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運営指導・書類整備

勤務予定・実績表の正しい作り方と人員基準・常勤換算の確認ポイント

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はじめに

障がい福祉サービス及び児童福祉サービス事業所の適正な運営において、「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(人員配置表)」の正確な作成と管理は、人員基準の遵守を証明するための根拠となる重要な実務です。 現場のシフト管理において、月初に作成した勤務予定を日々の変更が生じるたびに上書き修正し、月末に残った表を「勤務実績」として保管する運用が見受けられます。しかし、予定を実績で上書きしてしまうと、当初どのような人員体制を計画していたのか、また欠勤等に対して適法な代替配置が行われたのかという客観的な経過の証明が困難となります。 本記事では、指定基準に基づく勤務予定と実績の記録管理のあり方、常勤換算や兼務の確認ポイント、さらには最新の法令特例を踏まえた実務上の留意点を解説いたします。

1.勤務予定表と勤務実績表の役割と分離

勤務に関する帳票には、勤務開始前の配置計画を示す「勤務予定表」と、実際の勤務状況を示す「勤務実績表」が存在します。 勤務予定表には、当該月に誰が、何日に、何時から何時まで、どの職種として勤務する予定かを記載します。一方、勤務実績表には、事後的な欠勤、遅刻、早退、休暇の取得、勤務の交代等の事実を反映し、実際に誰が、どの職種として勤務したかを記載します。 行政の運営指導(旧実地指導)においては、当初の予定と実際の勤務状況の差異が確認できる状態にしておくことが求められます。予定と実績を混同して管理した場合、監査において人員欠如の事実を隠蔽するための不適切な記録とみなされるリスクが生じるため、これらを明確に区分して保存する業務プロセスが必要です。

2.作成における実務的負担の軽減と代替書類の活用

予定表と実績表をそれぞれ個別に一から作成することは、事業所の事務負担の増大を招きます。実務上は、月が始まる前に勤務予定表を作成して人員配置基準等の充足を確認した後、そのデータを保存(別シートへの複製等)し、月中は変更が生じた部分のみを実績表に反映していく手法が有効です。 なお、指定権者が定める標準様式を用いるほか、職種、勤務形態、氏名、日々の勤務時間などの必須項目が網羅されていれば、各事業所で日常的に使用しているシフト管理表等をもって人員配置表の代替書類として活用することが行政上認められています。既存のツールやICTシステムを適切に活用することで、情報の二重入力を防ぎ、作成業務の負担を軽減することが可能です。

3.常勤職員の「勤務すべき時間数」の客観的定義と最新の特例

人員配置における常勤換算の数値を計算する前段階として、当該事業所における「常勤職員が勤務すべき時間数」を正確に把握する必要があります。 基準となる時間は、事業所の営業時間やサービス提供時間ではなく、就業規則や雇用契約書等において定められた当該事業所の常勤職員の所定労働時間です。常勤換算は、原則として対象職種の従業者の延べ勤務時間数を、当該事業所の常勤職員が勤務すべき時間数で除して算出します。なお、当該時間数が週32時間を下回る定めとなっている場合は、制度上、原則として週32時間を分母として計算することが規定されています。 さらに、近年の法令改正等により、育児・介護休業法に基づく所定労働時間の短縮措置や、厚生労働省のガイドラインに沿った治療と仕事の両立支援のための短縮措置が講じられている職員については、利用者の支援に支障がない体制が整っていることを条件として、例外的に「週30時間以上」の勤務をもって常勤として取り扱い、常勤換算上も「1」として計算することが認められています。

4.「常勤・非常勤」と「専従・兼務」の区別の明確化

人員配置における「常勤」「非常勤」の区分は、正社員やパートといった雇用形態の名称によって決定されるものではありません。当該事業所の就業規則等で定められたフルタイムの勤務時間(常勤の従業者が勤務すべき時間数=週40時間等)を基準とし、各従業員の勤務時間がその基準に達しているか否かで判定されます。行政の規定上、パートや契約社員といった雇用形態であっても、この基準時間を満たして勤務していれば、人員配置基準上は「常勤」として扱われます。 一方、「専従」「兼務」の区分は、担当する「職務内容」に関するものです。専従とは、勤務時間中に特定の職種の業務のみに従事する状態を指し、兼務とは、管理者とサービス管理責任者など、複数の職務を担当する状態を指します。常勤であっても兼務する場合はあり、非常勤であっても専従する場合があります。

