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令和8年度「処遇改善計画書」作成ガイド|お忙しい経営者様が最短30分で準備を終えるための3つのデータ

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はじめに

令和8年度の「処遇改善計画書」作成において、多忙な経営者様が最短ルートで正確な計画書を完成させられるよう、以下通り要点を整理しました。

  • 【配分要件】加算総額以上の配分」が大前提。うち月給への配分は「新加算相当額の2分の1以上」が必須。
  • 【事前準備】前年度の賃金実績」「新年度の延べ職員数・見込み売上」「算定要件の証拠」の3つをまず手元に用意する。
  • 【期限】 4・5月算定開始分の計画書提出は「4月15日デッドライン」。新様式の公開は3月以降の予定。
目次

1.賃金改善額の「正解」を導き出す計算ロジック

処遇改善加算の運用において、以下の3つの基準を満たすことが求められます。

1.1 加算額以上の賃金改善(大原則)

まず、大前提として「受け取った加算額の全額を、職員の賃金改善に充てること」が義務付けられています。ここで言う「正解」の最低ラインは、「加算総額 ≦ 賃金改善実施額」です。1円でも下回れば原則として返還対象(一部または全部)となります。(※実績報告時に不足が判明した場合、不足分を一時金として追加支給することで返還を免れる救済措置はあります。)とはいえ、年度末の急な支出を防ぐため、予測される加算額に対し、あらかじめ数%の上乗せ(バッファ)を持たせた賃金設計を行うことをおすすめします。

1.2 「月額賃金改善要件」の遵守

新加算(加算Ⅰ〜Ⅳ)を算定する場合、単に賞与で一括払いすれば良いわけではありません。新制度では、原則として『新加算の加算額の2分の1以上』を、「基本給」または「毎月決まって支払われる手当」として配分することが求められます。

※これまでにベースアップ等支援加算を取得していない事業所が新加算を新たに取得する場合のみ、新たに増加するベースアップ加算相当額の3分の2以上の配分が必要です。

計算のポイント: 令和8年度においても、この「月額給与による改善」が要件を満たしているか、賃金台帳ベースで突合する必要があります。

1.3 法定福利費の扱いを確認する

「正解」の金額を算出する際、忘れがちなのが「事業主負担分の社会保険料(法定福利費)」です。賃金を引き上げれば、当然法人が負担する社会保険料も増加します。

  • 加算額をすべて給与(手当)として支給するのか
  • 加算額の中から「増加した社会保険料分」を差し引いて支給するのか この方針をあらかじめ決定し、計画書に反映させておく必要があります。

1.4 配分対象者の選定

「福祉・介護職員」への重点配分が基本ですが、令和6年度の一本化以降、他職種への配分ルールも柔軟になっています。ただし、特定の職員に偏りすぎた配分は、将来的な監査や職員間の不公平感のリスクを伴います。就業規則(賃金規定)に基づいた客観的な配分基準を設けることが、法的な「正解」への近道となります。

2.計画書作成前に準備すべき「3つのデータ」

場当たり的に入力し始めると、計算の不整合が起き、修正に多大な時間を取られます。以下の3点をエクセル等で整理しておくことが、作成時間の短縮に直結します。

2.1 前年度(令和7年度)の賃金実績値

新年度の計画は、前年度の支給実績を「基準点」として策定します。

  • 集計内容: 令和7年度(または直近1年間)に支払った賃金の総額。
  • 注意点: 「処遇改善加算を充てる前の賃金」と「加算を充てた後の賃金」を分けて把握する必要があります。特に、基本給や固定手当の変更があった場合は、その改定月と金額を整理しておいてください。これが、令和8年度の「改善見込み額」を算出する際の分母となります。

2.2 令和8年度の「延べ職員数」と「見込み売上」

加算額は「サービス報酬総額 × 加算率」で決まるため、次年度の運営予測が不可欠です。

  • 職員数(常勤換算): 4月時点の在籍人数だけでなく、年度内の採用計画や退職予定を反映させた「延べ人数」を算出します。
  • 売上予測: 利用定員や稼働率の予測から、月平均の介護(障害福祉)報酬額を算出します。この数字がブレると、最終的な加算総額と配分額に大きな差が生じ、年度末の実績報告で「支払い不足」に陥るリスクが高まります。

