【障がい福祉運営チェック】「この運営で大丈夫だろうか」そんな時は、一緒に確認しませんか。▶ 詳しくはこちらからご相談ください。
はじめに
障がい福祉サービスや児童発達支援・放課後等デイサービスの現場では、利用者様の急な体調不良や、ご家庭の事情による「お休み(キャンセル)の連絡」が毎日のようにあるかと思います。 特に朝の送迎前などはスタッフの皆様も慌ただしく、つい「お休みの電話連絡を受けた」という事務的なメモだけで終わらせてしまうことも少なくありません。 しかし、実はこの「欠席対応の記録」が、後から行われる行政の定期チェック(運営指導)において、大切なポイントとなります。 もし記録の残し方が不十分だと、「欠席時対応加算」の要件を満たしていないと判断され、これまでに受け取った報酬(給付金)の過誤(返還)の対象となってしまうリスクが生じます。また、サービス管理責任者様(児童発達支援管理責任者様)が個別支援計画を適切に見直しているかどうかを確認するポイントにもなります。 本記事では、現場の皆様が安心して日々の支援に専念できるよう、欠席時対応加算を算定するためのルールと、事業所を守るための具体的な記録の残し方について、分かりやすく整理してお伝えします。
1.「欠席時対応加算」のルールと、残しておくべき記録

欠席時対応加算は、「お休みの連絡をもらえば自動的に算定できる」というものではありません。法定の要件を満たし、その対応の事実を客観的な記録に残しておくことをおすすめします。
(1) 連絡をもらうタイミングと「営業日」の数え方
加算の対象となるのは、「利用を予定していた日の前々日、前日、または当日」に、急病などのやむを得ない理由でお休みの連絡があった場合です。 ここで現場が少し迷いやすいのが、「前々日」や「前日」の数え方です。ルール上、事業所へお休みの連絡があった日は「事業所の営業日」で数えることになっています。 例えば、土日が休みの事業所で「月曜日」の利用をキャンセルする場合、「前の営業日」は金曜日、「前々営業日」は木曜日となります。もしご家族から日曜日に留守番電話やメールで連絡があったとしても、事業所としての受け付けは月曜日(当日)の扱いになります。カレンダー通りではなく、「事業所の営業日」を基準にタイミングを確認する仕組みづくりをご検討ください。
(2) 単なる「お休みメモ」ではなく「相談援助」の記録を残す
行政の確認の際、「〇月〇日、お休みの連絡あり」という一行のメモだけでは、加算の要件を満たす記録として客観性が不十分とみなされる場合があります。 ルール上、利用者様やご家族と「連絡調整や相談援助を行った」という事実が必要になります。例えば、「お母様より発熱のためお休みとの電話あり。受診をお勧めするとともに、熱が下がって次回利用できるかどうか、明日またご様子をお電話いただくようお伝えした」というように、「誰から連絡があり、どんな体調確認や次回に向けた相談を行ったか」を具体的に記載しておくことで、加算の要件を満たす客観的な記録となります。
2.毎月の請求前に確認したい「うっかりミス」のポイント

