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グループホーム(共同生活援助)等でも、喀痰吸引や経管栄養など「医療的ケア」が必要なご利用者様の受入れニーズが高まっています。この様な受入れ体制を後押しする位置づけとして、一定の看護職員配置等を満たす事業所が、医療的ケアが必要な方へ支援を行った場合に算定できるのが「医療的ケア対応支援加算」です。 今回は医療的ケア対応支援加算について説明します。
目次
- 対象サービス名
- 算定加算単位
- 算定要件
- 併算定できないケース
- 認定、確認の流れ
- 簡単な計算例
- 実務でのチェックポイント
対象サービス名
- 共同生活援助(グループホーム)
- 短期入所
算定加算単位
120単位/日です。
算定要件
算定の骨格はシンプルで、次の「事業所要件」と「利用者要件」を両方満たす日に、対象者ごとに1日120単位を上乗せするイメージです。
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事業所要件(人員配置+届出)
- 基準で求められる員数の従業者に“加えて”、
- 看護職員を常勤換算で1以上配置し、
- 所定様式で都道府県知事に届出を行っていること。
※届出書類の名称・提出先(市町村/振興局等)・提出期限などの細部は自治体運用で変わるため、必ず所管へ確認してください。
2.利用者要件(「医療的ケアが必要な者」の見立て)

共同生活援助の支給決定者のうち、「判定スコア表」の基本スコア項目欄に掲げるいずれかの医療行為を必要とする状態である者が対象とされています。
スコア表に並ぶ医療行為の例を、生活の場面で言い換えると次のようなイメージです
- 人工呼吸器を使っていて、機器管理が必要(鼻マスク式補助換気などを含む)
- 気管切開があり、日常的に管理が必要
- 酸素療法が必要(在宅酸素など)
- 吸引が必要(口腔・鼻腔・気管内吸引)
- 経管栄養が必要(胃ろう・経鼻胃管など。持続ポンプ利用を含む)
- 中心静脈カテーテルがあり管理が必要(中心静脈栄養など)
- インスリン等の皮下注射/血糖測定が継続的に必要(機器を含む)
- 透析が継続的に必要(血液透析・腹膜透析等)
- 導尿が必要(間欠導尿/留置カテーテル等)
- 排便管理が医療的に必要(ストーマ管理、摘便・洗腸、浣腸など)
- けいれん時の救急的処置が想定される(座薬挿入、酸素投与、吸引等)
「医療行為の有無・内容」を、スコア表(チェックリスト)で確認して判断する運用が想定されています。
併算定できないケース
重度障害者支援加算(Ⅰ)を算定している場合は、この加算を加算しない(併算定不可)とされています。
ここは請求ミスが起きやすいので、該当利用者がいる事業所では「どちらを算定するか」を月次で点検する運用が必要です。
認定・確認の流れ

自治体によって手続は異なり得ますが、通知例では、
- 事業所が制度概要や利用者負担への影響等を説明し同意を得る
- 主治医・家族・看護職員等から聞き取り、判定スコア表の該当を確認
- 判定スコア表等を所管窓口に提出
- 受給者証の記載等で対象者として取り扱い
といった流れが示されています。
さらに、算定にあたっては事前に体制届の提出が必要とされています。
簡単な計算例
たとえば、対象者が2名いて、1か月(30日)算定できる日が続いた場合:
120単位 × 2名 × 30日 = 7,200単位
となります(単価は地域区分等で変わるため、金額換算は各事業所の条件で確認してください)。
実務でのチェックポイント
- 看護職員の常勤換算1.0を「継続して満たしているか」:月途中の退職・休職・勤務実績で崩れやすいので、常勤換算の根拠(勤務表・雇用契約等)を整備。
- 「判定スコア表」の該当確認と根拠:医療行為の内容は変化し得るため、聞き取り・医師指示・記録の更新ルールを作る。
- 併算定不可の点検:重度障害者支援加算(Ⅰ)との関係は、利用者単位・月単位でチェック。
- 自治体手続の確認:提出先(市/府/振興局等)、提出期限、様式、遡及の可否などは自治体差があるため、必ず所管の自治体へ確認。
(参考文献)
障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)
障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)
(参考資料)
医療的ケア児者に対する支援の充実(全体像)(こども家庭庁)(令和5年10月13日)
令和3年度報酬改定における医療的ケア児に係る報酬(児童発達支援及び放課後等 デイサービス)の取扱い等について(厚生労働省)(令和3年3月23日)