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はじめに
「吹田市で就労継続支援B型を始めたい。まず物件を探すのか、それとも市役所への相談が先なのか」
新規参入を検討するとき、最初に整理したいのがこの順番です。
就労継続支援B型は、法人を設立し、物件と職員を用意して指定申請書を提出すれば開設できるものではありません。
吹田市では、指定申請の前に事前協議があり、その後、事業計画・事業内容に関するヒアリングが行われます。また、B型は総量規制の対象となり得るため、物件契約や採用を本格化する前に、最新の運用状況を確認する必要があります。
本記事では、2026年9月時点の吹田市の制度と市場状況をもとに、B型開設までの流れを整理します。
1.まず確認したいのは「指定申請できるか」より「開設計画を進めてよいか」

吹田市は中核市として、障害者総合支援法に基づく指定障がい福祉サービス事業者の指定を行っています。指定を受けるには、法人格を有すること、指定基準を満たすこと、適正な運営が見込めることなどが必要です。
さらに吹田市では、生活介護、就労継続支援A型、就労継続支援B型について、障がい福祉計画上の必要量との関係から、新たな指定をしないことができる場合があります。いわゆる総量規制です。
そのため、新規開設を検討するときは、総量規制の状況を確認したうえで、物件や人員の検討に入ります。
開設までの流れは、次のとおりです。
→総量規制の確認
→事業計画・物件の検討
→事前協議
→吹田市によるヒアリング
→必要に応じて消防署の立入確認・設備対応
→指定申請
→書類審査
→現地確認
→指定時研修
→指定
2.吹田市のB型利用者は増えている
新規参入を考える際は、申請手続だけでなく、地域の利用ニーズも確認する必要があります。
吹田市の第7期障がい福祉計画の実績評価では、B型の月当たり利用者数は次のように増加しています。
・2023年度 645人
・2024年度 799人
・2025年度 962人
2025年度の計画値688人に対して実績は962人で、計画比140%です。延べ利用量も月11,935人日まで増えています。特に精神障がいのある利用者は、2023年度288人、2024年度417人、2025年度543人と増加しています。
吹田市も、日中活動系サービスについて、A型・B型の利用者数が見込みを上回り、ニーズが高いことがうかがえるという趣旨の評価をしています。
一方、2026年9月にWAMNETで確認すると、市内にはB型が27事業所あります。利用者が増えているからといって、開設すれば利用者が集まるとは限りません。
対象とする利用者、既存事業所の分布、送迎範囲、相談支援事業所や就労関係機関との連携まで含めて検討する必要があります。
3.物件探しは「賃料・広さ」だけで決めない

