はじめに
就労継続支援B型では、利用者の通所を支援するため、事業所が送迎を行う場合があります。
利用者の居宅等と事業所との間で送迎を行った場合、一定の要件を満たすことで「送迎加算」を算定できます。
送迎加算には、送迎加算(Ⅰ)と送迎加算(Ⅱ)の2つの区分があります。どちらを算定できるかは、平均送迎人数や送迎の実施状況によって異なります。
また、居宅以外の場所への送迎や、送迎業務を外部に委託する場合などは、算定できるかどうか迷うこともあるのではないでしょうか。
今回は、就労継続支援B型の送迎加算について、算定要件、送迎人数の考え方、外部委託、届出や請求時の注意点を説明します。
1.就労継続支援B型の送迎加算とは?

送迎加算は、就労継続支援B型事業所が、利用者の居宅等と事業所との間で送迎を行った場合に、一定の要件のもとで算定できる加算です。
送迎加算には、次の2つの区分があります。
| 区分 | 単位数 |
| 送迎加算(Ⅰ) | 21単位/片道 |
| 送迎加算(Ⅱ) | 10単位/片道 |
送迎加算は、実際に送迎を行った利用者について、片道ごとに算定します。
例えば、同じ利用者について、朝の迎えと夕方の送りを行った場合は、それぞれが算定対象となります。
一方、朝は家族が事業所まで送ってきたため、事業所が夕方の送りだけを行った場合には、実際に行った片道分のみが対象です。
送迎体制を整えているだけで算定できるものではありません。実際に送迎を行ったかどうかと、算定要件を満たしているかどうかの両方を確認する必要があります。
なお、同一敷地内の建物等との間の送迎については、所定単位数の70%を算定する取扱いとなる場合があります。
また、利用者や送迎先の状況によっては、加算の対象外となる場合もあります。同一敷地内等で送迎を行う場合は、送迎先や利用者の状況を踏まえ、指定権者に取扱いを確認しましょう。
2.送迎加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の算定要件はどう違う?
送迎加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分を判断する際は、主に次の2つを確認します。
- 1回当たりの平均送迎人数
- 週3回以上の送迎の実施状況
(1)平均送迎人数
人数に関する要件は、原則として、1回の送迎につき、当該月の平均送迎人数が10人以上であることです。
ただし、利用定員が20人未満の事業所については、1回の送迎につき、平均的に利用定員の50%以上を送迎していれば、この人数要件を満たします。
例えば、次のようになります。
| 利用定員 | 必要な平均送迎人数 |
| 10人 | 5人以上 |
| 15人 | 7.5人以上 |
| 19人 | 9.5人以上 |
| 20人 | 10人以上 |
ここでいう7.5人や9.5人は、実際に車両に乗る人数ではなく、当該月の送迎実績から計算した平均人数の基準です。
例えば、定員15人の事業所で、当該月に片道の送迎を20回行い、延べ150人を送迎した場合は、次のようになります。
150人 ÷ 20回 = 7.5人
この場合、平均送迎人数は7.5人となり、定員15人の事業所における人数要件を満たします。
つまり、定員15人の場合でも、毎回必ず8人以上を送迎しなければならないという意味ではありません。
なお、定員の50%を用いる取扱いは、「利用定員20人未満」の事業所が対象です。定員20人の事業所は含まれず、原則どおり平均10人以上で判断します。
(2)週3回以上の送迎
もう一つの要件は、週3回以上の送迎を実施していることです。
これは、特定の利用者を週3回以上送迎するという意味ではありません。事業所として、利用者に対する送迎を週3回以上実施しているかを確認します。
(3)2つの要件による算定区分
平均送迎人数と送迎の実施回数による区分は、次のとおりです。
| 区分 | 算定要件 |
| 送迎加算(Ⅰ) | 平均送迎人数と週3回以上の送迎の両方の要件を満たす |
| 送迎加算(Ⅱ) | 平均送迎人数と週3回以上の送迎のいずれか一方の要件を満たす |
例えば、定員20人の事業所で、平均送迎人数が8人であっても、週3回以上の送迎を実施していれば、送迎加算(Ⅱ)の対象となります。
一方、平均送迎人数が10人以上で、週3回以上の送迎も実施していれば、送迎加算(Ⅰ)の対象となります。
届出を行った区分の要件を、実際の送迎状況でも満たしているか、毎月確認することが大切です。
3.送迎人数や送迎場所はどう判断する?

