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通所系サービスでの栄養ケアの重要性が再確認され、令和6年度改定で「栄養スクリーニング加算」が新設されました。利用者の栄養状態を定期的に把握し、必要な支援につなぐ。その最低限かつ実務的な枠組みを、法令・通知に沿って整理します。現場で迷いやすい「誰が・いつ・何を確認し、どこへ情報提供するのか」を中心に、算定単位と対象サービスもあわせて説明します。
目次
- 栄養スクリーニング加算の目的と位置づけ
- 対象サービス名
- 算定加算単位
- 算定のタイミングと実施内容
- 情報提供の相手と留意点
- 実務運用
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栄養スクリーニング加算の目的と位置づけ
本加算の改定の趣旨は、全利用者の栄養状態を定期的に把握する体制を日中系サービスで整え、リスクがある利用者様には栄養ケア・マネジメントへ確実につなぐことです。厚生労働省の改定概要では、生活支援員や管理栄養士等と連携し、スクリーニングと必要な個別支援を評価すると明記されています。
また、厚労省の事務連絡では、栄養スクリーニングは原則“一体的”に実施し、生活支援員等は利用者全員の栄養状態を継続的に把握することが示されています。
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対象サービス名
・生活介護
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算定加算単位
- 5単位/回
利用開始時および6か月ごとのスクリーニングを行い、相談支援専門員に情報提供した場合に算定します。
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算定のタイミングと実施内容
タイミング
- 利用開始時および利用中6か月ごとに実施します。
確認項目

自治体資料の整理(厚労省通知の要旨)に基づく主な項目は以下のとおりです。
- BMI
- 体重変化割合
- 食事摂取量
- その他の栄養リスク(嚥下・食形態など、必要に応じて)
※実施方法や記録は、厚労省が提示する「栄養ケア・マネジメント等に関する事務処理手順及び様式例」および別紙様式(栄養スクリーニング・栄養改善加算様式)を参照して標準化しておくと、監査・指導対応が円滑です。
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情報提供の相手と留意点

スクリーニングの結果情報は、当該利用者を担当する相談支援専門員へ提供します(ケアマネジメントとの連動が前提)。栄養スクリーニングは通所の利用者に対し原則一体的に実施する考え方が示されているため、個別対応に偏らず、計画的・定期的に全体を回す運用が求められます。
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実務運用
- 体制整備:生活支援員等が日々の把握を担い、必要に応じて管理栄養士等が助言や記録のレビューを行う体制を確立。所内の役割分担表に“栄養スクリーニング責任者”を位置付けるとうまく回ります。
- 様式と記録:厚労省の様式例(別紙)を用いて、測定値・評価・連絡先・提供日付等を一元管理。6か月サイクルのリマインダー(カレンダー管理)も実務的です。
まとめ(運用の勘どころ)
- “全員を漏れなく6か月ごとに把握する”ことが改定趣旨。
- BMI・体重変化・摂取量など共通の確認項目で標準化し、様式で一元管理。
- 相談支援専門員へ結果を確実に提供して、ケアマネジメントの循環に乗せる。
- 事業所内では担当割り当てとリマインダー運用を決め、サービス担当者会議で算定方針を共有。
※本稿は、公的資料と実務書に基づき概要を整理したものです。最終判断は最新版の告示・通知・Q&Aおよび各自治体の取扱いにてご確認ください。
(参考文献)
障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)
障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)
(参考資料)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(令和6年2月6日)(厚生労働省)P33
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定関連通知の正誤について(その2)(令和6年4月15日)P1(厚生労働省)
指定生活介護事業所等における栄養ケア・マネジメント等に関する 事務処理手順及び様式例の提示について(令和6年3月29日)(厚生労働省)
【別紙】栄養スクリーニング・栄養改善様式(令和6年3月29日)(厚生労働省)
栄養・給食に関する事例集(横浜市)第7編