生活介護

生活介護における就労移行支援体制加算について

(初回無料)加算届や体制整備のご相談は、当事務所の「障がい(障害)福祉施設 指定申請・運営サポート」をご利用ください(大阪・吹田)。

 

はじめに

障害福祉サービスの中にも一般就労への移行と定着を評価する仕組みが整っています。それが「就労移行支援体制加算」です。前年度に同一事業所の利用者が一般就労し、6か月以上定着した”実績があると、翌年度に日単位で加算されます。今回は「就労移行支援体制換算」について生活介護の分野にスポットを当てて説明します。

 

  1. なぜ評価されるのか(制度の趣旨)

生活介護の利用者が事業所の支援を受けた後に一般就労へ移行し、6か月以上継続できた実績がある場合、その体制・仕組みを評価して日々の報酬に上乗せされるのが就労移行支援体制加算です。評価対象は「就職という事実」だけでなく、定着に向けた継続的な支援体制が構築されていることです。

 

 

  1. この加算を設けているサービス(生活介護以外)

就労移行支援体制加算が設けられているのは、生活介護・自立訓練(機能訓練/生活訓練)・就労継続支援(A型・B型)の3系統です。要件等は原則共通ですが、「所定単位数の決まり方」がサービスごとに異なります。

 

 

  1. 生活介護での算定要件

  • 前年度に、当該事業所の支援を受けたのち一般就労した利用者がいる
  • その就労が6か月以上継続している
  • 上記が1名以上いる
  • A型事業所への移行は前年度実績のカウントから除外(「一般就労」評価のため)

留意:同一利用者について、過去3年間に同加算を既に算定している場合は、原則として重ねて算定できない(指定権者が適当と認める特段の事情を除く)ことが告示とQ&Aで示されています。

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.7 (令和7年1月24日)

 

関連サポート:生活介護の就労移行支援体制加算について、要件確認・証拠書類の整備・加算届の作成まで一括で支援します。詳しくは
指定申請・運営サポートをご覧ください。

 

  1. 生活介護の「所定単位数」(定員規模別)

生活介護の就労移行支援体制加算は、事業所の利用定員規模に応じて1日あたりの所定単位が設定されています。

  • 20人以下42単位/日
  • 21~30人20単位/日
  • 31~40人18単位/日
  • 41~50人14単位/日
  • 51~60人10単位/日
  • 61~70人8単位/日
  • 71~80人7単位/日
  • 81人以上6単位/日
    (※令和6年度改定で5区分から8区分に細分化

 

 

  1. 算出方法

基本の考え方は極めてシンプルです。

当日の加算額(単位)
所定単位数(定員規模で決まる) × 前年度の一般就労「6か月定着」者数

この「前年度実績×所定単位」という構造は、各サービスに共通のルールです。

  • 請求は「1日につき」の単位加算として行うのが原則です。
  • 地域区分単価(10円×地域係数)を掛けてに換算します(以下、概算例は10円で記載)。

 

 

  1. 具体例(生活介護)

例1:定員20人以下の事業所

  • 定員:20人以下 ⇒ 所定単位42
  • 前年度の6か月定着者1人
  • 当日の延べ利用者数10人/日(10名がその日に利用)

当日の加算単位= 42 × 1 = 42単位/人日
当日の総加算単位= 42 × 10人日420単位
円換算(10円)で 4,200円(※地域区分係数は別途乗じます)。

 

例2:年額のラフ試算(例1と同じ前提で試算)

  • 定員:20人以下(所定単位42)
  • 前年度6か月定着者1人
  • 平均延べ利用者数10人日/日
  • 開所日数240日/年

年額の加算見込み(目安)
= 42(所定単位) × 1(定着者数) × 10(人日/日) × 240(日) × 10円
1,008,000円/年

ポイント:年額は「所定単位 × 前年度定着者数」に、実績の延べ人日開所日数を掛けて見積もると整合が取れます。

 

 

  1. よくある論点・落とし穴

(1) 証拠書類の整備

在籍証明書、給与明細の写し、社会保険関係書類など、就労開始日と6か月継続が確認できる資料の整備が重要です。自治体判断に幅があるため、指定権者と事前に確認し、必要に応じて加算届に添付します。

 

(2) A型への「移行」はカウント対象外

前年度実績にA型への移行は含めない取扱いです(「一般就労」評価の加算のため)。

 

(3) 復職の扱い(6か月カウントの起算)

休職から復職支援を利用した後に復職したケースは、復職日を1日目として6か月以上の継続確認後に算定可能。起算点を誤らないよう注意します。

 

(4) 同一利用者の複数カウント制限(3年ルール)

同一利用者で3年以内に重ねて算定することは原則想定せず。関係機関も含めた実績確認が求められます。

 

 

  1. 他サービスとの「計算の違い」

自立訓練(機能訓練/生活訓練)
  • 生活介護と同様に「前年度実績人数×所定単位」で加算。
  • 所定単位は定員規模で段階設定(例:生活訓練の就労移行支援体制加算は「54/24/13/9/7単位/日」など)。
  • A型への移行は除外

 

就労継続支援B型
  • 同じく「前年度実績人数×所定単位」ですが、所定単位は基本報酬の区分(Ⅰ~Ⅳ)と定員規模で細かく異なる。
    例:=「42/18/10/7/6」、=「39/17/9/7/5」(いずれも定員帯ごと・日額)

 

就労継続支援A型
  • 評価点(体制等スコア)や区分に応じた所定単位が設定され、それに前年度実績人数を乗じる考え方。所定単位の決まり方が生活介護や自立訓練と構造的に異なるのが特徴です。

共通ルールとして、「1日につき」の単位加算であり、前年度の一般就労6か月定着者数を掛けて算定します(A型移行は除外)。

 

 

  1. 届出・運用の実務ポイント

  • 生活介護・自立訓練等では、「前年度実績に係る加算」として毎年届出が必要(自治体案内に従う)。提出期限や様式は必ず各自治体の最新通知で確認。
  • 厚労省の体制等状況一覧表/勤務体制一覧表、ならびに就労移行支援体制加算の資料が公開されています。実務のひな形確認や内部点検に活用してください。

就労移行支援体制加算に関する届出書(厚生労働省)

 

 

まとめ

  • 生活介護における就労(移行)支援体制加算は、一般就労6か月定着の前年度実績日々の報酬に反映する仕組みです。
  • 所定単位は定員規模で決まり、当日の算定は「前年度定着者数」×「所定単位」が基本です。A型への移行は除外同一者の複数算定は3年制限に注意してください。
  • 同加算は生活介護・自立訓練・就労継続支援(A/B)に設けられていますが、所定単位の決まり方がサービスにより異なります(生活介護=定員帯/自立訓練=別設定/B型=区分と定員/A型=評価点など)。

 


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