送迎加算では、人数の数え方や送迎場所について、判断に迷う場合があります。
(1)平均送迎人数の計算方法
平均送迎人数は、当該月の送迎延べ人数を送迎回数で割って計算します。
平均送迎人数 = 当該月の送迎延べ人数 ÷ 当該月の送迎回数
ここでいう送迎回数は、迎えと送りをそれぞれ片道1回として数えます。
例えば、月20日間、毎日迎えと送りを実施した場合、送迎回数は40回です。
この40回で延べ320人を送迎した場合、平均送迎人数は次のようになります。
320人 ÷ 40回 = 8人
このように、平均送迎人数は、1日の利用者数ではなく、片道ごとの送迎実績をもとに確認します。
また、複数の車両で送迎する場合は、車両1台ごとの人数だけでなく、事業所の送迎実績として確認します。
多機能型事業所や、同一敷地内に複数の事業所がある場合などは、人数のまとめ方について別途確認が必要になることがあります。判断に迷う場合は、送迎体制を整理したうえで指定権者に確認しましょう。
(2)居宅以外の場所への送迎
送迎加算は、原則として、利用者の居宅と事業所との間の送迎が対象です。
ただし、国のQ&Aでは、例えば次の場所への送迎も、一定の条件のもとで対象となることが示されています。
- 事業所の最寄り駅
- 利用者の居宅の近隣に設定した集合場所
この場合、事前に利用者と合意したうえで、送迎する特定の場所を定めておく必要があります。
また、利用者の都合や事業所の都合により、あらかじめ定めた場所以外へ送迎した場合は、算定対象外となります。
居宅までの送迎が必要な利用者について、居宅まで送迎を行わない場合も対象外です。
一方、病院や他の事業所を利用するための移動は、原則として送迎加算の対象となりません。
なお、短期入所事業所などへの送迎については、利用者の宿泊場所としての取扱いを含め、個別の状況に応じて確認が必要です。
送迎場所やサービス提供時間に変更があった場合の記録・請求の確認については、こちらの記事でも説明しています。
関連記事:「サービス提供時間変更時の管理実務|記録・送迎・請求の連動と個別支援計画の見直し」
4.外部委託や複数事業所の共同送迎でも算定できる?
送迎加算については、令和6年10月11日の厚生労働省Q&A VOL.6で、外部委託や複数事業所の利用者を同乗させる場合の取扱いが示されています。
(1)送迎業務を外部委託する場合
就労継続支援B型事業所が、送迎業務を別の事業者に委託した場合でも、所定の要件を満たせば送迎加算を算定できます。
例えば、外部の交通事業者に送迎を委託し、利用者の居宅と事業所との間の送迎を行う場合です。
自事業所の職員が直接送迎していないという理由だけで、送迎加算の対象外になるわけではありません。
ただし、外部委託の場合も、実際の送迎内容を確認できるようにし、安全管理や事故時の連絡体制を整えておくことが大切です。
(2)複数事業所の利用者を同じ車両で送迎する場合
A事業所が送迎を行う際、一定の条件を満たせば、A事業所とB事業所の利用者を同じ車両に乗せることも可能です。
国のQ&Aでは、例えば、次のような点を事業所間で整理することが示されています。
- 雇用契約や委託契約などの関係
- 送迎にかかる費用の負担
- 事故が起きた場合などの責任の所在
- 利用者の利便性への配慮
- 各事業所の通常の事業実施地域内であること
これらの条件を満たす場合には、A事業所、B事業所の双方で送迎加算を算定することも可能です。
ただし、送迎加算の算定と、道路運送法上の取扱いはそれぞれ確認が必要です。送迎方法や契約内容によっては、運送関係法令についても確認しましょう。
送迎時の安全管理や記録については、こちらの記事でも説明しています。
関連記事:「送迎時の事故・トラブルに備える記録管理~乗車確認・連絡体制・ヒヤリハットの視点~」
5.送迎加算の届出と変更時の手続きは?