5.兼務職員の勤務時間の考え方(原則と例外)

職員が複数の職務を兼務する場合、その勤務時間の取り扱いは人員基準やサービスの種類によって異なりますが、基本的には以下の原則と例外に基づいて整理されます。

【原則】同じ時間の重複計上は不可: 1日の労働時間が8時間の場合、「管理者として8時間」「生活支援員として8時間」のように、同じ時間帯を機械的に重複して計上(合計16時間として記載など)することは認められません。実際の職務に応じて勤務時間を分割して計上することが基本となります。

【例外】「同時並行」の兼務が認められるケース: 勤務時間を明確に分割しなくても、制度上、同じ時間帯に複数の職務を同時並行で行うことが認められるケースが存在します。例えば、管理者は管理業務に支障がない範囲において他の職務との同時並行的な兼務が広く認められています。また、多機能型事業所として運営され、生活介護等の各サービスの利用定員が「20人未満」に設定されている部分においては、サービス管理責任者が生活支援員等と同時並行的に従事し、双方の常勤換算に算入することが例外的に可能とされています。

6.月中における変更(遅刻・欠勤・有休等)の実績反映

勤務実績表には、事後的に発生した遅刻、早退、欠勤、有給休暇、研修への参加等を正確に反映させます。「欠勤」「早退」「代替休」など、事業所内で表記のルールを統一することで記録の客観性が高まります。 この際、有給休暇や病休の取扱いには留意が必要です。常勤職員の場合、暦月で1月を超えない休暇等については、常勤として勤務したものとみなし、常勤換算に含めることが行政の解釈により認められています。一方で非常勤職員の場合、労働しなかった時間分を常勤換算の計算に含めることはできません。ただし、非常勤職員の常勤換算数は原則として算出期間全体(1週間や4週間単位等)の延べ労働時間数を用いて算出されるため、特定の日に欠勤等があった場合でも、期間全体での基準数値を満たしていれば人員欠如には該当しません。

7.月末の勤務実績確定と客観的記録のクロスチェック

月末には、作成した勤務実績表を、タイムカードや出勤簿等の「労働時間記録」、及び業務日誌等の「サービス提供記録」と照合して確定させます。 運営指導においては、勤務表が単独で確認されるわけではなく、タイムカード上の出退勤記録と勤務表上の時間が一致しているか、勤務表で配置されているとされる職員が実際にサービス提供記録に担当者として記載されているか等、複数の記録が横断的に照合(クロスチェック)されます。これらの記録間に不整合(ズレ)が生じている場合、虚偽の記録による不正請求とみなされ、指定取消や過誤申立(給付費の返還)等の重大な行政処分に発展するリスクを伴います。そのため、記録間の整合性を日常的に確認する業務プロセスを確立することが求められます。

8.予定と実績双方における人員配置・加算要件の検証

人員配置の適合性の確認は、指定基準上の「最低配置基準」に対するものと、各種加算(児童指導員等加配加算、人員配置体制加算、専門的支援体制加算など)の「算定要件」に対するものを明確に分けて検証します。 指定基準上の最低配置を満たしていても、加算の要件となる特定職員の欠勤等により、その日やその月の加算算定要件を満たさなくなるケースが存在します。月初の予定作成時と、月末の実績確定時の双方のタイミングで、職種ごとの必要数や常勤換算数、及び加算要件への適合状況を客観的な数値に基づいて確認する運用が必要です。

まとめ

勤務予定表と勤務実績表の適正な管理は、人員配置基準及び加算要件が常時維持されているかを客観的に証明するための、事業所運営の土台となるプロセスです。 予定と実績の差異を正確に記録し、労働時間記録やサービス提供記録との整合性を維持することは、実務上一定の負担を伴います。これらの手続きを特定の担当者の手作業や記憶に依存するのではなく、事業所の標準的な業務フローとして仕組み化することが重要です。変更が生じた際に複数の関連記録を連動して見直すプロセスを日常業務に定着させることで、記録の不整合による予期せぬ行政処分リスクを未然に排除し、事業所の安定的な運営基盤を構築するための根拠となります。

(参考資料)勤務予定(実績)表(数式あり)(大阪府)

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