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グループホーム・共同生活援助

令和9年度障害福祉報酬改定でグループホームはどう変わる?|新規開設前に確認したい実務ポイント

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はじめに

令和9年度の障害福祉報酬改定に向け、共同生活援助(障害者グループホーム)の新規開設をめぐる制度環境は大きく変化しています。令和8年度の臨時応急措置(報酬引下げ)に始まり、令和9年4月からは「総量規制」の導入や「管理者の資格要件」の厳格化など、指定取得や事業運営に直結する重要な変更が相次ぎます。

本記事では、厚生労働省の各種審議会資料や告示、北摂エリア(吹田市・豊中市)の公表データに基づき、新規開設を検討する事業者が事前に把握すべき実務ポイントと対策について解説します。

1.令和8年6月施行「臨時応急的な報酬引下げ」と適用除外の条件

国はサービスの質確保と制度の持続可能性の観点から、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける「介護サービス包括型」および「日中サービス支援型」のグループホームを対象に、基本報酬を原則1000分の972(約2.8%引下げ)とする臨時応急措置を施行しました(既存事業所は従前単価を維持)。

適用除外(従前単価がそのまま適用される配慮措置)

すべての新規事業所が一律減額されるわけではありません。地域ニーズが高い以下の要件を満たす場合、配慮措置として従前の報酬単価が適用されます。

  • 重度障害者等の受入:利用者が医療的ケア区分(1~3)や強度行動障害児支援加算等の要件に該当する場合
  • 地域実情への配慮:中山間地域等への設置、または自治体の公募や開設補助金等の支援を得て設置する場合

初期の収支計画を立てる際は、開設予定地や受入予定の障害区分がこの配慮措置に合致するか事前確認することが不可欠です。

2.令和9年4月導入「管理者要件の厳格化」と経過措置ゼロの注意点

共同生活援助の支援品質向上を図るため、令和9年4月1日以降、管理者に対して以下の要件が指定基準(運営基準)として義務づけられます。

  1. 実務経験要件:障害福祉サービス分野等における「3年以上の実務経験
  2. 研修要件:新設される「共同生活援助管理者研修」の受講・修了
新規開設事業所には「経過措置」がない

既存の事業所に対しては一定の猶予期間(経過措置)が検討される一方、令和9年度以降に新規指定を受ける事業所には実務経験の経過措置が一切設けられません。厚生労働省の社会保障審議会(障害者部会第155回)でも「実務経験のない管理者が在籍する新規事業所は救済せず、適任者の確保を求める」旨が明言されています。 人選の遅れが指定申請の不受理や開設延期に直結するため、早期の人材確保が必須となります。なお、世話人や生活支援員等の直接処遇職員に対しても、基礎研修の受講措置が義務づけられる見通しです。

3.地域連携推進会議の完全義務化と運営ガイドラインの活用

外部の目を入れた開かれた運営と虐待防止を図るため、「地域連携推進会議」の設置・開催(年1回以上)が令和7年度より完全義務化されています。

  • 構成員:利用者・家族、地域住民代表(民生委員・町内会長等)、有識者、市町村担当者等
  • 義務事項:運営状況の報告、年1回以上の事業所訪問機会の提供、会議記録の5年間保存および公表
  • 自己評価の徹底:厚生労働省の「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」に基づく自己チェックを実施・公表し、会議で客観的な検証を受けるプロセスが求められます。

4.令和9年4月施行「総量規制」の追加と不指定リスクの回避策

令和9年4月1日より、グループホームが「総量規制」の対象に追加されます。自治体が策定する障害福祉計画上の必要量を超過する場合、指定権者が「指定をしない(指定制限)」措置をとることが可能になります。これにより、物件や資金を用意しても指定が下りないリスクが生じます。

総量規制を突破する「例外(適用除外)要件」

国は真に必要なサービスの整備を阻害しないよう、以下の個別ニーズに対応する事業所を総量規制の適用除外(例外)とする方針を示しています。

  • 強度行動障害のある者の受入体制を整備する事業所
  • 医療的ケアが必要な者を支援する看護師配置等を有する事業所
  • その他、重度者の地域生活継続のため真に必要と自治体が認める事業所

軽度者のみを対象とした一般的なグループホームは不指定リスクが高まるため、はじめから「中重度対応」を軸とした事業設計を行うことが確実な指定取得の戦略となります。

5.北摂エリア(吹田市・豊中市)の整備計画と具体データ

総量規制の例外適用や自治体補助金を活用するためには、行政の整備計画との合致が前提となります。

吹田市の整備方針
  • 整備目標:3年間で合計79人分の定員整備(令和6年度26人、7年度26人、8年度27人)
  • 地域ニーズ:医療的ケア対象者(13人/月)、強度行動障害対象者(81人/月)の受け皿確保を明記
  • 支援制度:「吹田市障害者グループホーム運営事業補助金」により、開設に伴う建物改修工事費や開設前家賃等を補助
豊中市の整備方針
  • 整備目標:3年間で合計105床の整備(既存転用45床、新規整備30床、重度化改修30床)
  • 特徴:スプリンクラー設備等を整え、消防法上の制限なく障害支援区分4以上の重度障害者を受け入れられる体制整備を促進。既存改修への補助制度も整備されています。

6.制度改正を踏まえた「開設準備」の適正実務フロー(6ステップ)

リスクを回避し円滑に開設を進めるための実務手順は以下の通りです。

【ステップ①:ターゲット・支援内容の設定】

医療的ケア、強度行動障害、区分4以上等の地域ニーズを特定する。

【ステップ②:指定権者・基礎自治体との事前相談】

開設予定地が総量規制の対象か、例外要件や補助金が適用できるか確認する。

【ステップ③:管理者・人員の確保】

実務経験3年以上の管理者を確実に確保する(新規経過措置なし)。

【ステップ④:収支シミュレーション】

1000分の972措置の有無、各種加算、運営・研修コストを正確に織り込む。

【ステップ⑤:物件選定・設備投資】

消防法(スプリンクラー等)・建築基準法適合を精査のうえ、物件を契約する。

【ステップ⑥:指定申請】

新標準様式に基づき書類を作成・提出する。

まとめ

今後のグループホーム開設では、「基準上の要件を満たす」だけでなく、「地域が求める重度対応や医療的ケアを、実務経験のある管理者と確かな支援体制で持続提供できるか」という本質的な適性が問われます。制度変更の動向と自治体の地域ニーズを的確に捉え、事前の準備を綿密に進めることが事業成功の鍵となります。

(参考)令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)(厚生労働省)(令和8年8月27日)

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