送迎加算を算定するためには、算定要件を満たすとともに、指定権者への届出が必要です。
大阪府が所管する事業所では、送迎加算に関する届出書などを提出する取扱いとなっています。
届出の際は、主に次の事項を確認します。
- 送迎加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定区分
- 平均送迎人数
- 週3回以上の送迎の実施状況
- 加算に係る届出書や体制状況一覧表
- 算定開始日と提出期限
例えば、送迎人数や実施状況が変わり、送迎加算(Ⅱ)から(Ⅰ)の要件を満たすようになった場合は、必要な区分変更の届出を確認します。
反対に、送迎人数や実施回数が減少し、それまでの区分の要件を満たさなくなった場合は、従前の区分でそのまま算定を続けることはできません。
算定区分の変更や加算の取りやめについて、速やかに指定権者へ確認しましょう。
また、送迎体制の変更に伴い、運営規程に記載した従業者の職種や員数などが変更となる場合には、変更届が必要となることもあります。
提出書類、提出方法、期限は指定権者によって異なるため、事業所を所管する自治体の最新の案内を確認することが重要です。
6.送迎記録と請求で注意したいことは?
送迎加算を適切に算定するためには、実際に行った送迎と請求内容が一致していることが必要です。
例えば、普段は送迎を利用している方であっても、家族が送迎した日や、事業所が送迎を行わなかった日については、実績と異なる請求をすることはできません。
事業所では、次の事項を確認しておきましょう。
- 実際に送迎した利用者と日付
- 迎え・送りの別
- 送迎を行った場所
- 送迎人数と実施回数
- サービス提供実績記録票と請求内容
特に、送迎予定表だけで請求せず、実際の送迎記録に基づいて算定することが大切です。
あわせて、送迎加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の要件を満たしているか、毎月の送迎実績から確認しましょう。
日々の記録と実績記録票、請求内容の照合については、こちらの記事でも説明しています。
関連記事:「サービス提供記録と請求内容を照合する視点~実績記録票・支援記録・送迎記録のつながり~」
まとめ
就労継続支援B型の送迎加算には、送迎加算(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、平均送迎人数と週3回以上の送迎の実施状況によって算定区分が決まります。
また、居宅以外の特定の場所への送迎や、外部委託・複数事業所による送迎についても、一定の条件を満たせば算定できる場合があります。
事業所では、次の点を確認することが大切です。
- 届出を行った区分の算定要件を満たしているか
- 送迎した利用者や、迎え・送りの実績を記録しているか
- 送迎記録と実績記録票、請求内容が一致しているか
- 送迎体制の変更に伴い、届出が必要になっていないか
送迎は、利用者の通所を支える大切な取組みです。日々の送迎実績を確認し、適切な加算の算定につなげましょう。
(参考資料)
1.「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(厚生労働省)
就労継続支援B型の送迎加算の単位数、片道ごとの算定及び対象となる送迎について参照。
2.「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(厚生労働省)
送迎加算の平均送迎人数、週3回以上の実施及び外部委託に関する取扱いについて参照。
3.「平成27年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A」(厚生労働省)
問2・問3の送迎場所及び平均送迎人数の考え方について参照。なお、同Q&Aに掲載された単位数は当時のものです。
4.「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.6」(厚生労働省)
問1・問2の送迎業務の外部委託及び他事業所の利用者の同乗に関する取扱いについて参照。
5.「加算届について」(大阪府)
加算の届出書類及び提出方法について参照。
※本記事は、2026年11月時点で公表されている資料をもとに作成しています。実際の算定に当たっては、最新の報酬告示、留意事項通知、Q&A及び指定権者の取扱いをご確認ください。