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障害福祉サービス全般

【令和8年度】報酬見直しでどう変わる?就労B・グループホーム・児発・放デイの重要ポイントを全解説

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はじめに

「令和6年度の改定に対応したばかりなのに、また新しい見直しがあるの?」「就労Bの工賃基準が上がるって本当?」「これから新規開設を考えているけれど、報酬が下がるって聞いて不安……」

現在、このような悩みや不安を抱えている経営者・管理者の方は少なくありません 。令和9年度の本格的な報酬改定を前に、令和8年度から「臨時応急的な見直し」という異例の措置が実施されることが決まりました この変更は、就労継続支援B型やグループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、多くの主要サービスに直結する内容となっています 。

「制度が複雑でどこに注目すべきかわからない」と立ち止まってしまうのは、非常に危険です。対策が遅れると、思わぬ収益減少や運営ルールの逸脱を招く恐れがあるからです 。

この記事では、厚生労働省の最新資料に基づき、令和8年度の見直しのポイントをわかりやすく解説します 。

この記事を読めば、

  • なぜ今、異例の見直しが行われるのかという本当の理由
  • 就労継続支援B型の報酬区分にどう影響するのか
  • 新規事業所に適用される「特例単価」の正体と回避条件
  • これからの時代に選ばれる事業所になるための運営指針

これらが明確にわかります。変化の激しい今だからこそ、正しい情報を得て、自信を持って次の運営の一手を打ち出しましょう。

1.令和8年度「臨時応急的な見直し」が実施される背景と目的

障害福祉サービスは、障害のある方の自分らしい暮らしを支える大切な仕組みです。しかし現在、この制度を将来にわたって安定的に続けていくために、見過ごせない課題がいくつか浮き彫りになっています 。

国は通常、3年に1度のペースで報酬改定を行いますが、今回は令和9年度の定期改定を待たずに、令和8年度に「臨時応急的な見直し」を行うことを決定しました 。なぜ今、このような異例の対応が必要となったのでしょうか。その背景には、大きく分けて3つの理由があります。

制度の持続可能性への危機感

まず、障害福祉サービス全体の予算額が急増している点です。制度が始まった障害者自立支援法の施行時と比較すると、予算額は4倍以上にまで膨らんでいます 。特に直近の令和6年度報酬改定後、サービスの総費用額は前年度比で12.1%という非常に高い伸びを記録しました 。このままのペースで費用が増え続けると、制度そのものを維持することが難しくなりかねないという危機感があります 。

深刻な人材確保の課題

一方で、現場の支え手である従事者の確保は、依然として大きな課題です 。サービスを必要とする方が増える中で、質の高い支援を継続するためには、働く方々の処遇をさらに改善し、安心して働ける環境を整えることが急務となっています 。

サービスの質の確保と適正化

最後に、一部の事業者において、本来の制度趣旨とは異なる形で報酬を算定しているケースが報道などで指摘されている点です 。例えば、特定の加算を得るために不自然な離職や再雇用を繰り返すといった実態が散見されています 。こうした状況は、サービスの質の低下を招くだけでなく、公費で運営される制度への信頼を揺るがしかねません 。

今回の見直しは、こうした「制度のパンク」を防ぎつつ、真面目に支援に取り組む事業所様が守られ、利用者の皆様に質の高いサービスが届き続けるための、文字通り「応急処置」としての側面を持っています 。

2.就労継続支援B型:基本報酬区分の基準見直し

就労継続支援B型を運営されている皆様にとって、今回の見直しで最も直接的な影響があるのが「基本報酬の算定基準」の変更です 。今回の措置は、令和6年度に行われた計算ルールの変更が、当初の予想を超えた結果をもたらしたことに端を発しています 。

なぜ基準が変わるのか?

令和6年度の報酬改定では、障害の特性により利用日数が少ない方を多く受け入れる事業所へ配慮するため、平均工賃の計算に「一日あたりの平均利用者数」を用いる新しい数式が導入されました 。

この変更により、全国の平均工賃月額は令和4年度から5年度にかけて約6,000円上昇しました 。その結果、高い報酬区分に該当する事業所が想定以上に増えたため、制度の持続可能性を確保する観点から、改めてハードル(基準額)を引き上げることになったのです 。

具体的な変更内容:基準額の「3,000円」引き上げ

今回の見直しでは、平均工賃月額の上昇幅(約6,000円)の半分にあたる3,000円を、各報酬区分の基準額に上乗せします 。

例えば、これまで「45,000円以上」で最高区分(区分一)だった基準が「48,000円以上」に引き上げられます 。これにより、多くの事業所で報酬区分が一つ下がる可能性が出てきています 。

