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児童発達支援・放課後等デイサービス

送迎中に予定外の場所へ立ち寄ってよい?|送迎支援・事故リスク・記録を確認する

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はじめに

障害児通所支援の送迎中、保護者から次のように頼まれることがあります。

「帰りにコンビニへ寄って、おやつを買わせてほしい」

「今日は自宅ではなく、祖父母宅まで送ってほしい」

「少し早く着きそうなので、周辺を回って時間を調整してほしい」

こうした要望に対し、運転中の職員がその場で判断してよいのでしょうか。

予定外の場所への立ち寄りを一律に禁止する規定があるわけではありません。しかし、送迎は単なる移動ではなく、障害児通所支援の一環として事業所が安全に管理する業務です。

そのため、「保護者から頼まれたから」「少しの時間だから」という理由だけで対応するのではなく、立ち寄る目的、安全への影響、他の利用児への影響、保護者との取り決め、記録の必要性を確認することが重要です。

1.予定外の立ち寄りが、すべて禁止されているわけではない

送迎中に予定外の場所へ立ち寄ることを、法令が一律に禁止しているわけではありません。

例えば、利用児の体調が急変し、安全な場所に停車する場合や、事故・渋滞・道路規制を避けるために経路を変更する場合があります。こうした安全確保のための対応まで禁止されるものではありません。

一方、次のような対応は慎重に考える必要があります。

・買い物など、送迎とは異なる目的で店舗に立ち寄る

 

・職員の私用を済ませるために寄り道する

 

・保護者との事前調整がない場所で利用児を降ろす

 

・到着時刻を調整するため、必要のない回り道をする

 

・他の利用児を車内に残したまま、職員と一部の利用児が降車する

 

このような立ち寄りは、直ちに指定基準違反になるとは限りません。しかし、事故が起きた場合には、「なぜ立ち寄ったのか」「誰が判断したのか」「他の利用児の安全をどのように確保していたのか」という説明が必要になります。

問題となるのは、経路が少し変わったことだけではありません。事業所として決めた手順を外れ、職員個人の判断で対応していたことが、安全管理上の問題になり得ます。

2.令和6年4月から安全計画に基づく対応が必要

障害児通所支援事業所には、令和6年4月から安全計画の策定等が義務付けられています。

安全計画には、設備の安全点検だけでなく、事業所外での活動を含む安全確保、職員への研修・訓練などを盛り込み、計画に沿って必要な措置を講じなければなりません。

また、児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインでは、送迎を事故リスクの高い場面の一つとして挙げ、職員が注意すべき点や役割を明確にした安全管理マニュアルを整備することが重要とされています。

さらに、自動車を運行するときは、乗車時・降車時に点呼などの方法で利用児の所在を確認しなければなりません。日常的に送迎に使用する一定の車両については、置き去り防止を支援する安全装置の装備も必要です。

予定外の立ち寄りが発生した場合も、乗車人数や降車した利用児を改めて確認する必要があります。「いつもの降車場所ではないから確認が漏れた」ということがないよう、場所が変わっても同じ確認手順を実施できる体制が求められます。

3.予定外の立ち寄りで確認したい3つのリスク

事故や体調変化への対応

店舗の駐車場や道路沿いで乗り降りすると、自宅や学校での引き渡しとは異なる危険が生じます。

例えば、利用児が突然車外へ飛び出す、駐車場内を走行する車と接触する、車内で待つ利用児が体調を崩すといったことが考えられます。

事故が発生した場合には、保護者への連絡だけでなく、事故の内容によって指定権者や市町村への報告が必要です。事業所のマニュアルに、送迎中の事故や体調急変時の連絡先、救急要請の判断、管理者への報告手順を定めておくことが必要です。

他の利用児と職員配置への影響

1人の利用児のために立ち寄ると、同乗している他の利用児の乗車時間が延びます。

夏季には車内温度、医療的ケア児については医療機器のバッテリーや酸素残量、行動障害のある利用児については長時間乗車による不安や混乱なども考慮しなければなりません。

送迎時間が延びたことで、事業所内に残る職員や次の送迎便に影響が出ることもあります。直ちに人員欠如減算へつながるわけではありませんが、サービス提供時間中に必要な職員配置を確保できているかは別途確認が必要です。

自動車保険・賠償責任保険への影響

「予定の経路を外れたら、必ず保険が適用されない」とまではいえません。保険が適用されるかは、保険契約の内容、車両の使用目的、立ち寄った理由、事故の状況などによって判断されます。

