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児童発達支援・放課後等デイサービス

令和9年度報酬改定で児発・放デイの研修が変わる?|新たな研修体系と職員配置への影響

藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
この記事を書いた行政書士
藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
障がい福祉・児童福祉事業所の指定申請・運営支援を中心に取り扱っています。

はじめに|令和9年度から新たな研修体系の導入を予定

令和9年度(2027年度)から、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの障害児支援に、新たな研修体系が導入される予定です。

令和8年10月5日の第65回障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、常勤職員・非常勤職員の受講対象や、研修受講中の人員配置基準の取扱いなどが検討されました。(※「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和8年10月5日)(厚生労働省・こども家庭庁)3ページ~7ページ)

今回の見直しは、職員研修の内容だけでなく、事業所の運営基準や人員配置にも関係するものです。

現時点で公表されている資料をもとに、新たな研修体系の概要と事業所運営への影響を整理します。

1.なぜ新たな研修体系が導入されるのか?|制度見直しの背景

平成24年の児童福祉法改正以降、児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所数・利用者数は大きく増加しました。

一方、障害児支援に従事する職員については、全国共通の法定研修体系が十分に整備されておらず、人材育成は各事業所の取組に委ねられてきました。

令和5年度の「障害児支援における人材育成研修に関する実態調査」14ページでは、回答した事業所のうち、基礎研修を実施していた割合は54.9%でした。

この数値は調査に回答した事業所の実施状況を示すものですが、研修の実施状況には事業所間で差があることがうかがえます。

こうした状況を踏まえ、令和5年12月の「こども未来戦略」では、障害児支援における研修体系の構築が示されました。

今回の見直しは、事業所ごとに異なっていた人材育成の仕組みを、全国共通の研修体系として整備することを目的としています。

2.新たな研修体系とは?|3段階の研修と導入時期

令和7年8月の「障害児支援における人材育成に関する検討会報告書」13ページ~では、次の3段階による研修体系が示されています。

① 障害児支援基礎・実践研修(令和9年度導入予定)

障害児支援に従事する職員が、基本理念、権利擁護、本人支援、家族支援、地域連携などの基礎的な知識を学ぶ研修です。

※今回導入が検討されている「障害児支援基礎・実践研修」は、児童発達支援管理責任者になるために受講する「サービス管理責任者等基礎研修・実践研修」とは別の研修制度です。

児発管の資格取得を目的とするものではなく、障害児支援に従事する職員の専門性を高めるための研修です。

② 障害児支援リーダー研修(令和10年度導入予定)

事業所内で中心的な役割を担う職員を対象とする研修です。

③ 障害児支援コア人材研修(令和11年度導入予定)

地域において、他の支援者への助言や地域の支援体制づくりなどを担う人材を対象とする研修です。

令和9年度に導入が予定されているのは、最初の「障害児支援基礎・実践研修」です。

なお、リーダー研修とコア人材研修については、都道府県・指定都市による実施を念頭に、事業所や地域で中核的な役割を担う職員が任意で受講する方向で検討されています。

3.誰が研修を受ける?|常勤・非常勤・兼務職員の取扱い

令和8年10月5日の検討資料では、基礎・実践研修について、制度導入時に対象事業へ配置されているすべての常勤職員に受講を求める方向が示されています。

導入後に新たに従事する常勤職員についても、受講を求めることが検討されています。

対象事業として想定されているのは、児童福祉法に基づく次の事業です。

  • 指定障害児通所支援
  • 指定障害児入所支援
  • 指定障害児相談支援

したがって、児童発達支援・放課後等デイサービスだけに限定された研修ではありません。

また、非常勤職員については、勤務実態や役割を踏まえ、標準カリキュラムのうち必須受講科目を設定するなど、常勤職員とは異なる枠組みが検討されています。

ここで確認しておきたいのが、管理者や児童発達支援管理責任者、他事業所との兼務職員の取扱いです。

資料では「すべての常勤職員」という方向性が示されていますが、職種別の例外や兼務職員の具体的な受講方法までは明示されていません。

管理者・児発管を含めた受講対象の範囲や、兼務職員の取扱いについては、今後の運営基準や関係通知で確認する必要があります。

4.研修は何時間?|研修Ⅰ・Ⅱの内容と受講期間

基礎・実践研修は、研修Ⅰと研修Ⅱに分かれています。

令和7年8月の検討会報告書では、次の研修時間と受講期間が想定されています。

基礎・実践研修Ⅰ

  • 所要時間:約7時間
  • 科目数:7科目
  • 受講期間の目安:入職後おおむね半年以内に修了

基礎・実践研修Ⅱ

  • 所要時間:約22時間
  • 科目数:22科目
  • 受講期間の目安:研修Ⅰ修了後から入職後3年目程度までに修了

両方を合わせると、研修の実施時間は約29時間となります。

この時間には、講義だけでなく、講義前後の取組も含まれています。

ただし、これらは検討会報告書に示された研修設計であり、令和9年度からの具体的な受講義務や受講期限が確定したものではありません。

また、制度導入前から勤務している職員について、いつまでに受講する必要があるかも、今後の確認事項です。

研修では動画講義に加え、受講前後の振り返りや上司・先輩職員との対話なども想定されています。

そのため、動画の視聴時間だけで、事業所が確保する研修時間のすべてを判断できるわけではありません。

5.研修中の人員配置はどうなる?|現行基準と柔軟化の検討

今回の見直しで、事業所運営への影響が大きいのが人員配置の取扱いです。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、サービス提供時間を通じて、所定の人員配置基準を満たすことが求められます。

