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はじめに
2026年12月に施行される「こども性暴力防止法(日本版DBS)」により、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの事業所には、職員の特定性犯罪前科を確認することが義務付けられます。
現職の職員様への説明は、制度の仕組みや情報の取り扱いルールを正しく共有し、実務の準備を円滑に進めるための重要なステップとなります。本記事では、経営者様や管理者様が短時間で要点を確認できるよう、説明のポイントや具体的な例文、事前に整えておきたい準備について整理しました。
1.現職職員への説明で押さえておきたい「3つのポイント」

職員様へ日本版DBSの導入を説明する際は、以下の3つのポイントを事実に基づいて客観的にお伝えすることをおすすめします。
① 「法的な義務」であること
今回の確認作業が、特定の誰かを対象としたものではなく、「法律によって対象施設に義務付けられた共通のルール」であることをお伝えください。事業者独自の判断ではなく、公的な手続きであることを強調することで、職員様の不安や誤解を和らげることにつながります。
② プライバシー保護と情報の取り扱いについて
犯歴の有無という情報は、特に慎重な扱いが求められます。「照会結果を確認できる担当者を最小限に絞る」「性犯罪防止以外の目的(人事評価など)には流用しない」といった情報管理のルールを具体的に提示し、機密性が守られることをご説明ください。
③ 申請スケジュールと「情報提出」のお願い
現職職員様の実際の確認手続きは、施行後すぐに全員一斉に行うわけではありません。システムの混雑を防ぐため、令和9年(2027年)4月以降、都道府県ごとに割り当てられた期間(1ヶ月間)に分散して行われる予定です。 事業所は、割り当てられた「申請対象月の4ヶ月前」に、改めて職員様へ具体的な手続き(マイナンバーカードを用いた戸籍情報の提出等)をご案内することになります。
2. 職員向け説明例文(参考)
職員様へ制度を周知する際にご活用いただける、説明のテンプレートをご紹介します。
【通知文・チャット用の例文】
件名:「日本版DBS」導入に伴う確認手続きについて
職員各位 お疲れ様です。2026年12月施行の「こども性暴力防止法」に基づき、当事業所においても職員の特定性犯罪前科の確認(日本版DBS)を導入することとなりました。
・目的:法令遵守、および施設内における安全管理体制の強化
・対象:当事業所において、こどもと接する業務に従事する職員
・確認内容:こども家庭庁を通じた、特定性犯罪前科の有無の照会 ・情報の管理:取得した情報は、管理責任者が厳重に管理します。本目的以外に使用することや、外部に漏洩させることは一切ありません。
本件は、児童福祉に関わるすべての事業所に課された法的な義務であり、私たちが今後も安心して療育に専念するための大切なステップです。 実際の手続きは令和9年4月以降に順次行われる予定です。対象となる方には、手続きを行う時期の約4ヶ月前に、具体的な操作手順等を改めてご案内いたします。ご不明な点がありましたら、管理者までご相談ください。
3. スムーズな導入のために:事前に準備しておきたい規程類

職員様へアナウンスをする前に、以下の実務的な準備を整えておくことをおすすめします。
- 就業規則の改定: 採用時および採用後に照会を行うことや、万が一前科が確認された場合のルール(配置転換や、やむを得ない場合の契約終了等)を就業規則に定めておくことが求められます。
- 情報管理規程の作成: 取得する情報を「誰がアクセスでき、どこに保管するのか」を定めた規程を整備します。
- 相談窓口と責任者の明確化: 情報の機密性を守るため、閲覧権限を持つ管理責任者を最少人数に絞り、その役割を明確にしておくことが大切です。
4. 実務の壁:手続きに必要な「マイナンバーカード」の活用

制度の仕組みとして、こども家庭庁が法務省へ「性犯罪前科の照会」を行いますが、その前提として、誤認を防ぐための正確な身元確認が必要となります。そのため、事業者経由ではなく、職員様ご自身から国(システム)に対して直接「戸籍等の情報提出」を行っていただく手順となっています。
この際、役所で戸籍謄本を取得して郵送する手間を省き、オンラインでスムーズに情報の提出を行うために「マイナンバーカード」と「スマートフォンの専用アプリ(デジタル認証アプリ)」の活用が原則となります。 職員様には、「事業所が戸籍を預かるのではなく、オンラインバンキングのようにご自身のスマホから国へ直接送信する安全な仕組みであること」を補足していただくことで、手続きへのハードルを下げることが期待できます。スマートフォンをお持ちでない場合の対応等については、今後国から示されるマニュアルをご確認ください。
5. よくある質問(FAQ)
Q1:現職の職員が手続きを拒否した場合はどうすればいいですか?
A: まずは、この手続きが法律に基づく義務であることを改めて説明し、ご理解を求めていただくことをおすすめします。それでも拒否が続く場合は、就業規則に「法に基づく照会手続に対応すること」を規定しておくことで、業務命令違反としての対応を検討する法的な根拠となります。
Q2:アルバイトやパート職員も照会の対象になりますか?
A: 雇用形態に関わらず対象となる可能性があります。有資格者(保育士等)以外の職種(送迎ドライバーや事務員など)については、業務の実態として「支配性・継続性・閉鎖性」の3つの要件をすべて満たすかどうかで、対象とするかを事業所にてご判断いただくことになります。
Q3:照会結果の記録は、いつまで保存するのですか?
A: 犯罪事実確認書などの記録は極めて機微な個人情報であるため、「こども性暴力防止法第38条」において、厳格な廃棄・消去の期限が定められています。 具体的には、原則として「確認日から5年が経過した後の3月末日(年度末)から起算して30日以内(概ね4月末頃まで)」に消去する必要があります。 (※例:2027年10月に確認した場合、5年後の2032年10月を含む年度の末日=2033年3月末から30日以内となり、2033年4月末頃が期限となります。) また、その職員様が退職等をした場合は、さらに短く「離職した日から30日以内」に速やかにシステム上で消去の手続きを行うことが求められます。 これらの期限を超えて保管を続けた場合、法律により罰金(50万円以下)の対象となる可能性もあります(法第46条)。情報の漏洩を防ぐためにも、紙に印刷しての長期保管などは原則として避け、法令に従った適切な情報管理を行っていただくことをおすすめします。
6. まとめ
日本版DBSの導入は、こどもたちの安全を守るための仕組みであると同時に、適切に運用することで「法令を遵守し、安全な労働環境を維持している」という事業所の信頼を対外的に証明するものでもあります。
まずは、現状の就業規則等の確認や、職員様への説明の準備から少しずつ着手してみてはいかがでしょうか。一つひとつの手続きをルールに沿って進めることが、結果として職員様の安心感と、事業所の安定した運営につながります。こども家庭庁から随時公表されるガイドライン等の最新情報もご参照いただきながら、ご準備を進めていただくことをおすすめします。