毎月の国保連への請求業務において、欠席時対応加算の勘違いで指摘を受けてしまうケースがあります。請求担当者様と現場で、以下のポイントを事前に確認しておくことをおすすめします。
(1) 同じ日に別の事業所を利用していたら算定できない
国のQ&Aにおいて、この加算は「急病等によりサービスが利用できなくなった場合」を想定しているとされています。そのため、「ご家族が連絡を忘れていて、当事業所を急にお休みした同じ日に、別の事業所(B事業所など)には通っていた」というケースでは、当事業所で欠席時対応加算を取ることはできません。他のサービスを併用されている利用者様については、請求前に同じ日の利用がなかったかを確認するフローを整えておくことをおすすめします。
(2) 月の算定上限と「重心児特例」の勘違い
欠席時対応加算は、原則として「利用者様1人につき月に4回まで」が上限です。 例外として、重症心身障がい児(重心児)を受け入れている事業所で、その月の定員充足率が80%未満の月に限って、「月に8回まで」算定できる特例があります。しかし、この特例はあくまで「重心児のお子様のみ」が対象です。一般のお子様についても誤って8回まで算定してしまうケースが散見されますので、対象者が誰なのかをしっかり区別しておくことが大切です。
(3) 欠席時の他加算との同時算定エラー
国保連へ提出する実績記録票においては、欠席時対応加算を算定する場合、「サービス提供の状況」欄等に「欠席」と記載するルールとなっています。この際、欠席しているにもかかわらず誤って「食事提供加算」などを同時に算定してデータ送信すると、国保連の審査においてエラー(例:PT79等)となり返戻の対象となります。請求前に不要な加算チェックが残っていないか照合することをご検討ください。
(4) キャンセル料との二重取りはできない
この加算を算定する場合、あらかじめ用意していたおやつ代や材料費などの実費を除いて、利用者様から「キャンセル料」をいただくことはルールで認められておりません。重要事項説明書にキャンセル料の記載がある事業所様は、加算を取るのかキャンセル料をいただくのか、事業所内の運用ルールの整理をおすすめします。
3.お休みの連絡を「個別支援計画の見直し」につなげる
特定の曜日でお休みが続いたり、急な予定変更が増えたりした場合、それを「お休みだった」という出欠の記録だけで終わらせてしまうことは、支援の見直しの機会を逸してしまうことになります。お休みが続く背景には、ご本人の体調の変化、人間関係の悩み、あるいはご家庭の環境の変化など、重要なサインが隠れていることが多々あります。現場で受けたお休みの理由やご家族からの相談を、サービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)が「 継続的なアセスメント情報 」として受け取る仕組みの構築が求められます。 定められた規定のモニタリング時期を待つのではなく、 必要に応じて前倒しで「個別支援計画の見直し」 を行い、 担当の相談支援専門員と情報共有 を図ることが重要です。こうした一連のプロセスが日々の記録に残っていることで、個別支援計画の実効性(PDCAサイクル)が客観的に証明され、適正な事業運営の確実な基盤となります。
【実務のポイント】見直した計画の「相談支援事業所への交付」
令和6年度の報酬改定より、個別支援計画を作成・見直し(見直しの結果、変更がない場合も含む)した後は、利用者等だけでなく、担当の相談支援事業所へも速やかに交付することが新たに義務付けられました。欠席連絡を契機に見直しを行った際も、この情報共有(交付)の手続きを漏れなく行うことが法令遵守の観点から不可欠です。
4.残しておくべき記録の項目と「5年間保存」のルール
行政の確認の際、スタッフが「きちんとお休みの連絡を受けて対応しました」と口頭で説明するだけでは、事実として認められない可能性があります。現場の負担にならない範囲で、以下のような項目が分かる共通のメモやフォーマットを用意しておくのがおすすめです。
・誰の利用予定日だったか
・いつ、どのような方法で連絡を受けたか(電話、メール等)
・誰からの連絡か(保護者様、ご本人等)
・お休みの理由は何か
・事業所としてどんな体調確認や相談・声かけをしたか
・次回の利用に向けた確認事項は何か
・対応したスタッフの名前
すべてを長文で書く必要はありませんが、後から第三者が見て「お休みの経緯と対応」が分かることが大切です。そして、これらの記録は法令等の定めで「サービスを提供した日から5年間」は保存することが定められています。担当者が代わっても、いつでも取り出せるような整理・保管体制をご検討ください。
5.「3つの書類のズレ」を防ぐ、スタッフ間の情報共有

お休みの連絡を受けた際、現場で一番起こりやすいのが「書類同士の食い違い(ズレ)」です。 例えば、朝の電話でお休みを受け付けたのに、送迎担当のスタッフに伝わっておらずにお迎えの車を出してしまったり、月末の事務作業の際に実績記録票へうっかり「利用あり」と入力してしまったりするケースです。 行政の確認では、「シフト表などの予定」「送迎の記録」「日々の支援記録」の3つの書類を見比べて、矛盾がないかを突合されます。お休みのはずの日に送迎の記録が残っていたりすると、単なる連絡ミスや書き間違いであっても、不適切な請求を疑われるきっかけになってしまいます。 お休みの連絡を受けたスタッフが、すぐに送迎担当や事務担当のスタッフに共有し、関連する記録をきちんと直しておく。こうした情報共有のルールを事業所内で作っておくことが、適正な運営を証明する確実な客観的記録(エビデンス)となります。
まとめ
欠席やキャンセルの対応記録は、単なる出欠の管理ではなく、正しい請求をしていることや、利用者様に寄り添った支援を行っていることを客観的に証明するための大切な記録です。 「目の前の利用者様への対応を何より優先したい」という現場の皆様の温かい思いが、記録のちょっとした不備で評価されなくなってしまうのは避けたいところです。現場の負担を少しでも減らすために簡単なチェックシートを作ったりしながら、「5年間の保存」や「書類のズレを防ぐ共有」といったルールを、事業所全体で少しずつ整えていっていただければ幸いです。その積み重ねが、安心して支援に専念できる環境づくりに必ず繋がっていくはずです。
指定申請・運営サポートをご検討中の方へ
サービス内容や進め方についてご案内いたします。