はじめに
障がい児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)を運営される事業者の皆さまに向け、「欠席時対応加算」の概要と実務上の注意点を整理します。
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欠席時対応加算とは
利用予定日に急な欠席があった場合でも、事業所様が利用者様や保護者様に対し電話等で相談援助を行った場合に算定できる加算です。欠席時でも適切な支援を継続する取り組みを評価する目的で設けられています。
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算定要件
加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。
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欠席連絡のタイミング
利用予定日の前々日・前日・当日に欠席の連絡があったこと。3日前以前の連絡は対象外です。
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相談援助の実施
欠席連絡を受けた上で、体調や家庭状況の確認、次回利用の調整、利用継続の働きかけなどの相談援助を行うこと。
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記録の作成・保存
以下のような内容を記録し、保管しておく必要があります。
– 欠席連絡を受けた日時
– 欠席予定日
– 対応職員様の氏名
– 連絡者と連絡手段
– 欠席理由や児童の状況
– 相談援助の具体的内容
– 次回利用予定日
– 相談援助ができなかった場合は理由と後日の対応
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複数日欠席連絡の取扱い
1回の欠席連絡で複数日の欠席予定が分かった場合は、その初日の1回分しか算定できません。
例1:1回の連絡で複数日欠席が判明した場合
6月3日(月)に保護者様から「今週いっぱい休みます」と連絡を受けた。
→ 3日(月)〜7日(金)までの欠席予定が分かっていても、算定は6月3日の1回分のみ。
例2:日ごとに連絡があった場合
6月3日に「今日は休みます」、翌4日に「今日も休みます」、5日も同様。
→ 各日に相談援助を行えば、それぞれで算定可能(ただし月上限4回まで)。
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算定回数と単位数
– 単位数:94単位/回
– 算定可能回数:原則 月4回まで
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重症心身障がい児対応の場合の特例
重症心身障がい児対応の事業所様で、稼働率が80%未満の場合は、月8回まで算定可能です。
稼働率の計算例
稼働率 = 実際の利用延べ人数 ÷(利用定員 × 営業日数)
例:定員10名、営業日数20日、実際の利用延べ人数100名
稼働率 = 100 ÷ (10×20) = 50%
→ 80%未満なので、月8回まで算定可能。
この計算方法を事前に明確化し、記録として残すことで、監査時に誤解を防げます。
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他加算との重複取扱いに関する注意
欠席時対応加算は、同日に以下のような加算と重複算定できない場合があります(自治体判断による)。
緊急時支援加算や医療連携体制加算:救急搬送や医療機関連携を行った日
訪問支援加算:欠席日に自宅訪問して支援を行った場合
例:欠席連絡後に救急搬送を手配し、同日に医療連携体制加算の要件も満たす場合
→ 自治体によっては、どちらか一方のみ算定と指導されることがある。
このため、他加算と同日発生した場合は、必ず自治体に可否を確認することが重要です。
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実務上のまとめ
– 欠席連絡は「前々日・前日・当日」が条件
– 複数日分の欠席予定を一度に聞いたら、初日の1回分のみ算定
– 単位数は94単位、上限は月4回(特例は月8回)
– 重症心身障がい児対応の特例には稼働率の正確な計算と記録が必須
– 他加算との同日重複は自治体確認が必要
このブログの内容を事業者様の実務に反映いただき、欠席時対応加算を安全かつ効率的に運用いただけることを心より願います。制度の趣旨に沿った適正算定が、結果として事業所運営の安定にもつながれば幸いです。