例えば、放課後等デイサービスで、児童指導員2名によって必要な直接支援職員の配置基準を満たしている場合を考えます。

このうち1名がサービス提供時間中に外部研修へ参加すると、残る1名だけでは配置基準を満たせない可能性があります。

このような場合、現在の人員配置基準に沿って、他の職員による配置を検討する必要があります。

一方、令和8年10月5日の検討資料では、研修の受講を促進するため、必要な直接支援体制が確保されることを前提に、外部研修受講時の人員基準を柔軟に取り扱うことが提案されています。

ただし、研修に参加している職員を配置人数に含められるのか、研修時間を勤務形態一覧表や常勤換算上どのように取り扱うのかなど、具体的な基準は示されていません。

また、今回の提案は、直接支援体制を確保することが前提です。

研修を受講することによって、必要な職員配置そのものが不要になるわけではありません。

今後、研修受講時間の取扱いと直接支援職員の配置基準がどのように整理されるかが、重要な確認事項となります。

6.研修はどこで受ける?|動画講義・事業所内研修・修了確認

基礎・実践研修は、事業者が実施主体となることが想定されています。

国の標準カリキュラムに基づき、事業所内で実施するほか、事業者団体や児童発達支援センターなどによる研修も活用できる方向です。

講義については動画教材の活用が想定され、職員の勤務状況に応じた実施方法が検討されています。

ただし、動画を視聴するだけで研修修了と認められるとは限りません。

検討会報告書では、講義前後の取組や、知識・技能の習得状況などを確認する修了評価も示されています。

受講履歴、研修の実施記録、修了評価の具体的な保存方法については、今後の実施要領や通知等で確認する必要があります。

事業所としては、現在使用している研修計画や研修実施記録の様式を確認し、新たな研修に対応できるかを検討しておくことが考えられます。

7.既存研修との関係は?|虐待防止研修などとの違い

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、現在も虐待防止や身体拘束等の適正化に関する研修などが実施されています。

新たな基礎・実践研修にも、権利擁護や虐待予防などの内容が含まれますが、既存研修とは制度上の位置付けが異なります。

基礎・実践研修を受講すれば、現在求められている義務的研修を省略できると決まったわけではありません。

例えば、虐待防止研修については、現行の運営基準に基づく実施義務があります。

新たな研修体系が導入された場合でも、既存研修との重複部分をどのように取り扱うかについては、今後の制度運用を確認する必要があります。

8.未受講の場合はどうなる?|運営基準と今後の確認事項

令和8年10月5日の検討資料では、事業者に対して、基礎・実践研修を実施するための措置を講じるよう、運営基準上で求めることが検討されています。

ただし、現時点では、未受講の場合にどのような取扱いとなるのか、具体的な内容は示されていません。

今後、次の事項を確認する必要があります。

  • 既存職員に対する受講期限
  • 新規採用職員の受講期限
  • 休職中の職員や兼務職員の取扱い
  • 研修未受講時の指導や経過措置
  • 研修実施記録や修了確認の方法

研修未受講による減算が創設されると決まったわけではありません。

現段階では、研修の実施に関する運営基準上の見直しと、報酬上の評価・減算の取扱いを区別して確認することが必要です。

おわりに|正式な制度決定までに確認すべき事項

令和9年度から導入が予定されている障害児支援の新たな研修体系は、児童発達支援・放課後等デイサービスの職員研修や人員配置に関係する見直しです。

事業所として特に確認しておきたいのは、次の3点です。

  • 常勤職員・非常勤職員・兼務職員の受講対象
  • 基礎・実践研修Ⅰ・Ⅱの受講期間と修了要件
  • 研修受講中の人員配置基準や常勤換算上の取扱い

また、研修計画を作成する際には、既存の虐待防止研修などとの関係も確認する必要があります。

現段階では検討中の事項も多く、すべての運用方法が確定しているわけではありません。

令和9年度の制度導入に向けて、今後公表される運営基準、関係通知、Q&A等により、受講義務や人員配置の具体的な取扱いを確認することが重要です。

※本記事は、令和8年10月11日時点で公表されている資料に基づいています。

(参考資料)

1.「障害児支援に係る報酬・基準について≪論点等≫」(令和8年10月5日)(厚生労働省・こども家庭庁)

第65回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料

※基礎・実践研修の受講対象、運営基準上の取扱い、外部研修受講時の人員配置基準の柔軟化に関する検討内容を参照。

2.「障害児支援における人材育成に関する検討会報告書」(令和7年8月29日)(こども家庭庁)

※新たな研修体系の構成、基礎・実践研修Ⅰ・Ⅱの科目数・研修時間・受講期間、研修の実施主体、修了評価について参照。

3.「障害児支援における人材育成研修に関する実態調査」(令和6年3月)(株式会社野村総合研究所)

※障害児支援事業所における研修の実施状況と、人材育成に関する実態調査結果を参照。

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