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はじめに
児童発達支援や放課後等デイサービスの開所準備において、物件探しや資金調達と並んで事業計画の要となるのが「適法な人員配置」の設計です。 特に、吹田市、豊中市等の北大阪エリアや大阪市内で開所を検討されている事業者様にとって、管理者や児童発達支援管理責任者(児発管)、児童指導員等の配置は、単に指定申請を通過させるためだけの書類上の要件ではありません。申請時に提出した人員体制は、開所後の日々の運営や、後に行われる行政の運営指導において、適正な運営を判断する「客観的記録」の起点となります。 本記事では、開所前に確認しておきたい人員配置の基本ルールと、大阪市や大阪府等の運用に基づく実務上の留意点について詳しく解説します。限られた人員で安定した事業所運営を目指すための参考としてお役立てください。
1.事業所の基本方針とシフトの連動(送迎体制・時間区分を含めて)

人員の配置計画は、事業所のコンセプトや対象とする児童の年齢層等によって大きく変動します。例えば、放課後等デイサービスで平日の午後を主軸とする場合でも、夏休み等の長期休業中は午前中からのサービス提供となるため、長時間にわたる配置シフトの想定が必要です。 さらに、令和6年度の報酬改定により、基本報酬に「時間区分(30分以上1時間30分以下、等)」が創設されました。個別支援計画において定められた支援の提供時間に基づいて基本報酬を算定することとなるため、児童一人ひとりの利用時間帯に合わせた、よりきめ細やかなシフト設計が求められます。また、吹田市と大阪市のように市境を越えて広域の送迎を行う場合、送迎車に乗務する職員と事業所内で児童を受け入れる職員の配置時間が重なるため、全体の計画から逆算した無理のないシフト設計をご検討ください。
2.管理者の「専従ルール」と現場兼務の注意点
児童発達支援や放課後等デイサービスにおける管理者は、原則として「専ら当該事業所の管理業務に従事すること(専従)」とされています。 ただし、管理業務に支障がない範囲であれば、同一事業所内での児発管等との兼務や、現場の直接支援に入ること(兼務)が制度上認められています。新規開所時には、管理者様ご自身が現場の支援や送迎を兼務して事業所を支えるケースが多く見受けられます。その場合は、シフト表において「管理業務の時間」と「直接支援業務の時間」を明確に区分し、実態と書類に乖離が生じないように記録・運用する体制を整えておくことをおすすめします。
3.児発管の確保期限と「人員カウント不可」のルール、大阪市の事前協議

事業所の要となる児童発達支援管理責任者(児発管)は、常勤で専らその職務に従事する者を1名以上配置する必要があります。 児発管の要件は年々厳格化されており、相談支援従事者初任者研修等に加え、サービス管理責任者等基礎研修の修了、所定の実務経験を経たうえでの「実践研修」の修了が求められます。基礎研修受講時にすでに実務経験要件を満たしている等、一定の要件を満たせばOJT期間が「6ヶ月以上」となる特例もありますが、実践研修の受講スケジュールには十分なゆとりを持たせる必要があります。 ここで開所時のシフト設計においてご留意いただきたい点が、児発管が本来業務に支障のない範囲で現場の直接支援に入ったとしても、その時間を指定基準上必要な「児童指導員又は保育士」の配置数として算定(カウント)することは原則としてできないというルールです。児発管を現場スタッフとしてカウントしてしまうと人員欠如とみなされる恐れがあるため、配置基準を満たすための直接支援員は別途確実に確保しておく必要があります。 また、大阪市の場合、新規指定申請にあたり「指定を受けたい月の3ヶ月前の月内」に事前協議書類を提出するルールがあり、この時点で児発管の要件を満たしていることが求められます。採用と研修修了の状況を早期に見極め、計画的なスケジュール管理をご検討ください。
4.児童指導員・保育士の配置ルール(無資格者の取り扱いと休暇時の対応)
利用定員10名の事業所の場合、サービス提供時間帯を通じて常に「2名以上」の児童指導員または保育士の配置が必要であり、そのうち「1名以上は常勤」であることが求められます。 「児童指導員」として配置できるのは、幼稚園・小学校・中学校・高等学校等の教員免許を有する者や、社会福祉士、精神保健福祉士、大学の指定学部を卒業した者、あるいは児童福祉事業に一定期間従事した者などの要件を満たす方です。かつて認められていた「障がい福祉サービス経験者」の要件は廃止されているため、現在は基準となる職員として無資格者を算入することはできません。資格要件の誤認は給付費の減算対象となるため、採用時に資格証や実務経験証明書の原本等で確実な確認を行っていただくことをおすすめします。 また、日々の運営の中で、常勤の児童指導員や保育士が有給休暇等で休む日が生じることもあるかと思います。この点について国のQ&Aでは、サービス提供時間帯を通じて「2名以上」の配置は維持する必要があるものの、休暇を取得する常勤職員の代わりに配置する職員は、必ずしも「常勤」である必要はないと解釈されています。このようなイレギュラーな事態にも対応できるよう、非常勤スタッフも含めた人員のゆとりを持たせておくことが推奨されます。
5.多機能型事業所における人員兼務と「報酬定員区分」への影響
児童発達支援と放課後等デイサービスを一体的に運営する「多機能型事業所」の場合、人員や設備を兼用することが特例として認められています。例えば、児発管が両方の事業の管理責任者を兼務することも可能です。 しかし、ここで経営上ご留意いただきたい点があります。大阪市等の取り扱いにおいて、多機能型事業所で人員の兼務特例を適用した場合、報酬算定のベースとなる定員区分は「実施するサービスの利用定員の合計数」で判断されます。 例えば、児童発達支援(定員10名)と放課後等デイサービス(定員10名)の多機能型で人員を兼務させた場合、事業所全体の定員は「20名」とみなされ、報酬単価が低く設定されている「11人~20人」の定員区分が両サービスに適用されます。人員配置の効率化を図れる一方で、報酬単価が下がるという事業収支への影響が生じるため、計画段階でしっかりとシミュレーションしておくことをおすすめします。
6.大阪府等における送迎時の「1人残し」ルールの適用と送迎加算