経営への影響を抑える「3つの配慮措置」

急激な報酬減による経営悪化を防ぐため、国は以下の3つのクッションを用意しています 。

  1. 区分が上がっていない事業所は「据え置き」 令和6年度の改定前後で、もともと報酬区分が上がっていなかった事業所については、今回の見直し対象から外れます 。
  2. 減少額を3%程度に抑える「中間区分」の新設 基準の引き上げによって区分が下がってしまう場合でも、減収幅が大きくならないよう、現行の区分の間に「区分A・B・C」といった中間的な単価設定を設けます 。
  3. 下位区分の基準は変更なし もともと単価が低めに設定されている「区分七」と「区分八」の間の基準額については、今回は引き上げず据え置かれます 。

この見直しは令和8年6月からの施行が予定されています 。事業所様におかれましては、現在の平均工賃が新しい基準に照らしてどの位置にくるのか、早めにシミュレーションを行っておくことが大切です。

3.新規事業所に適用される「応急的な報酬単価(特例)」

今回の見直しの中で、これから新しく事業を立ち上げようと考えている皆様に最も大きく関わるのが、この「応急的な報酬単価の特例」です 。特定のサービスにおいて、令和8年6月以降に新しく指定を受ける事業所には、通常の基本報酬を一定程度引き下げた「特例単価」が適用されることになります 。

なぜ新規事業所が対象なのか?

現在、障害福祉サービスの予算は急増しており、制度の持続可能性が問われています 。自治体への調査では、「地域のニーズを十分に調査しないまま、利益重視で参入してくる事業者が増えている」といった声も上がっています 。

そこで、サービスの質をしっかりと担保しつつ、過度な事業所の急増を抑えるための「応急処置」として、今回の措置が導入されました 。あくまで「制度を守るための期間限定のブレーキ」という位置づけです。

対象となる4つのサービス

今回の特例単価が適用されるのは、特に事業所数の伸びが著しく、かつ収支のバランスが一定水準を超えている以下のサービスです 。

  • 就労継続支援B型
  • 共同生活援助(グループホーム) ※介護サービス包括型・日中サービス支援型
  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス

具体的にどれくらい変わるのか?

新規事業所の場合、基本報酬がおおよそ1%〜3%弱程度引き下げられる見込みです 。ただし、すでに運営している既存の事業所については、これまで通りの報酬単価が維持されますのでご安心ください 。

配慮が必要なケースは「対象外」となります

一律に引き下げるのではなく、本当に支援が必要なケースにはしっかりと配慮がなされています。以下のような「特にニーズが高い、あるいは支援が不足している」と認められる場合は、新規指定であっても特例の対象外(従来通りの単価)となります 。

  • 重度の方への支援:医療的ケアが必要な方、強度行動障害、視覚・聴覚障害のある方などへの専門的な支援体制を整えている場合 。
  • 地域への配慮:離島や中山間地域での開設や、自治体が公募などで「この地域にはどうしても必要だ」と認めて設置する場合 。

この特例単価は、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所が対象となり、令和9年度の次期報酬改定までの間の措置となる予定です 。これから参入を検討される皆様は、単なる収益性だけでなく、地域で本当に求められている支援は何か、という視点をこれまで以上に大切にしていく必要があります。

4.就労移行支援体制加算の適正化

就労継続支援(A型・B型等)を運営する皆様にとって、利用者の「一般就労」へのステップアップを支えることは大きな目標の一つです。これを評価する仕組みが「就労移行支援体制加算」ですが、令和8年度の見直しでは、この加算のルールがより厳格化されることになりました 。

なぜルールが見直されるのか?

この加算は本来、一般企業への就職とその後の定着を継続的にサポートしている事業所を応援するためのものです 。しかし、残念なことに一部の事業者において、「本来の目的とは異なる形」で加算を得ている実態が報道されました 。

具体的には、同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で短期間の離職・転職を繰り返し、そのたびに事業所が加算を算定するといったケースです 。国はこうした不自然な動きを抑制し、本当に質の高い就労支援を行っている事業所が正当に評価されるよう、ルールの適正化に踏み切りました 。

新しく導入される「2つの制限」

今回の見直しでは、主に以下の2点が変更されます。

  1. 算定できる人数に「上限」を設置 一つの事業所で年間に加算対象とできる人数に、事業所の「定員数まで」という上限が設けられます 。これにより、定員を大幅に超えるような不自然なペースで就職者を出し続けることで報酬を得る、といった運用ができなくなります 。
  2. 「過去3年間の実績」をより厳しくチェック これまでも一部制限はありましたが、今後は「自社・他社を問わず」過去3年間にこの加算の対象となったことがある利用者については、原則として再度の算定ができなくなります。※ただし、ハラスメントによる退職などやむを得ない事情があり、市町村長が適当と認めた場合に限り、例外として算定が可能になります。

施行時期と今後の展望

この変更は、令和8年4月からの施行が予定されています 。対象となるのは、就労継続支援A型・B型のほか、生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)です 。

