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福祉・介護職員処遇改善加算

処遇改善加算は誰に配分できる?管理者・サビ管・児発管・事務職員の取扱いを解説

藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
この記事を書いた行政書士
藤原行政書士事務所 行政書士 藤原英明
障がい福祉・児童福祉事業所の指定申請・運営支援を中心に取り扱っています。

はじめに

福祉・介護職員等処遇改善加算について、事業者様が迷いやすいのが「誰まで賃金改善の対象にしてよいのか」という点です。

生活支援員や児童指導員、保育士だけでなく、管理者、サビ管・児発管、事務員、送迎担当職員にも配分できるのでしょうか。また、法人本部の職員や、現場で働く代表取締役についても判断に迷うことがあります。

配分対象は、職種名だけでなく、加算を算定する事業所との関係や実際の業務内容から確認することが大切です。

今回は、令和8年度厚生労働省のQ&Aを基に、対象者の考え方と配分時の確認事項を解説します。

1.管理者・サビ管・児発管・事務職員も配分対象

「福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」(令和8年4月9日)の問2-1-2では、配分対象に福祉・介護職員以外の全職種が含まれることが示されています。

具体的には、管理者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、看護職員、相談支援専門員、栄養士、調理員、事務員などが例示されています。

そのため、「管理者だから」「直接支援職ではないから」という理由だけで、対象外にする必要はありません。管理者兼サビ管、管理者兼児発管、サビ管・児発管専従といった勤務形態でも、職種名だけで除外する考え方ではありません。

ただし、同Q&A問2-1-1では、福祉・介護職員、特に経験・技能のある職員の処遇改善を重視しながら、柔軟に配分する考え方が示されています。対象範囲と配分額は分けて検討します。

2.送迎担当職員は、人員配置基準と分けて考える

送迎専属の運転手については、「人員配置基準に算入できるか」と「処遇改善加算を配分できるか」を分けて考えます。

例えば、放課後等デイサービスで送迎を担当していても、そのことだけで児童指導員等として配置基準に算入できるわけではありません。

一方、加算を算定する事業所に勤務し、その事業所の送迎を担当する職員については、全職種を対象とする考え方から、運転手という職種だけで除外する必要はありません。

外部委託の場合には、単に委託料を増額しただけで賃金改善になるとは限りません。同Q&A問2-4・問2-5を踏まえ、委託先等と協議し、対象職員の給与への上乗せにつながることを確認する必要があります。

3.法人本部の職員は、対象事業所との関係を確認する

法人本部で給与計算、請求、経理、人事などを担当する職員については、同Q&A問2-8で整理されています。

本部職員でも、加算の算定対象となる事業所の業務を行っていると判断できる場合には、賃金改善の対象に含めることができます。

例えば、対象事業所の給与計算や国保連請求を担当する場合には、担当業務と対象事業所との関係を整理しておきます。

一方、加算を算定していない事業所や、障害福祉サービス等以外の事業のみを担当する職員まで、対象になるわけではありません。

複数の事業所を担当している場合は、「どの事業所の、どの業務を担当しているか」を職務分担表などにまとめると、対象とした理由を説明しやすくなります。

4.代表取締役が現場で働いている場合は?

小規模な事業所では、代表取締役自身が管理者を兼務し、利用者支援や送迎を担当することがあります。

同Q&A問2-9では、代表取締役等の役員でも、加算の算定対象となる事業所の業務を行っていると判断できる場合には、賃金改善の対象に含められるとされています。

役員であることだけで対象外になるわけではなく、対象事業所での実際の業務が判断材料になります。

配分を検討する際は、役職名だけでなく、担当業務、勤務時間、勤務表や送迎記録などを確認しておきます。法人の経営判断のみを行う役員について、現場で働く役員と同じ説明で対象とすることは避ける必要があります。

また、処遇改善加算の配分対象になることと、役員報酬を税務上の経費にできることは別の問題です。

役員給与は、支給方法や改定時期などによって、損金に算入できない場合があります。毎月定額にすれば必ず問題が解消するわけでもありません。役員への配分は、計画段階で顧問税理士に支給額・方法・時期を確認しておきましょう。

5.配分額は、職務内容や勤務実態に見合っているか

対象者に含められる場合でも、配分額の検討は必要です。

同Q&A問2-6では、職務内容や勤務実態に見合わない、著しく偏った配分は行わないこととされています。

例えば、送迎を時々担当する代表取締役に加算額の大部分を配分する場合には、その金額が業務への従事状況に見合っているかを確認する必要があります。

配分を決める際は、職務内容、勤務時間、責任の程度、既存の賃金体系などを整理します。「対象になる人だから」という説明だけでなく、金額を決めた理由も確認できるようにしておくとよいでしょう。

6.返還を防ぐために確認したい5つのポイント

配分時には、次の5点を確認します。

① 加算を算定する事業所の業務を行っているか

② 肩書だけで対象・対象外を判断していないか

③ 職務内容や勤務実態に見合う配分になっているか

④ 賃金規程・処遇改善計画書と実際の支給方法が整合しているか

⑤ 最終的な賃金改善額が加算額以上になっているか

同Q&A問1-9では、賃金改善額が加算額を下回ると返還対象になります。ただし、不足分を賞与等の一時金として追加配分することで、返還を求めない取扱いとしても差し支えないとされています。

不足に気づいた場合は、実績報告前に集計し、追加支給の時期や報告方法を指定権者に確認して対応します。「追加支給すれば、ほかの算定要件に問題があっても返還にならない」という意味ではありません。

なお、賃金改善額には、要件に沿って算出した賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担増加分も含められます。職員への支給額と、算入できる費用を区分して集計します。

7.職員への周知は、他人の支給額の公開とは異なる

処遇改善加算では、計画書の内容や賃金改善の方法等を職員に周知する必要があります。

同Q&A問1-10・問2-6では、周知に加え、職員から照会があった場合には、その職員本人の賃金改善について、書面を用いるなど分かりやすく回答することが求められています。

他の職員の個別支給額を、全職員に公開することまで求めるものではありません。

事業所としての配分方針や支給方法を説明し、本人から質問があったときに、その本人の改善内容を確認できるようにしておきます。

周知文書や会議録を残しておくと、いつ、何を説明したかを後から確認できます。

まとめ

処遇改善加算の配分は、「直接支援職かどうか」「役員かどうか」だけでは判断できません。

対象事業所との関係、実際の業務、勤務実態を確認し、その内容に見合う配分を検討することが基本です。

配分対象を決めた後は、賃金規程や計画書との整合性、職員への周知、加算額以上の賃金改善まで確認します。本部職員や役員への配分は、担当業務と金額の根拠を整理しておくと、説明しやすくなります。

(参考資料)

1.福祉・介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)(令和8年4月9日)(厚生労働省・こども家庭庁)

本記事では、主に問1-9、問1-10、問2-1-1、問2-1-2、問2-6、問2-8、問2-9を参照しています。

2.福祉・介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)(令和8年3月31日)(厚生労働省・こども家庭庁)

令和8年度の処遇改善加算について、賃金改善、算定要件、計画書・実績報告等の基本的な取扱いを示した通知です。

3.令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(令和8年2月18日)(厚生労働省)

令和8年度報酬改定において、処遇改善加算の対象を福祉・介護職員から障害福祉従事者へ拡大する考え方など、改定内容の全体像を確認するための資料です。

4.「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」(国税庁)
役員給与の損金算入要件、定期同額給与等の取扱いについての資料です。

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