開所後の日々の運営において論点となりやすいのが「送迎の時間帯」の対応です。 学校等から事業所への送迎の際、職員が送迎車に乗務するため、事業所内に残る職員が一時的に「2名以上」の基準を下回るケースが生じます。この点について、大阪府(吹田市や大阪市などの管轄ルールを含む)の運用上の取り扱いでは、送迎によって一時的に人数が減少しても、「少なくとも直接児童を支援する職員が『1名以上』事業所内に残っていれば、受け入れ体制として差し支えない」と解釈されています。 また、放課後等デイサービスにおける学校と事業所間の「送迎加算」については、保護者が就労等により送迎できず、スクールバスでの送迎が実施できない等の事情があり、その内容が障害児支援利用計画に記載されている場合に算定が可能となります。必ず1名以上が事業所内に常駐するシフトを組みつつ、適正な加算要件を確認しておくことが実態に即した運営に繋がります。
7.「3つの書類」の一致と変更届の提出
指定申請時に提出する「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表(シフト表)」の内容は、開所後の実際の労働契約及び勤務実態と完全に一致している必要があります。 行政の運営指導においては、「シフト予定表」「出勤簿(タイムカード等の出退勤記録)」「日々のサービス提供記録」の3つの書類の整合性が厳格に確認されます。申請時の内容と実態が異なる場合や、基準を満たさない配置が判明した場合は、過誤請求(返還金)等の対象となる可能性があります。実際の働き方に即した無理のない配置で申請し、職員の退職や配置変更があった場合は、法定期間内に速やかに自治体へ変更届を提出する運用フローを構築しておくことが大切です。
8.記録の「5年間保存ルール」と設備基準の大阪市特例
人員配置に係る各種記録(シフト表、出勤簿、資格証の写し等)は、児童福祉法等に基づき「完結の日から5年間」の保存が義務付けられています。 また、人員配置と併せて留意すべき設備基準について、大阪市では児童発達支援等の「発達支援室」の面積に関して、定員10人の場合は「24.7㎡以上(1人あたり2.47㎡以上)確保すること」という市独自の厳格な基準が定められています。物件探しの段階から、人員の動線やこの面積基準をクリアできるかを慎重に確認することをおすすめします。
おわりに
児童発達支援や放課後等デイサービスの開所において、適法な人員を確保することは、子どもたちが安心して過ごせる居場所をつくるための大前提となります。 児発管の研修要件や確実な資格確認、多機能型における収支への影響、報酬改定に伴う時間区分の考え方、そして各指定権者独自のルールを事前に正確に把握することが求められます。 各種要件を満たした無理のない勤務体制を構築し、日々の実態を客観的な記録として残していくことが、適正で安定した事業運営の確かな基盤となります。少しでも不安な点や迷われることがあれば、管轄の指定権者の担当窓口へ事前にご確認されることをおすすめします。
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