国は令和9年度の本格的な報酬改定に向けて、この加算のあり方をさらに議論していく方針です 。事業所様におかれましては、目先の加算取得だけを目的とするのではなく、利用者が「自分に合った職場で長く働き続けられること」を第一に考えた、誠実な支援体制の構築がこれまで以上に求められています。

5.厚労省が示す「ガイドライン」と今後の運営のポイント

これまでの報酬の見直しに加え、国は事業運営の「質」をより客観的に評価するための「ガイドライン」の活用を強く求めています 。これは、単にルールを守るだけでなく、利用者様一人ひとりに寄り添った支援が適切に行われているかを、見える化するための仕組みです。

就労支援・グループホームにおける「質の確保」

就労系サービス(A型・B型)では、新しく事業を始める際の審査が厳格になります 。具体的には「生産活動シート」という書類を用い、仕事の内容が利用者の能力向上に本当につながっているか、安定した工賃・賃金を支払える計画か、といった点が厳しく確認されるようになります。 重要なのは、これが新規指定時だけでなく、既存事業所の「指定更新」や「運営指導(実地指導)」の際にも確認ツールとして活用される方針であることです。既存の事業所様であっても、生産活動の収支状況や支援の実態をこのシートに基づいて説明できる状態にしておく必要があります。

また、グループホーム(共同生活援助)においても、運営の目安となるガイドラインが作成されました 。事業所自らが「自己チェックシート」を使って支援の内容を振り返り、その結果をホームページなどで公表することが推奨されています 。さらに、地域住民や有識者が参加する「地域連携推進会議」を開催し、外部の目を入れることで運営の透明性を高める取り組みも始まります 。

児童発達支援・放課後等デイサービスの「見える化」

お子様を対象としたサービスでは、支援内容を「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)」と関連づけて計画を作成することが必須となります。さらに、事業所様は5領域との関連性を明確にした「支援プログラム」を作成し、ホームページ等で公表することが求められます。保護者様に対して、「うちはどのような支援で、お子様のどの力を伸ばすのか」を可視化することが、これからの時代に選ばれる事業所の条件となってきます。

今後の運営で大切にしたいこと

国は現在、「特段の知識がなくても高収益が得られる」といった、福祉の専門性を軽視したような事業参入を警戒しています 。

今後の運営において鍵となるのは、「地域とのつながり」と「情報の公開」です。地域のニーズを丁寧に汲み取り、自社の支援がどのように利用者様の人生に貢献しているかを言葉にして伝えていく。そうした誠実な姿勢が、結果として制度の見直しの中でも揺るがない、地域に必要とされる事業所づくりにつながります。

今回の臨時応急的な見直しは、変化の激しい時期ではありますが、いま一度「自分たちの支援の原点」を見つめ直す機会として捉えていただければ幸いです。

まとめ:令和8年度に向けて事業者様が今準備すべきこと

ここまでお伝えしてきた通り、令和8年度の「臨時応急的な見直し」は、制度全体の持続可能性を保ち、現場で働く方々の処遇改善を確実に進めるための重要なステップです 。今回の変更は、単なる報酬の引き下げではなく、本来の制度趣旨に則った「質の高い支援」を行っている事業所様が、将来にわたって安定して運営を続けられるようにするための仕組みづくりと言えます 。

これからの施行に向けて、事業所様が今から準備しておきたいポイントを整理しました。

  1. 現在の収支と支援内容の「見える化」

就労継続支援B型を運営されている場合は、令和8年6月からの新基準に照らして、自所の報酬区分がどう変化するかを早めにシミュレーションしておくことが大切です 。また、児童発達支援や放課後等デイサービスでは、日々の支援内容が「5領域」に沿ったものになっているか、その過程を記録や計画書で適切に示せているか、いま一度確認しておきましょう 。

  1. ガイドラインに基づいた自己点検

国が示した各サービスのガイドラインは、今後の運営における「正解」を示す道しるべです 。特に新規での指定や移転などを検討されている場合は、自治体からの審査がより実態を重視したものになるため、計画の段階からガイドラインの内容を運営に落とし込んでおく必要があります 。

  1. 地域や他事業所との連携強化

今回の見直しでは、地域とのつながりや外部の目を入れる仕組みが重視されています 。グループホームでの「地域連携推進会議」への参加準備や、他事業所との情報交換など、閉鎖的にならない運営体制をつくることが、事業所としての信頼性を高めることにつながります 。

令和9年度にはさらに大きな報酬改定が控えています 。今回の応急的な措置を「守りの準備期間」と捉え、変化に柔軟に対応できる体制を整えていくことが、利用者様やご家族に選ばれ続けるための第一歩となるはずです。

(参考資料)

令和8年度における臨時応急的な見直し(厚生労働省、こども家庭庁)(令和8年1月22日)

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