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はじめに
障がい福祉サービスや障がい児通所支援の国保連請求において、毎月のサービス提供実績を正しく整理し、データとして送信することは、正確な報酬算定の基盤となります。 中でも「サービス提供実績記録票(以下、実績記録票)」は、利用日、提供時間、送迎の有無、欠席状況、加算の算定などを一覧にし、実際に提供したサービス内容の詳細を明らかにするための極めて重要なデータです。 請求ソフトに入力する前の段階で実績記録票に誤りがあると、それがそのまま請求データに反映され、エラーによる「返戻(差し戻し)」や、後日発覚して報酬を取り下げる「過誤申立」につながる可能性があります。 本記事では、事業所様が月末・月初の請求業務を行う前に確認しておきたい、実績記録票のチェックポイントと実務上の留意点を整理して解説いたします。
1.実績記録票は「請求前に情報を統合するデータ」

実績記録票は、月末に独立して作成するものではなく、現場で日々記録される様々な情報と連動しています。具体的には、日々の支援記録、送迎記録、欠席の連絡メモ、個別支援計画書、受給者証の記載内容、契約支給量などの情報が集約された結果が、実績記録票となります。 たとえば、実績記録票上では「利用あり」となっている日に、日々の支援記録では「欠席」となっている場合、どちらの記録が事実なのかを確認する必要があります。また、送迎加算を算定している日に、実際の送迎記録簿(車両運行記録など)に該当する記録がない場合も、後日、運営指導等で確認を求められる可能性があります。 実績記録票の確認は、請求担当者様のみで行うのではなく、現場職員様や管理者様がそれぞれの記録を持ち寄り、相互に照合するフローを構築することをご検討ください。実績記録票の確認では、「実績記録票だけを見る」のではなく、日々の支援記録、送迎簿、欠席連絡記録、受給者証、請求明細書などを横断して確認することが重要です。月末・月初の確認作業を属人的にしないためにも、チェックリストを用いて確認項目を見える化しておくと、確認漏れを防ぎやすくなります。
2.よくある記載ミスと確認ポイント
現場の入力業務において発生しやすい記載ミスと、その確認ポイントを項目別に整理します。
① 利用日と欠席日の混同
実際には欠席しているにもかかわらず、利用日として記録されている、あるいはその逆のケースです。特に、月の途中で利用予定が変更された場合や、当日キャンセルが続いた利用者の記録には注意が必要です。 また、「欠席時対応加算」を算定する場合は、単に「欠席」と記録するだけでなく、要件を満たすための「利用者や家族からの連絡日時」「事業所が行った相談援助の内容」などが、別の支援記録として客観的に残っているかを確認することをおすすめします。 事業所の休業日や祝日と、実績記録票のデータに矛盾がないか(営業していない日に実績が入っていないか等)をカレンダーと照らし合わせて確認しておくと、単純な入力ミスを防ぎやすくなります。
② サービス提供時間のずれ
実績記録票の開始時刻と終了時刻が、日々の支援記録と一致しているかを確認します。放課後等デイサービスであれば学校終了時刻との整合性、生活介護や就労継続支援等であれば事業所の規定するサービス提供時間と合致しているかを見ます。 早退や遅刻があった日、通常より短時間の利用だった日にもかかわらず、基本となる予定時間でそのまま記録されていないかどうかの確認も重要です。 なお、居宅介護や重度訪問介護などで、月末日の夜から翌月初日にかけて「0時をまたいで(月をまたいで)」サービスを提供した場合、国保連の仕様上、当月分の実績記録票と翌月分の実績記録票にデータを分けて入力する必要があります。こうした月またがりの特殊なケースが正しく入力されているかも、確認ポイントとなります。
③ 送迎の記録漏れ・誤記載
送迎加算を算定している場合、送迎の有無、片道・往復の区分、送迎先、送迎した職員などの記録を確認します。実際には家族が送迎した日を「送迎あり」としていないか、片道のみの利用を「往復」としていないか等の確認をおすすめします。 児童発達支援や放課後等デイサービスでは、自宅、学校、事業所の間で送迎先が日によって変動することがあるため、実績記録票と実際の送迎簿の内容が一致しているか、送信前に突き合わせておくことをご検討ください。
④ 加算の算定漏れ・算定誤り
各種加算(延長支援加算、医療連携体制加算など)を算定する場合、「実績記録票にチェックが入っているか」だけでなく、「その加算を算定する根拠となる記録が事業所内に存在するか」を確認することが重要です。 たとえば医療連携体制加算であれば、看護職員等との連携内容が記録されているかなど、後日の運営指導において客観的に説明できる状態になっているかという視点での確認をおすすめします。
⑤ 利用者確認欄の漏れ
実績記録票には、サービス提供の都度、利用者または保護者に内容を確認していただく欄が設けられています。紙で運用している場合、確認のサインや押印に漏れがないかを確認します。 実務上、月末などに一括して確認を求める運用をされている事業所様も見受けられますが、その場合でも「どの日の利用実績についての確認か」が明確に分かる状態にしておくことが求められます。電子システムでサインをもらう場合も、確認の履歴がデータとして適切に保存されているかをご確認ください。
3.受給者証・契約支給量・明細書との整合性確認