ただし、業務と関係のない私的な立ち寄りや、事業所が認めていない車両利用があった場合には、保険会社から詳しい説明を求められる可能性があります。

事業所の自動車保険や福祉事業者向け賠償責任保険について、送迎中の経路変更、買い物支援、事業所外活動が補償対象となるかを、あらかじめ保険会社や代理店へ確認しておくとよいでしょう。

4.保護者から急な変更を頼まれたときの対応

送迎中の職員が、保護者から直接電話を受けることもあります。

その場合、職員が運転しながら対応したり、その場で変更を決めたりするのではなく、まず安全な場所に停車します。そのうえで、管理者または事業所へ連絡し、対応を確認します。

管理者は、少なくとも次の点を確認します。

・変更を求める理由

 

・新しい引き渡し場所と、引き渡す相手

 

・保護者本人からの連絡であること

 

・同乗している他の利用児への影響

 

・到着予定時刻と次の送迎への影響

 

・安全に停車、乗降、引き渡しができる場所か

 

・利用児の体調や障害特性から対応可能か

 

自宅以外で引き渡す場合には、「誰に引き渡すのか」の確認が特に重要です。口頭で知らされただけの人物や、身元を確認できない人物への引き渡しは避けなければなりません。

急な変更に対応できない場合は、理由を簡潔に説明し、当初の場所で引き渡すことも選択肢になります。

5.立ち寄りや変更があったときに残したい記録

予定外の立ち寄りや引き渡し場所の変更に対応した場合は、次の記録を残します。

・変更を求めた人、連絡を受けた時刻、変更理由

 

・管理者が確認した内容と判断

 

・実際に走行した経路や立ち寄り場所

 

・出発時刻、到着時刻、引き渡し時刻

 

・乗車していた利用児、運転者、添乗職員

 

・安全確認の方法

 

・利用児の体調や他の送迎への影響

 

・事故やヒヤリ・ハットの有無

 

これらは、サービス提供記録、送迎記録、運行日誌、事故・ヒヤリハット記録など、事業所で使用している書式へ記載します。

個別支援計画、サービス提供記録、送迎記録は、すべて同じ内容を書き写すものではありません。それぞれの書類の目的に応じて記録し、後から確認したときに経緯がつながる状態にしておくことが大切です。

記録の保存期間は、指定権者の条例等によって異なる場合があります。一般としてサービス提供に関する記録について5年間の保存が求められているため、事業所を所管する自治体の取扱いを確認します。

6.買い物の希望は「送迎中のついで」ではなく支援として検討する

保護者から「買い物の練習をさせてほしい」と相談されることがあります。

この要望自体は、利用児の生活能力や社会参加に関わる重要な支援ニーズです。しかし、通常の送迎中にその場の判断で買い物へ立ち寄ると、支援の目的、職員配置、安全管理、他の利用児への対応が不明確になります。

継続的な買い物支援が必要であれば、まず利用児の状況と支援の必要性をアセスメントします。そのうえで、個別支援計画との関係を整理し、保護者へ目的と実施方法を説明します。

実施するときは、送迎の途中ではなく、日中の活動や事業所外活動として計画し、次の事項を事前に決めておきます。

・買い物支援の目的

 

・実施場所と移動方法

 

・引率する職員と役割分担

 

・金銭の取扱方法

 

・事故や行方不明を防ぐための手順

 

・緊急時の連絡方法

 

・実施後の記録と評価方法

 

保護者の要望を断るか受け入れるかだけで考えるのではなく、送迎として対応する内容なのか、個別支援計画に基づく活動として検討する内容なのかを分けることで、判断しやすくなります。

まとめ

送迎中の予定外の立ち寄りは、法令上すべて禁止されているわけではありません。

ただし、職員がその場で判断して買い物に立ち寄ったり、確認のない場所で利用児を引き渡したりすることは、安全管理上の問題につながります。

事業所としては、次の点をあらかじめ決めておくことが重要です。

・送迎中の変更を誰が判断するか

 

・保護者からの連絡をどのように確認するか

 

・変更できる場合とできない場合

 

・乗降時の所在確認と引き渡し方法

 

・事故やヒヤリ・ハットがあった場合の報告手順

 

・予定外の対応を記録する書式

 

「予定外のことは一切認めない」というルールだけでは、体調急変や道路状況の変化に対応できません。一方、職員の判断に任せるだけでは、対応がばらつきます。

安全のために必要な変更と、送迎とは別の目的による立ち寄りを区別し、管理者への連絡、保護者との事前調整、記録の方法まで具体的に決めておくことが、利用児と職員の双方を守る送迎体制につながります。

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