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児童発達支援・放課後等デイサービス

日本版DBS 施行まで約7カ月~国の資料と現場の実態を照らしながら、今の時期に整理しておくこと~

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はじめに

こども性暴力防止法(日本版DBS)の施行(2026年12月25日)まで約7カ月となりました。こども家庭庁からはガイドラインをはじめ、「事業者アカウントまとめ登録マニュアル」などの各種実務資料が順次公表され、制度の全容が明らかになりつつあります。 一方で、実際のシステム登録に向けた所轄庁(都道府県・市区町村)からの具体的な案内時期は地域によって異なり、手元にまだ案内が届いていないため、進行のペースに戸惑いを感じられている事業所様もいらっしゃる時期かと存じます。 本記事では、2026年5月時点における最新の行政資料と実務のフェーズを照らし合わせ、児童発達支援・放課後等デイサービスの事業所様が「今、手元で進めておくべきこと」と「所轄庁の案内を待ってから対応すればよいこと」を整理します。過度に焦ることなく、着実に法的準備を進めるためのロードマップとしてご活用ください。

1.現在のフェーズと、児童福祉施設(児発・放デイ)の位置づけ

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「指定障害児通所支援事業」は、日本版DBSにおいて法律上の「義務対象事業者」に位置づけられています。任意の認定制度とは異なり、施行日以降、対象職員の犯罪事実確認や各種の安全確保措置が確実に義務付けられます。

国が公表しているスケジュールによれば、施行の半年前である2026年4月〜6月頃は「事業者登録期」とされています。これは、専用の「こども性暴力防止法関連システム(こまもろうシステム)」を利用するための事前準備として、事業者の情報をシステムへ一括登録(まとめ登録)する期間です。 ただし、この「まとめ登録」の手続きは、事業所が独自にシステムへ直接アクセスして行うものではありません。所轄庁(自治体)からの案内に従って、指定されたフォーマット(Excel等)に事業者情報を入力して提出する形式で進められます。したがって、自治体からの具体的な案内が届くまでは、システムに関する手続きは「案内待ち」の状態となります。

2.施行前の今、事業所側で「確実に進めておきたいこと」

自治体からの案内を待つ間も、事業所の内部で進めておくべき実務的な準備は多岐にわたります。以下の4点について、現状の確認と着手をおすすめいたします。

(1)GビズID(プライム)の取得と最新情報の確認

今後のシステム利用及びまとめ登録における必須要件として、法人代表者の「GビズIDプライム」が必要となります。国からは4月末頃までの取得完了が推奨されていましたので、未取得の場合は至急、オンライン等での取得手続きを進めてください。 また、すでに補助金申請等で取得済みの法人様も、代表者の氏名や法人情報が最新の状態に更新されているかを必ずご確認ください。代表者が変更されている場合、マイページ上での単なる情報の書き換えはできず、新代表者名義で改めてGビズIDプライムを新規取得する必要があります。まとめ登録の提出期限に間に合わなくなるリスクを避けるため、早急な確認が求められます。

(2)まとめ登録に向けた「対象職員数」等の洗い出し

自治体から「まとめ登録」の依頼が届いた際、法人の基本情報やGビズIDに加えて、「施行時現職者数(概数)」の報告が求められます。 この機会に、職種や雇用形態を問わず、「こどもと直接接する業務に従事する職員」が何名いるかをリストアップしておくことが重要です。直接支援を行う児童指導員や保育士だけでなく、送迎ドライバーや事務員等についても、「支配性・継続性・閉鎖性」の3要件を満たす業務実態があるかどうかを個別に判断し、対象者を確定させておくことで、後続の行政手続きがスムーズに進行します。

(3)就業規則や情報管理規程などの「社内ルールの法的整理」

施行後に現場の労務トラブルを招かないよう、今の時期から社内規程のたたき台を準備しておくことが法的リスクの軽減に直結します。 具体的には、以下のような規程の改定・新規作成が求められます。

  • 就業規則等の改定: 採用時の内定取消事由や試用期間中の解約事由として「重要な経歴の詐称」を追加します。また、SNS等での私的なやり取りなど、明らかな犯罪行為には至らない「不適切な行為」の範囲を事業所ごとに定め、懲戒事由として明文化しておくことが重要です。
  • 情報管理規程の作成: 犯罪事実確認に関する記録は極めて機微な情報です。誰が閲覧権限を持ち、システム外での保存をいかに制限するかなど、厳格な情報管理のルールを定めます。
  • 児童対象性暴力等対処規程の策定: 万が一、疑いが生じた際の社内の報告ルートや、事後対応のフローをあらかじめ定めます。 こども家庭庁より各種ひな型が提示されておりますので、自法人の実態に合わせてカスタマイズを進めておくことが有効です。
(4)採用書類(求人票・誓約書等)の準備

今後の採用活動に向けて、求人票や募集要項に「特定性犯罪前科がないこと」を採用条件として明示する準備を進めます。これにより、面接時等に制度の趣旨を説明し、内定前に誓約書を取得するフローを自然に構築でき、後日の内定取消し等に関わる労務リスクを未然に防ぐことができます。

3.採用活動と既存職員への対応に関するスケジュール上の留意点

(1)12月前後の採用活動と「こまもろうマーク」について

採用活動において、内定日や入職日が施行日(12月25日)をまたぐケースでの取り扱いに注意が必要です。施行日前に雇用契約が開始し業務に従事している者は「施行時現職者」となりますが、施行日以降に新たに業務に従事する者については、事前に犯罪事実確認を完了させる必要があります。年末年始の人事配置においては、確認の手続き期間を見越したスケジュールの設計が求められます。 なお、制度のシンボルである「こまもろうマーク」についてですが、これは法定義務対象事業者等が「施行日以降」に広告等に表示できるものです。施行前の現段階で求人票等に掲載することは制度上想定されていないため、まずは前述の「採用条件への明記」を確実に行うことに注力していただければ問題ございません。

(2)既存職員(現職者)の確認は「都道府県ごとに分散申請」

施行時点ですでに在籍している職員(施行時現職者)に対する犯罪事実確認は、施行後3年以内(2029年12月24日まで)に行うこととされています。 実務上重要なのは、施行日に一斉に確認を行うのではなく、システムの混雑を防ぐため「約2年3ヶ月(27区分)にかけて、都道府県ごとに割り当てられた期間に分散して申請する」というルールです。したがって、複数の都道府県に事業所を展開している法人様は、事業所(所在県)ごとに申請時期が異なることになります。 また、自事業所の申請対象月が決定した後、対象職員に対しては「対象月の約4ヶ月前」にシステムへの情報提出(戸籍の提出等)を案内することになります。これは、手続きに必要な「戸籍電子証明書提供用識別符号」の有効期限が3ヶ月であるため、早く取得しすぎて期限切れになるのを防ぐための措置です。現時点では、焦って既存職員全員に戸籍の手続きを急がせる必要はなく、対象者のリストアップにとどめておくのが最も適切な対応となります。

おわりに

日本版DBSの施行に向けては、国から膨大な資料が提示されており、対応すべき事項が山積しているように感じられるかもしれません。 しかし、現時点ではシステム面の詳細な運用がまだ準備・登録の段階にあります。まずは「GビズIDの最新化」や「対象者の洗い出し」、「就業規則等社内規程の法的整理」といった、事業所内部で確実にコントロールできる実務から着手していただくことが、最も堅実なアプローチです。 自治体からの案内を冷静に待ちつつ、自事業所の労務管理・情報管理体制を一つひとつアップデートしていくための期間として、今の時期をご活用いただければ幸いです。

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