2.3 算定要件(キャリアパス・職場環境等)の現状確認

令和8年度から新たに上位区分へ移行する場合や、現行維持を狙う場合でも、要件の「証拠」となる資料を確認します。

  • キャリアパス要件: 就業規則や賃金規程が最新の法令に適合しているか。特に「昇給の仕組み」や「研修計画」が文書化されているかを確認してください。
  • 職場環境等要件: 令和6年度の一本化以降、選択すべき項目数や内容が整理されています。「入職促進」「資質の向上」「生産性向上」などのカテゴリーから、自社が実施している項目を最低1つずつ(上位区分の場合は複数)ピックアップしておきます。

3.【実践】処遇改善計画書の項目別・書き方ポイント

計画書は、大きく分けて「基本情報」「加算額の試算」「賃金改善の見込み」の3ブロックで構成されています。

3.1 別紙様式2(一体型様式)の入力順序

一から計算するのではなく、エクセルシートの自動計算機能を最大限活用します。

  1. 事業所情報と加算区分の選択: 令和8年度に算定する加算区分(Ⅰ〜Ⅳ)を選択します。ここで「キャリアパス要件」などの充足状況と不整合があるとエラーが出るため、前述の準備データに基づき正確に選択してください。
  2. 報酬総額の見込み入力: 1年間で得られる報酬額(加算分を除く)を入力します。これにより、自動的に「受け取る予定の加算額」が算出されます。

3.2 「月額賃金改善」の配分ルール

令和8年度も継続して重要視されるのが、一時金(賞与)頼みではない「月額給与」での改善です。

  • 必須設定新加算相当額の2分の1以上を、基本給や固定手当(月給)として配分する必要があります。
  • 記載のコツ: 計画書内の「賃金改善の仕組み」の欄には、「〇〇手当として月額一律〇円支給」や「基本給を平均〇%引き上げ」など、客観的に判別できる表現で記載してください。

3.3 対象職種と配分バランスの決定

「福祉・介護職員」への配分が優先されますが、事務員や調理員などの「その他の職種」へ配分する場合の書き方にも注意が必要です。

  • その他の職種への配分: 「その他の職種」へ配分する場合は、その理由や基準を明確にします。ただし、福祉・介護職員の改善額を上回るような極端な配分は認められません。
  • 役職者への配分: 管理職であっても、直接支援に従事している実態があれば福祉・介護職員として計上可能です。

3.4 職場環境等要件の選択と明文化

単にチェックを入れるだけでなく、具体的な取り組み内容を記載します。

  • 記載例: 「資質の向上」であれば「資格取得費用の全額補助」、「生産性向上」であれば「タブレット端末による記録業務のICT化」など、短文で具体的に記述します。これは後に「見える化要件」として外部公開する情報の土台となります。

4.事務負担を軽減する「簡素化」の進め方

制度の一本化に伴い、様式は統合されましたが、入力項目自体が減ったわけではありません。効率化の鍵は、「どの様式を使い」「何を省略できるか」を正確に判断することにあります。

4.1 共通様式の活用と転記の自動化

現在配布されている「別紙様式2(一体型様式)」は、一つのエクセルファイルで「計画書」と「事業所一覧」が連動する仕組みになっています。

  • 効率化のポイント: 基本情報(法人名、所在地、事業所番号など)を「基本情報入力シート」に一度入力すれば、すべての関連シートに自動反映されます。複数の事業所を運営している法人は、個別にファイルを作らず、この「一括作成用シート」を必ず使用してください。

4.2 小規模事業所向け「簡素化様式」の適用判断

職員数が少ない、または運営形態がシンプルな事業所には、入力を大幅に絞った「簡素化様式(別紙様式6など)」が用意されています。

  • 対象の確認: 同一法人内の事業所数が少なく、かつ特定の条件を満たす場合に利用可能です。標準様式に比べて入力セルが大幅に削減されており、計算ミスが起こりにくい設計になっています。自社がこの対象に含まれるかどうかを、作成着手前にマニュアル(記載要領)で確認することが、最短ルートでの完成につながります。

