障害福祉サービス全般

訪問支援特別加算とは?

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「訪問支援特別加算」とは、これまで継続的に通所していたご利用者様が一定期間連続で利用しなかった場合に、事業所の職員が居宅等を訪問して相談援助や利用再開の働きかけを行ったときに算定できる加算です。
狙いは、利用の中断を早期にキャッチし、生活の安定通所再開を後押しするためです。今回は「訪問支援特別加算」について説明します。

 

  1. 加算の対象となるサービス

 

  • 生活介護
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

 

 

  1. 加算される単位数

 

  • 1時間未満:187単位/回
  • 1時間以上:280単位/回
  • 月2回まで

参考:児童分野の「訪問支援員特別加算」が別枠(I:850単位/日、II:700単位/日、当該職員による支援の実施が要件)で、令和6年度改定で要件が見直されています。成人向けの本加算とは混同しないようご注意ください。

 

 

  1. 算定の基本要件

  • 訪問前”の前提

  1. 継続利用の実績
    • 概ね3か月以上継続して当該サービスを利用していたご利用者様が対象。
  2. 連続不利用の確認
    • 連続5日以上利用がなかったこと。
    • 多くの自治体Q&Aでは、この「5日」は開所日(中5日)の捉え方が示され、算定は6日目以降と明記されています。貴事業所の開所日カレンダーで起算してください。
  3. 事前同意と個別支援計画
    • 訪問実施に対する本人(または家族)の同意を得ておくこと。
    • 個別支援計画に「訪問支援の実施」と「所要時間」をあらかじめ記載しておくことが求められます

 

  • 訪問当日”に行うこと

  1. 居宅訪問による相談援助
    • 家族等との連絡調整、継続利用の働きかけ、計画の見直し等を居宅で実施。電話連絡のみでは足りません。
  2. 記録の整備
    • 相談援助の実施日時・場所・所要時間・内容を、計画・モニタリング記録等に具体的に記録します。

 

  • 訪問後”の算定・再算定の扱い

  • 月2回の上限。
  • 一度算定後に再び5開所日連続の不利用が生じた場合でなければ、同月に再度算定できない点に注意(「2回の上限」+「再び5日連続不利用」の両方を満たす必要あり)。

 

 

  1. 所要時間の考え方

 

  • 実際にかかった時間で判定しないのが原則で、個別支援計画に基づく「当該サービスに要する時間」で1時間未満/1時間以上を判断します。
  • よって、計画書に「訪問支援特別加算を行った際の所要時間」を事前に定めておくことが必要と整理されています(徳島県のQ&Aの明確な記載あり)。

例:生活介護の計画に「利用が中断した場合の訪問支援:○○分」と記載→この所要時間の欄が、187/280単位の判定根拠になります。

 

 

  1. よくある誤解と注意点

誤解①: 「利用予定日で5日連続休んだらOK」
→開所日(中5日)で数えます。予定日ベースではありません。

誤解②: 「電話で状況確認して、必要なら算定できる」
居宅訪問が前提。電話等のみは不可。

誤解③: 「実測で61分かかったから280単位」
計画に定めた所要時間”で判定。実測時間ではありません。計画への記載が重要です。

実務チェックリスト

  • 3か月以上の継続利用実績の確認
  • 開所日ベースで連続5日不利用を起算
  • 事前同意書(様式自由、同意日・同意者・同意内容)を整備
  • 個別支援計画に「訪問支援の実施」および所要時間を明記
  • 居宅訪問での記録(日時・場所・所要時間区分・具体的支援内容)
  • 月2回上限

 

  1. 記録・書式のコツ

 

  • 訪問の目的(例:継続利用・生活安定のための相談援助)を一文で先に
  • 具体的な支援行為(家族との調整、健康・服薬状況の聴取、利用再開の合意、送迎可否の確認、就労先・相談支援専門員との連携提案など)を列挙
  • 所要時間区分計画記載どおりに反映。
  • 再発防止・再開計画(次回利用日、福祉専門職のフォロー、医療受診の同行提案など)まで書くと、“単なる安否確認”ではないことが伝わります。
  • 自治体Q&Aには「計画に所要時間の事前定め」を求める運用があります。計画と記録のひも付けが肝です。

 

 

  1. 児童分野との違い

 

児童分野の「保育所等訪問支援」には訪問支援員特別加算(I/II)があり、当該要件を満たす訪問支援員による実施が要件化(令和6年度改定)されました。成人の訪問支援特別加算とは別制度で、単位数や趣旨、対象が異なります。

 

 

  1. まとめ

 

  • 訪問支援特別加算は、「不利用の放置」を防ぎ、早期の関係再構築を促す仕組み。
  • 収益面では月2回の上限があるため、台帳管理(連続不利用の起算、再算定条件の可否)と計画・記録の整合がカギ。
  • “1時間未満/以上”の判定は計画書の所要時間で決まるため、様式の設計と職員教育が重要です。

 

 

(参考文献)

障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)

障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)

 

(参考資料)

よくある質問(徳島県)

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