令和6年度の処遇改善加算実績報告書の提出時期が近づいてまいりました。特に今年度は、報告様式や算定方法に大きな変更があり、事業者様にとって戸惑いやすい内容となっております。
今回は、令和6年度の実績報告における重要ポイントを解説するとともに、書類作成時に注意すべき点、そして提出期限の見込みについても詳しくご案内します。
処遇改善加算実績報告とは?
処遇改善加算は、障がい福祉サービス等に従事する職員の処遇改善を目的とし、事業所に対して加算が支給される制度です。
この加算を受けている事業所は、加算により得た収入をどのように職員の賃金等に反映したかを示す「実績報告書」を、翌年度に提出しなければなりません。
令和6年度 実績報告書の変更点
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「4月~5月分」と「6月以降分」の分離記載が必要
令和6年度は、処遇改善加算の見直しにより、6月に制度改定が行われました。このため、実績報告書も例年とは異なり、
- 令和6年4月〜5月の実績
- 令和6年6月〜令和7年3月の実績
の2つに分けて記載する必要があります。
➤ なぜ分けるのか?
6月以降は、新処遇改善加算(福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算を統合した新加算)が適用され、従来の加算構成と異なる報酬体系となったためです。
したがって、職員ごとの支給額や対象期間が異なることに注意が必要です。
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職員の給与増加額が加算額を「上回っていること」が必須
報告書では、各加算(処遇改善、特定処遇改善、ベースアップ等)ごとに、実際に支払われた給与等の増加額が加算収入額を上回っていることが求められます。
➤ 仮に下回っていた場合はどうする?
加算額よりも職員の賃金増加額が少なかった場合は、ボーナスや特別手当、一時金などの形で支給することが求められます。
支給が困難な場合は、加算の返還対象となる可能性がありますので注意が必要です。
実績報告書の提出時期と今後のスケジュール
例年どおりであれば、実績報告書の提出期限は翌年度の7月末日です。
令和6年度分についても、**令和7年7月31日(木)**が提出締切日と予想されます。
提出に際しては、下記を確認してください:
内容 | 提出期限(予定) |
令和6年度分 実績報告書 | 令和7年7月31日(木) |
提出先 | 各指定権者(例:市町村・都道府県) |
提出方法 | 原則、電子申請または郵送(自治体により異なる) |
提出漏れや記載不備があると、次年度以降の加算の算定に影響が出る場合もあります。
報告書作成にあたってのポイント
✅ 職員別の支給額を明確に記録
勤務形態(常勤/非常勤)や職種ごとに、加算の対象者とその支給内容を明確にしておきましょう。
✅ 賃金台帳や就業規則との整合性を確認
支給方法(基本給、手当、一時金など)は、給与規定や台帳と一致している必要があります。
✅ 手当・一時金での補填も視野に
例えば、月給の増額が困難な場合は、年2回の特別手当支給等で調整することも可能です。事前に就業規則に反映させておくとスムーズです。
参考資料
厚生労働省は、処遇改善加算の実績報告に関する特設ページを設けています。
行政書士によるサポートのご案内
報告書の作成は一見簡単そうに見えて、数字の整合性・人員区分の正確な判別・根拠資料の確保など、専門的な確認が必要です。
また、「報酬額が加算額を下回っている場合の対応」や、「自治体ごとの書式の違い」なども現場では頻繁に見受けられます。
弊所では、こうしたお悩みを抱える障がい福祉事業所様向けに、以下のサポートを実施しております:
- 実績報告書の作成代行・チェック
- 賃金台帳・支給計画の整理支援
- 就業規則・給与規定の改訂アドバイス
- 自治体提出用の表紙・添付資料作成支援
まとめ
令和6年度の処遇改善加算実績報告では、例年と異なるポイントが多数あります。特に、
- 「4~5月分」と「6月以降分」を分けて記載
- 加算額よりも支給額が上回っていることが必須
- 提出期限は令和7年7月31日(木)予定
といった点は見落としがちです。
今の内からお早めにご対応することをお勧めします。
※本記事は2025年6月現在の情報に基づいて執筆しています。提出方法や様式等は自治体によって異なる場合がありますので、最新情報は各自治体または厚労省のHPにてご確認ください。