件を確認する。
現在勤務している職員を将来のサビ管・児発管として育成する場合は、これまでの業務経験と研修修了状況を確認すると、次に必要な研修や受講時期を検討しやすくなります。
なお、この記事は、これから研修を受講する方の一般的な要件を紹介しています。実際の配置に当たっては、業務内容、保有資格、研修修了状況などを踏まえ、事業所を管轄する指定権者に確認する必要があります。
(参考資料)
1.「令和8年度サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修について」(令和8年10月14日更新)(大阪府)
実務経験要件、基礎研修・実践研修・更新研修の受講対象者、研修日程などを確認できる資料です。本記事では、配置要件と受講要件の違い、OJTの期間、更新研修の受講要件を参照しています。
2.「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者になるまでの流れ」(令和8年3月)(神奈川県)
実務経験と研修修了の要件、研修の受講順序、OJT、更新研修などを説明した資料です。本記事では、主にPDFの2~3ページ、6ページ、8ページを参照しています。ページ数は表紙を含むPDF上のページ数です。
3.「サービス管理責任者等研修制度の変更点のポイント」(厚生労働省・大阪府掲載)
実践研修の受講に必要なOJTを、一定の条件のもとで6か月以上とする取扱いなど、研修制度の変更点を確認できる資料です。