4.3 自動計算エクセルシートの「初期設定」を固める

事務負担が増える原因の多くは、入力途中の数値修正です。

  • 事前の数値確定:『前年度の賃金総額』と『新年度の売上見込み』を確定させてから入力を開始してください。自動計算シートは、一箇所の数値を書き換えると全体の整合性が崩れ、エラーチェックに時間を取られる仕様になっています。「下書き(メモ)」を完成させてから一気に入力するのが、最も効率的な手順です。

4.4 過去データの流用と差分修正

令和8年度の計画書は、令和7年度の内容をベースに作成可能です。

  • 流用できる項目: 「キャリアパス要件」や「職場環境等要件」の具体的な取組内容は、大きな変更がない限り前年度の記述を流用できます。ただし、令和8年度から新たに追加された選択項目や、文言の微修正が必要な箇所がないか、差分のみをチェックする手法を採ることで、思考時間を短縮できます。

5.【記載例】不備を防ぐための具体的フレーズ集

計画書の記述欄には、抽象的な言葉ではなく「誰が・何を・どうするのか」が判別できる表現を用いることが、差し戻しを防ぐ最短ルートです。

5.1 賃金改善の仕組み(基本給・手当・一時金)

単に「給与を上げる」ではなく、どの名目で支給するかを明記します。

  • 基本給の場合:全職員を対象に、職能給を一律月額3,000円引き上げる
  • 手当の場合:処遇改善手当として、常勤職員に月額15,000円、非常勤職員に時給換算で50円を支給する
  • 一時金(賞与)の場合:算定した加算総額から月額支給分を差し引いた全額を、6月および12月の賞与に上乗せして配分する

5.2 職場環境等要件(見える化要件)

令和8年度においても、具体的な取り組み内容の提示が求められます。

  • 入職促進: 「法人ホームページおよびSNSを活用し、実際の勤務風景や職員インタビューを公開する」
  • 資質の向上: 「介護福祉士等の国家資格取得を目指す職員に対し、受験料の全額補助および試験直前の特別休暇を付与する」
  • 生産性向上: 「タブレット端末を導入し、現場でのリアルタイム入力による記録業務のペーパーレス化と転記時間の削減を図る」

5.3 キャリアパス要件の明文化

昇給や役職の仕組みが、ルールとして運用されていることを示します。

  • 任用要件: 「職位に応じた職務内容と責任の範囲を職能要件表として整備し、全職員に周知・配付している」
  • 昇給の仕組み: 「毎年度1回の定期昇給制度を設け、人事評価の結果に基づき基本給の号俸を決定する」

5.4 記載時の注意点:「等」や「適宜」の多用を避ける

「研修を適宜実施する」「手当等を支給する」といった曖昧な表現は、実態がないと判断されるリスクがあります。可能な限り「年2回」「〇〇円」といった具体的な数値や固有名詞を盛り込むことが、書類の信頼性を高めます。

6.実務上の注意点と「返還リスク」の回避

加算金は「職員の処遇改善」のために国から預かっているお金であり、ルールに沿った支出がなされない場合は、厳格な返還ルールが適用されます。

6.1 「加算額 ≦ 賃金改善額」の絶対原則

最も多い返還理由は、単純な「支払い不足」です。年度途中で利用者数が増え、想定以上に加算額(売上)が伸びた場合、当初の計画通りの支給額では加算総額を下回ってしまうことがあります。

  • 回避策: 実績報告の計算において支払い不足が判明した場合でも、不足分を賞与等の一時金として追加配分すれば返還は求められません。そのため、年度末(3月分給与や一時金)で調整できるよう、就業規則等に『加算額の変動に応じて支給額を調整する』旨を明記しておき、柔軟に着地をプラスに持っていくことをおすすめします。