2026年9月時点の公開物件を見ると、JR吹田・江坂周辺では80~150㎡程度の店舗・事務所が比較的見つかる一方、岸辺周辺では同程度の公開物件が少なく、千里山・山田方面では立地による賃料差が大きくなっています。競合が少ない地域が、そのまま開設しやすい地域とは限りません。
B型の物件には、訓練・作業室、相談室、洗面所・便所、多目的室などを配置できることが必要です。
吹田市の2026年版手引きでは、B型の訓練・作業室について、「訓練又は作業に支障がない広さを有し、必要な機械器具等を備えること」とされています。B型の欄には、1人当たり何㎡という数値は明記されていません。
ただし、実務上は吹田市担当者から、利用者1人当たり3.3㎡程度を目安として案内されることがあります。大阪市では訓練作業室について3.0㎡/人以上とする運用があり、同じ大阪府内でも指定権者によって確認方法が異なります。
他市で使用できた物件であっても、吹田市で同じ判断になるとは限らないため、契約前に確認する必要があります。
4.消防・建築の確認は物件契約前から始める
消防署との調整は、事前協議が終わってから始めるものではありません。物件を検討する段階で、建築上の用途、消防設備、避難経路、必要な届出等を確認します。
吹田市の手引きでも、定款、人員、設備要件に加えて、建築基準法・消防法上の要件等は、原則として指定申請時までに確定している必要があるとされています。
実務上は、次の二段階に分けて考えます。
・物件検討時:消防・建築の事前確認
・物件確定後:必要な設備工事・届出・立入確認
賃貸借契約後に追加工事や用途上の問題が判明すると、開設時期や収支計画に影響します。
5.定員20人なら「人員基準」だけでなく「仕事20人分」も考える
単独のB型の最低定員は20人以上です。多機能型の場合は10人以上となります。
人員については、職業指導員と生活支援員をそれぞれ1人以上配置し、いずれか1人以上は常勤とする必要があります。両職種の配置総数は、常勤換算で利用者数を10で除した数以上です。これに加えて、サービス管理責任者と管理者が必要です。
ただし、人員基準を満たすだけでは事業計画は完成しません。B型では、次の点を具体化する必要があります。
・何の仕事を提供するのか
・どこから仕事を確保するのか
・売上はいくらになるのか
・経費はいくらかかるのか
・工賃をどの程度支払えるのか
国の基準では、生産活動による収入から、生産活動に必要な経費を控除した額を工賃として支払う仕組みとなっています。
そのため、作業内容を開所後に考える進め方では、収支計画や工賃計画を組むことが困難になります。
6.吹田市の事前協議は「申請書の下書き確認」ではない
吹田市のB型では、事前協議の段階で、一般的な人員・設備関係書類だけでなく、事業内容、就労支援事業の収支予算、積算根拠、工賃予定、具体的な生産活動などを整理します。
また、B型の事前協議期限は他の多くのサービスより早く、指定予定日の4か月前の月末までです。本申請は、指定予定日の2か月前の月末までに行います。
例えば、12月1日の指定・開設を希望する場合、事前協議書類は原則として8月末まで、本申請は10月末までです。実際の締切日は土日祝日等の関係もあるため、当該年度の吹田市の申請スケジュールを確認する必要があります。
ただし、8月から準備を始めればよいという意味ではありません。それまでに、次の事項をある程度具体化しておく必要があります。
・物件候補
・建築・消防
・サービス管理責任者等の人員
・生産活動
・収支
・工賃
7.B型では管理者等本人へのヒアリングがある

吹田市のB型では、事前協議後にヒアリングが行われます。
吹田市の手引きでは、事前協議書類の提出後、事業計画や事業内容について、事業所の管理者等へのヒアリングを行うとされています。さらに、コンサルティング会社や代理人等は不可と明記されています。
したがって、実際に運営する側が、次の事項を説明できる状態にしておく必要があります。
・どのような利用者を想定しているのか
・どのような生産活動を行うのか
・仕事をどう確保するのか
・工賃をどう考えているのか
・人員配置をどう組むのか
・収支をどう見込んでいるのか
ヒアリングは、開所後に継続して運営できる事業計画になっているかを確認する機会です。
8.2025年10月からは就労選択支援も確認する
2025年10月から開始された就労選択支援も、新規B型を考える経営者が把握しておきたい制度です。
就労選択支援は、本人の就労能力や適性、希望などをアセスメントし、より適切な就労先や働き方を選択できるよう支援する障害福祉サービスです。B型の利用を希望する人についても、利用開始前の手続きに関係する場合があります。
一方、2026年9月1日時点でWAMNET上、吹田市内では就労選択支援事業所は確認できません。
このため、吹田市でB型利用を希望するケースでは、担当のケースワーカーと相談し、吹田市障がい福祉室に確認しながら進める必要があります。利用者ごとに就労歴や支給決定の状況等が異なるため、一律の流れとせず、個別に確認します。
新規B型を開設する事業者も、利用相談を受けてすぐ契約手続へ進むのではなく、相談支援事業所、ケースワーカー、吹田市障がい福祉室との確認が必要になる場合があることを把握しておく必要があります。
まとめ|吹田市のB型開設は「物件を借りる前」から始まる
吹田市ではB型の利用者数が計画を上回って増えています。一方、市内にはすでに複数のB型があり、総量規制、地域ごとの競合、物件事情も確認する必要があります。
開設準備は、次の順番で進めます。
→総量規制の確認
→対象利用者と事業内容の整理
→物件・建築・消防の確認
→人員・生産活動・工賃・収支の具体化
→事前協議
→ヒアリング
→指定申請
指定申請だけを目的とせず、開所後に利用者への支援と生産活動を継続できる事業計画になっているかを確認しながら準備することが必要です。
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