実績記録票のデータは、受給者証の情報や、同時に送信する「請求明細書」のデータと完全に整合している必要があります。ここで不一致があると、エラーとして返戻されます。
- 支給量超過エラー(エラーコード:EG38など): 実績記録票に入力されたサービス実績量(利用日数や時間数)が、受給者証に記載された「決定支給量」を超過している場合にエラーとなります。複数事業所を利用している方の場合は、自事業所の契約支給量の範囲内に収まっているかを確認します。
- 明細書との不一致エラー(エラーコード:PP19など): 国保連のシステムでは、請求明細書と実績記録票のデータがセットで照合されます。そのため、「実績記録票に記録があるのに、請求明細書にそのサービスの記載がない」あるいはその逆の場合、エラーとして返戻の対象となります。
4.返戻・過誤発生時の実績記録票の取り扱い
万が一、請求データに誤りがあり「返戻」となった場合、または既に支払われた請求を後から取り下げる「過誤申立」を行う場合、実績記録票の取り扱いには特別な注意が必要です。
- 返戻時の再送信ルール: 請求明細書が何らかのエラーで返戻となった場合、連動して実績記録票のデータも返戻扱いとなります。そのため、原因を修正して翌月以降に再請求を行う際は、明細書のデータだけでなく、実績記録票のデータも必ずセットで再送信する必要があります。
- 過誤申立時の再送信ルール: 過去の誤った請求を取り下げる「過誤申立」を市町村へ依頼して処理が完了すると、明細書だけでなく、当時の実績記録票のデータもシステム上から取り下げられます。したがって、過誤処理後に正しい内容で再請求を行う際にも、実績記録票のデータを改めて再送信することが求められます。
5.データ送信前のチェックリスト

国保連へのデータ送信期間(毎月1日〜10日)に慌てないよう、以下の項目を事前に確認できるフローの構築をご検討ください。
□ 利用日と欠席日の区分が、実際の支援記録と一致しているか
□ 曜日、祝日、事業所の休業日と矛盾する実績が入力されていないか
□ サービス提供の開始時刻・終了時刻が正確か(遅刻や早退が反映されているか) □ 送迎の片道・往復区分が、実際の送迎簿と一致しているか
□ 加算の算定日と、その要件を満たす根拠記録が存在するか
□ サービス提供量が、受給者証の決定支給量・契約支給量の範囲内か
□ 利用者(保護者)の確認サイン(履歴)に漏れがないか
まとめ
実績記録票は、単なる請求手続きのための書類ではなく、「事業所がどのような支援を行ったか」を証明する基本データです。日々の支援記録、送迎状況、加算の根拠といった現場の記録をその日のうちに整理しておくことで、月末・月初の事務負担は大幅に軽減されます。 すべてを一人で確認するのではなく、現場の担当者、管理者、請求担当者がそれぞれの視点で確認できるダブルチェック体制など、自事業所に合った無理のない運用フローを見直すきっかけとしていただければ幸いです。
なお、実績記録票の確認項目は、毎月同じ観点で見直せるように、事業所内のチェックリストとして整理しておくと運用しやすくなります。確認する資料、担当者、確認時期をあらかじめ決めておくことで、月末・月初の請求業務を少しでも安定させやすくなります。