6.2 変更届の提出タイミングを逃さない

法人情報の変更や、算定する加算区分の変更、あるいは事業所の増減があった場合、速やかに「変更届」を提出しなければなりません。

  • リスク: 届出がないまま実態と異なる区分で算定を続けていると、遡って全額返還を求められる可能性があります。特に令和8年度中に組織改編や大規模な人員配置換えを予定している場合は、自治体への報告期限を常に意識してください。

6.3 賃金台帳と計画書の「不一致」を防ぐ

監査において、計画書に記載した「手当名」と、実際の「賃金台帳の項目名」が一致していないことが指摘の対象となります。

  • 対策: 計画書に「処遇改善手当」と書いたのであれば、給与明細でも必ず同じ名称を使用します。また、既存の基本給を単にスライドさせただけでは「改善」とみなされないため、前年度比で「どこが、いくら増えたのか」を客観的に証明できる記録を残しておくことが不可欠です。

6.4 独自の「持ち出し」発生への警戒

返還を恐れるあまり、過剰に高い賃金改善額を設定すると、今度は法人の経営を圧迫します。法定福利費(社会保険料の会社負担分)を改善額に含めて計算しているか、再確認することをおすすめします。これを忘れると、法人が想定外の社会保険料を負担することになり、実質的な赤字要因となります。

7.まとめ:提出期限までのスケジュール管理

令和8年度(2026年度)の計画書提出に向けた標準的なスケジュールと、各段階でのチェックポイントを整理します。

計画書の作成において、最も注意すべきは「期限の取り違え」です。

【注意】期限の混同に気をつける

よく「6月や7月が期限では?」という声を聞きますが、それは前年度の「実績報告」の期限です。令和8年度の加算を4月から途切れなく受け取るための「計画書」の提出は4月15日がデッドラインとなります。「報告」と「計画」は別物であると整理し、カレンダーに登録しておくことが重要です。

7.1 提出期限の確認(原則は4月15日)

新年度の4月から加算を算定する場合、提出期限は「前年度の4月15日」となるのが一般的です。なお、国からの計画書の様式や提出方法に関する正式な事務連絡は3月以降に発出される予定となっているため、各自治体からのアナウンスを注視しておく必要があります。

  • 注意点: 提出方法は「郵送」「オンライン申請」「持参」など自治体ごとに指定されています。オンライン申請の場合、期限当日はサーバーが混み合い、システムエラーで受け付けられないリスクがあるため、2〜3日前の完了を目指すのが実務上の定石です。

7.2 逆算スケジュール(3カ月計画)

計画書の完成度を高めるために、以下の3ステップで進めることを推奨します。

  1. 【1月〜2月】データ集計と方針決定: 前年度の給与実績を確定させ、新年度の売上・人員予測を立てます。「どの加算区分を狙うか」「基本給をいくら上げるか」という経営判断をこの時期に済ませます。
  2. 【3月】書類作成と職員周知: 様式に数値を入力し、整合性をチェックします。また、加算の取得には「職員への周知」が必須要件です。全体会議や書面掲示を通じて、賃金改善の仕組みを職員に説明し、合意形成を図ります。
  3. 【4月上旬】最終チェックと提出: 法人の印影(必要な場合)や、添付書類(就業規則の写し等)に漏れがないか確認し、速やかに提出します。

7.3 年度内に発生する「忘れてはいけない」タスク

計画書を出して終わりではありません。年度を通じて以下の2点に注意してください。

  • 実績報告書の提出(翌年7月): 令和8年度に支払った実績を報告する書類です。計画通りに支払われたかを確認するため、毎月の給与計算データを整理しておく必要があります。
  • 変更届の随時提出: 職員の急激な増減や、法人情報の変更があった場合は、その都度「変更届」が必要です。

最後に:情報のアップデートを

処遇改善加算の運用ルールやQ&Aは、年度の変わり目に更新されることが多々あります。厚生労働省や自治体のホームページを定期的に確認し、最新の様式を使用しているかチェックすることを忘れないでください。正確なスケジュール管理と事前の準備が、事務負担を最小限に抑え、確実な加算算定につながります。

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