今回は「福祉・介護職員等処遇改善加算」の3つの算定要件の内、「キャリアパス要件」について説明します。「キャリアパス要件」は5つに分類されています。「キャリアパス要件Ⅰ」は福祉・介護職員の任用要件、賃金体制について、「キャリアパス要件Ⅱ」は研修の実施について、「キャリアパス要件Ⅲ」は福祉・介護職員の昇進ののしくみづくりについて、「キャリアパス要件Ⅳ」は福祉・介護職員等処遇改善加算適用後の賃金額について、「キャリアパス要件Ⅴ」は介護福祉士等の配置について定められています。順番に説明します。
キャリアパス要件Ⅰとは?
キャリアパス要件Ⅰは福祉・介護職員等処遇改善加算のⅠ~Ⅳのどの加算を取得する場合でも必要となる要件です。但し、令和6年度は申請時点で未対応であっても令和7年3月末までに対応することを誓約することでクリア出来ます。
内容としては福祉・介護職員に対して主任、班長などの職位に合わせた職務内容と、その職位になるための要件、それぞれの職位での賃金体系(基本給、職位手当など)を定めることを求められます。
また、それらを定めたのち就業規則等の書面によってすべての福祉・介護職員に周知することを求められます。
キャリアパス要件Ⅱとは?
キャリアパス要件Ⅱも福祉・介護職員等処遇改善加算のⅠ~Ⅳのどの加算を取得する場合でも必要となります。こちらも令和6年度は申請時点で未対応であっても令和7年3月末までに対応することを誓約することでクリア出来ます。
内容としては福祉・介護職員に対して行う研修の実施もしくは研修機会の確保が求められています。
具体的には主任、班長などの職位にあわせた研修計画の策定・実施、および介護福祉士などの資格取得に向けた支援(勤務シフトの調整、費用援助等)が求められます。
こちらについても定めたのちは書面によってすべての福祉・介護職員に周知することを求められます。
キャリアパス要件Ⅲとは?
キャリアパス要件Ⅲは福祉・介護職員等処遇改善加算のⅠ~Ⅲの加算を取得する場合に必要となります。こちらも令和6年度は申請時点で未対応であっても令和7年3月末までに対応することを誓約することでクリア出来ます。
内容としては福祉・介護職員の昇給のしくみの整備です。
具体的には
・「勤続年数」「経験年数」などの経験に応じて昇給する仕組み
・「介護福祉士」「実務者研修修了者」などの資格等に応じて昇給する仕組み
・「実技試験」「人事評価」などの基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
です。
昇給については基本給による賃金改善が望ましいですが、手当、賞与等による賃金改善でも問題はありません。
こちらについても定めたのちは書面によってすべての福祉・介護職員に周知することを求められます。
キャリアパス要件Ⅳとは?
キャリアパス要件Ⅳは福祉・介護職員等処遇改善加算のⅠ~Ⅱの加算を取得する場合に必要となります。
内容としては改善後の年収見込額が440万円以上(手当等を含む)となる者を1名以上設定することが求められます。
但し、令和7年3月までは月額平均8万円の改善でも対応可能です。
キャリアパス要件Ⅴとは?
キャリアパス要件Ⅴは福祉・介護職員等処遇改善加算Ⅰの加算を取得する場合に必要となります。
内容としてはサービス類型ごとに一定以上の介護福祉士などの福祉専門職の配置を求められます。
具体的には「特定事業所加算」もしくは「福祉専門職員配置等加算」の届出を行っていることが必要です。