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運営指導・書類整備

有給休暇取得時の人員基準と勤務体制の考え方・実務上の確認ポイント

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はじめに

障がい福祉サービスや児童福祉サービスの事業所において、スタッフの皆様がしっかりと有給休暇を取得できる環境を整えることは、より良い支援を提供するための基盤となります。 一方で、事業所としては「指定基準で定められた人員配置」を毎日確実に満たす義務もあります。実務においては、「スタッフが有給をとること(労務管理)」と、「当日の現場の人員体制を確保すること(運営基準)」を分けて考え、有給取得者が不在の日であっても適法に運営されていることを客観的に記録しておく仕組みが大切です。 本記事では、スタッフが有給休暇を取得した際の人員基準上のルールと、運営指導を見据えて確認しておきたい実務上のポイントを分かりやすく整理いたします。

1.常勤スタッフの「有給」は、常勤としてカウントされる

人員配置基準において「常勤」として配置されているスタッフが有給休暇を取得した場合、行政のQ&A等により明確なルールが示されています。 常勤スタッフが有給休暇、病気欠勤、休職等でお休みをした場合であっても、その期間が「暦月で1ヶ月」を超えない限りは、常勤として勤務したものとして常勤換算に含めることが認められています。 したがって、常勤スタッフが月に数日の有給をとったからといって、すぐに常勤としての要件から外れたり、人員不足とみなされたりすることはありませんのでご安心ください。

2.非常勤スタッフ(パート等)の有給は「勤務時間」には含めない

非常勤スタッフが有給休暇等でお休みした日の取り扱いは、常勤スタッフとは異なります。 非常勤スタッフがお休み(有給休暇の取得を含む)をした場合、その勤務しなかった時間分を「常勤換算」の計算に含めることはできません。 ただし、常勤換算は通常、1週間や4週間のトータルの勤務時間数で計算されます。そのため、特定の日にお休みがあったとしても、その日のその時間に必ず別のスタッフを補充しなければならないわけではなく、シフトの調整等によって計算期間トータルの常勤換算数を満たしていれば、適法と判断されます。

3.共同生活援助の「特定従業者数換算方法」は別に考える

共同生活援助の人員配置体制加算では、「特定従業者数換算方法」という独自の計算方法が用いられます。

通常の常勤換算方法では、常勤職員が有給休暇や1月未満の病休を取得した場合でも、常勤換算数1人として計算できる場面があります。

一方、特定従業者数換算方法では、雇用形態を問わず勤務状況をもとに計算するため、有給休暇や病休があった場合には、その分だけ特定従業者数換算数が減る取扱いとなります。

そのため、共同生活援助の人員配置体制加算を算定する場合は、「常勤職員だから有給分も当然に含められる」と考えず、加算独自の換算方法に沿って確認する必要があります。

なお、これは共同生活援助の人員配置体制加算における取扱いです。生活介護の人員配置体制加算など、通常の常勤換算方法によって従業者数を確認する場合とは分けて考える必要があります。

4.児童指導員等加配加算における「常勤配置」の取り扱い

児童発達支援や放課後等デイサービスにおける「児童指導員等加配加算」など、各加算で「常勤」での配置が求められている場合も、基本的には通常の常勤ルールと同じです。 その加配スタッフが有給休暇を取得しても、暦月で1ヶ月以上お休みが続かない限りは、配置要件を満たしているものとして取り扱われます。有給をとったからといって直ちに加算が外れるわけではありません。

5.育児・介護等による「短時間勤務制度」の特例(30時間ルール)

育児・介護休業法に基づく「短時間勤務制度」を利用しているスタッフや、治療と仕事の両立支援のために事業所が定めた短縮措置を利用しているスタッフには、優しい特例が設けられています。 通常、週40時間勤務の事業所であれば40時間働かなければ「常勤」になりませんが、こうした短縮措置の対象スタッフについては、「週30時間」以上の勤務で常勤として扱うことが認められています。(※なお、常勤換算の分母となる時間は、特例に関わらず従来通りの規定時間で計算します。)

6.「常勤要件の維持」と「当日の現場の支援体制」は分けて考える

ここまでご説明した通り、1ヶ月未満の有給休暇であれば書類上の「常勤要件」は維持されます。しかし、それと「当日の現場の人員が足りているか」は別問題です。 人員基準上「1名以上」とされている職種については、当日の支援に影響がなければ代わりのスタッフを置く必要はないとされています。一方で、有給休暇によって当日の現場が人員不足となり、こどもたちや利用者様の安全と支援に十分な対応ができないと判断される場合は、他のスタッフの勤務延長やシフト変更による「代替配置」を行う必要があります。

7.児童発達支援等における「サービス提供時間帯」の配置

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、サービス提供時間帯を通じて「児童指導員または保育士を2名以上」等配置するルールがあります。このうち1名以上は常勤でなければなりませんが、「常勤スタッフが常に現場にいなければならない」という規定ではありません。 したがって、常勤の児童指導員がお休みの日は、サービス提供時間帯を通じて2名以上を確保するために、代わりのスタッフを配置すれば問題ありません。その代わりのスタッフはパート等(非常勤)であっても基準を満たすことができます。

8.管理者・サビ管・児発管が有給を取得する場合

サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者、管理者については、「サービス提供時間帯を通じて現場にいなければならない」というルールはないため、有給をとる当日にすぐ代わりの有資格者(サビ管・児発管)を補充する必要はありません。

ただし、サビ管や児発管が「児童指導員」や「生活支援員」などの直接支援員を兼務している場合は注意が必要です。サビ管等としてのお休みは問題なくても、当日の「現場の直接支援員の配置基準」が不足してしまう可能性があるため、その場合は代替スタッフの配置が必要になります。

また、これらの方々は緊急時の対応責任者でもあります。お休みの日は、事前の申し送りや、当日の一次対応者の決定など、不測の事態に備えた連絡体制をあらかじめ整えておくことが、スムーズな事業運営につながります。

9.運営指導で確認される「書類間の記録のズレ」と記録実務

運営指導(実地指導)において、行政の担当者は「有給をとったこと」自体を問題にするのではなく、「お休みの日でも適正な人員体制が確保されていたか」を書類の記録から客観的に確認します。

ここで現場で起こりやすいのが、「勤務実績表」「送迎記録」「日々の支援記録」といった関連書類間の記録のズレ(不整合)です。 例えば、勤務実績表(シフト表)には有給の「休」と書かれているのに、送迎の記録や日々の支援記録にそのスタッフの名前が残ってしまっているケースです。このようなズレがあると、単なる書き間違いであっても、適正な人員配置が客観的に証明できなくなる可能性があるため、注意が必要です。

おわりに

スタッフが有給休暇を取得した際は、予定表の変更だけでなく、「出勤簿」と「日々の支援記録」を含めた関連書類に矛盾が生じないよう、事業所内で記録を連動させる仕組みを作ることがポイントとなります。

なお、勤務実績表については、必要な項目さえ網羅されていれば、現場で日常的に使っているシフト表等をそのまま代替書類として活用して問題ありません。

人員基準を遵守しながらスタッフの皆様がしっかりとお休みをとれる環境を整えることは、より良い支援の基盤となります。まずは、お手元のシフト表や各種業務記録をご用意いただき、本記事のポイントと照らし合わせながら、有給取得時の記録の仕組みを一つずつ確認する資料としてご活用いただければ幸いです。

(参考)【5分で要点】欠員発生時の管理実務|人員基準・減算リスク・変更届の初動対応

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