障害児通所支援

重症心身障がい児対応児童福祉施設における医療連携体制加算Ⅶについて

令和6年度の報酬改定により、重症心身障がい児を受け入れる児童発達支援・放課後等デイサービス事業所における「医療連携体制加算」が見直され、新たに「医療連携体制加算Ⅶ」が創設されました。

今回は、この新しい加算制度の背景や要件、運用上の注意点、そして加算取得のために必要な手続きなどを、厚労省およびこども家庭庁の通知・Q&Aを基に説明します。

1.医療連携体制加算の見直しの背景

重症心身障がい児(以下、重心児)は、医療的ケアを必要とすることが多く、在宅や通所型の支援体制の充実が喫緊の課題となっています。これまでの加算体系では、実際のケア負担に対する報酬が不十分との声もありました。

令和6年度報酬改定では、この状況に対応する形で医療連携体制加算が再編され、**医療的ケアへの対応体制そのものを評価対象とする「加算Ⅶ」**が新設されました。

 

2.医療連携体制加算Ⅶの概要

対象事業所

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス

 

単位数

  月額 250単位/1人あたり

 

算定対象児童

医師の意見書等により、日常的に医療的ケア(吸引、経管栄養、気管切開管理等)が必要とされる児童

 

算定要件(要旨)

  1. 医療的ケアが必要な児童の利用があること
  2. 医療的ケアに対応可能な看護職員が配置されていること
  3. 医療機関との連携体制が整っていること
  4. 医療的支援を踏まえた個別支援計画が策定されていること

3.算定にあたっての運用・解釈(Q&Aより)

看護職員の配置は「利用日に限る」でOK

Q&Aでは、対象となる児童が利用する日に限り、看護職員を配置すれば算定可能であると明記されています。

「すべての営業日に配置されている必要はない」

 

派遣や業務委託も可

看護職員は直接雇用に限られず、訪問看護ステーション等からの派遣や医療機関との業務委託でも可能です。
ただし、その場合でも役割や指示系統を明確にし、記録を整備することが必要です。

 

4.加算Ⅶの届け出の必要性

医療連携体制加算Ⅶを算定するには、多くの場合、所轄の自治体(指定権者)への事前届け出が必要です。

具体的には:

  • 指定権者(市区町村や都道府県)に**加算算定の届出書類(様式第5号など)**を提出
  • 届出を行った翌月または翌々月からの算定開始が基本(地域によって異なるため要確認)
  • 看護職員配置体制や医療機関との連携体制などを記載した体制届出書類、就業体制図、勤務シフトなどの添付が求められることがあります

但し、一部の自治体では届出不要の場合があります。事業所所在地の指定権者へ事前確認をすることが大切です。各自治体で様式・必要書類が微妙に異なる場合があるため、事前に窓口に確認しておくことが重要です。

5.実務対応:加算取得のためのステップ

(1)対象児童の確認

医療的ケアが必要かどうか、医師の意見書や訪問看護計画書などで医学的判断を確認。

 

(2)看護職員の体制整備

  • 直接雇用の検討
  • 訪問看護ステーションや医療機関との提携も視野に

 

(3)医療機関との連携体制整備

  • 緊急時対応マニュアル
  • 情報共有のための協定書・連絡体制の明記

 

(4)個別支援計画の整備

医療的支援内容や看護職員の役割、緊急時対応等を記載。

 

(5)加算届出

自治体指定の様式で「加算Ⅶ」の届け出を行い、受付完了後に算定を開始。

 

6.まとめ

医療連携体制加算Ⅶは、重症心身障がい児や医療的ケア児の受け入れを積極的に行う事業所にとって、非常に有意義な報酬制度です。

  • 医療的ケアに対応する体制の構築が進んでいる事業所に報酬面での支援
  • 柔軟な看護職員配置が可能(対象児童の利用日のみで可)
  • 事前の届け出により、翌月以降の算定開始が可能
  • 一部自治体では補助金制度も活用可能

とはいえ、制度活用には要件の正確な理解と、体制整備・記録整備・個別支援計画の記載が不可欠です。

当事務所では、加算取得のための届出支援、個別支援計画の見直し、医療連携協定書の作成支援なども承っております。

医療的ケア児の支援体制強化を検討中の事業者様は、お気軽にご相談ください。

 

参考資料:

 

 

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