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はじめに
事業所に「運営指導の実施について」という通知が届いた。実施日は約1か月後。添付資料には、事前提出書類、当日準備する書類、自己点検表などが並んでいます。
このとき、すぐに個別支援計画や勤務表をすべて確認するより、まず「いつまでに、何を、どの順番で確認するか」を整理した方が準備は進めやすくなります。
厚生労働省は2026年6月、障害福祉分野の「集団指導・運営指導マニュアル」とサービス別の「確認項目及び確認文書」を公表しました。運営指導では、原則としてこれらを中心に確認する考え方が示されています。
本記事では、通知を受け取ってから当日までの動きを、提出期限から逆算して整理します。
1.通知を受け取ったら「期限」と「今回のルール」を確認する

最初に、今回届いた通知一式を1か所にまとめ、次の事項を確認します。
・運営指導の実施日
・事前提出期限、提出書類、提出方法
・当日準備する書類
・使用する様式
・出席を求められている職員
・指定権者への事前連絡の要否
以前の運営指導で使った資料を、そのまま今回も使用できるとは限りません。指定権者によって独自様式や提出方法が定められ、内容が更新されることもあります。
例えば大阪市では、事前提出資料の様式が公開され、実施通知に記載された期限までにメールで提出します。事前提出資料と当日準備資料も分けて案内されています。
したがって、まずは「今回届いた通知」と「現在公開されている指定権者の様式」を基準にします。
2.通知受領後1週間以内を目安に、担当を決めて作成を始める
通知内容を確認したら、通知受領後1週間以内を目安に、全体を取りまとめる人と各資料の担当を決め、自己点検表や事前提出資料の作成を始めます。これは法令上の提出期限ではなく、準備を遅らせないための事業所内の目安です。
経営者がすべての書類を見る必要はありません。経営者は期限と必要な人員・時間を把握し、重要な不備が見つかった場合の対応方針を判断します。管理者は通知内容を整理し、サビ管・児発管や事務担当へ確認を振り分けながら、進捗を管理します。
| 時期 | 経営者 | 管理者 |
| 通知受領時 | 実施日・提出期限を確認し、全体の責任者を決める | 提出資料、当日資料、様式、提出方法を確認する |
| 通知受領後1週間以内 | 準備に必要な人員と時間を確保する | 自己点検・事前提出資料に着手する |
| 事前提出期限まで | 重要な不備への対応方針を判断する | 不備・不明点を整理し、提出を完了する |
| 前日 | 出席者と未解決事項を確認する | 書類・電子データを提示できる状態にする |
| 当日 | 重要な指摘事項を把握する | 全体の窓口として事実関係を説明する |
事前提出資料を記入すると、「勤務予定と実績が一致していない」「届出時と現在の人員体制が違う」「この加算は現在も要件を満たしているか」などの確認事項が見えてきます。資料の作成そのものが自己点検になります。
児童発達支援や放課後等デイサービスについては、こども家庭庁もサービス別の運営指導調書(自己点検表)を公開しています。
3.事前提出期限までに、確認範囲を絞って点検する

運営指導前だからといって、事業所にある書類を片端から確認する必要はありません。厚生労働省の運営指導マニュアルでは、原則としてサービス別の「確認項目」と「確認文書」を中心に確認し、それだけで判断できない場合に追加資料を確認する考え方が示されています。
事業所側でも、次の順番で見ると確認範囲を整理しやすくなります。
指定権者の通知
↓
自己点検表・事前提出資料
↓
国の「確認項目及び確認文書」
↓
自事業所の記録
その上で、人員については、ある1か月の「勤務予定→勤務実績→人員配置→加算算定」をつなげて確認します。
利用者についても、ある1人の「アセスメント→個別支援計画→サービス提供記録→モニタリング→計画見直し」を確認します。
問題が見つかれば、同じ問題が他の月や利用者にもないか確認範囲を広げます。最初から全件を見るのではなく、抽出確認から始める方法です。
4.不備を見つけたら、修正する前に4つに仕分ける
事前提出期限が近づいたら、提出書類の完成状況だけでなく、変更届の未提出、加算要件の疑義、個別支援計画の日付の不整合、委員会記録の不足など、未解決事項を一覧にします。
限られた期間で優先順位を付ける際は、指定権者が公表する「主な指導事項」も参考になります。大阪府は、基準関係や報酬算定、身体拘束、虐待防止、児発管・児童指導員の要件など、運営指導で指摘されやすい事項を公表しています。
不備を見つけても、すぐに書類を書き直すのではなく、次の4つに仕分けます。
① 記録の問題
記録がないのか、別の場所に保存されているのか、実施自体がなかったのかを確認します。
② 人員・運営基準の問題
勤務体制、個別支援計画、委員会、研修など、基準上必要な事項を満たしていたかを確認します。
③ 届出の問題
管理者、所在地、人員体制などについて、変更届や加算届が必要ではなかったかを確認します。
④ 報酬・請求の問題
加算要件などに関係する場合は、いつから要件を満たしていなかった可能性があるか、請求への影響があるかまで確認します。
特に報酬に影響する問題は、書類を修正して終わりではありません。事業所だけで判断できない場合は、指定権者への確認も必要です。
また、「記録がない」ことと「実施していない」ことは同じではありません。事実関係を確認してから対応を決め、過去に実施していない会議などを、後から実施したように扱わないことが重要です。
5.事前提出後から前日までは、未解決事項と資料の所在を整理する
事前提出後は、指定権者へ確認中の事項、追加で求められた資料、当日説明が必要な事項、経営者へ報告する事項を一覧にします。
確認範囲を無制限に広げず、通知、自己点検表、確認項目、主な指導事項を基準に、残っている事項を整理します。
前日は、新しい資料を増やすより、必要な書類をすぐ提示できる状態にします。紙であればファイルの場所、電子保存であれば使用するパソコンとフォルダを確認します。変更届、加算届、指定申請書の控えも準備します。
厚生労働省のマニュアルでは、電子文書をパソコン画面等で確認する方法も想定されており、すべてを印刷する必要があるわけではありません。未解決事項について誰が説明するかも決めておきます。
6.当日は、資料を確認して事実関係を説明する

当日は、分からないことを記憶や推測だけで回答せず、資料を確認してから説明します。
指摘された事項は、「改善が必要」「追加資料を提出」「後日確認」などに分けて記録すると、その後の対応を進めやすくなります。
まとめ|期限ごとに準備を区切る
運営指導の通知が届いたら、準備を次の5段階に分けます。
・通知受領時:実施日、提出期限、提出方法、使用様式を確認する。
・通知受領後1週間以内:担当を決め、自己点検・事前提出資料の作成を始める。
・事前提出期限まで:国・自治体の確認項目を基準に点検し、不備と未解決事項を整理して提出する。
・前日:必要な資料をすぐ提示できる状態にする。
・当日:資料に基づいて事実関係を説明し、指摘事項を記録する。
運営指導前の準備は、不足している書類を形式的に埋める作業ではありません。現在の運営、人員、支援記録、届出、請求を照合し、相違が見つかったときに、その事実と対応を説明できる状態にすることが重要です。
(参考資料)
①厚生労働省「障害福祉分野における指導監督」
2026年6月の指導指針、集団指導・運営指導マニュアル、サービス別の確認項目及び確認文書が掲載されています。
②こども家庭庁「指導監査の標準様式等一覧」
児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、障害児相談支援等の運営指導調書(自己点検表)が掲載されています。
③大阪府「令和8年度指定障がい福祉サービス事業者等集団指導」
運営指導における主な指導事項などが掲載されています。
④大阪府「令和8年度指定障がい児支援事業者等集団指導」
運営指導における主な指導事項などが掲載されています。
⑤大阪市「障がい福祉サービス等事業者の運営指導等について」
事前提出資料、当日準備資料、提出方法などが掲載されています。
※様式、提出期限、提出方法等は、指定権者や実施時期によって異なります。実際の準備では、各指定権者から届いた実施通知と最新の公開資料を優先して確認してください。
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