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障害福祉サービス全般

【令和8年3月末期限】障害福祉の「経営情報報告」義務化、全事業所対象。未報告減算を避けるための必須知識

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はじめに

2024年度の報酬改定に伴い、これまで一部法人のみであった財務状況等の報告が、原則としてすべての指定事業所に義務化されることになりました。すでに令和7年8月29日からシステムの運用が開始されており、「未報告減算」というペナルティも設定されています。 今回は、行政書士の視点から「経営情報の報告義務化」の仕組みを整理し、対象となる法人の範囲、準備すべきデータ、実施スケジュールについて解説します。

1.令和8年度から本格化する「経営情報の報告義務化」の概要

2024年(令和6年)4月の施行から段階的に導入が進んでいる「障害福祉サービス等経営情報の報告制度」は、各事業所の決算内容を厚生労働省が定める共通フォーマットで報告するものです。 貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)といった会計情報に加え、職員の給与従業者数などの運営実態データが対象となります。 義務化の目的は、国が全数データを毎年収集し、より実態に即した報酬体系の検討や制度の持続可能性を高めるための根拠(エビデンス)として活用することです。すでに運用が始まっている「情報公表制度」と同様、報告を行わない場合は未報告減算等が適用されるため、確実な対応が求められます。

2.報告の対象となる法人とサービス範囲

営利・非営利を問わず、障害福祉サービス等の指定を受けて事業を行っているほぼすべての法人が対象となります。

  • 対象となる法人の種類: 株式会社・合同会社、一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人、医療法人など。
  • 対象となるサービス範囲: 居宅介護、生活介護、就労継続支援(A型・B型)、共同生活援助(グループホーム)、放課後等デイサービス、計画相談支援など、障害者総合支援法および児童福祉法に基づく広範なサービスが該当します。
  • 対象外となるケース: 例外として、令和7年3月以降に指定を受けた事業所のように「対象となる会計年度(初回であれば令和6年度)の決算情報が存在しない事業所」は報告の対象外となります。

3.報告が求められる具体的な項目とデータ

報告内容は「財務情報」と「運営情報」の2つで構成されます。

  • 財務諸表等の会計情報: 収益(介護給付費報酬等)、費用(人件費、経費等)、利益などが対象です。法人全体の合算データだけでなく、「サービス区分ごと」の収支算出が求められます。
  • 運営情報: 職種別の配置状況、延べ利用者数などが対象です。なお、職員全体の人件費(給与)の報告は必須ですが、職種別の給与額の入力については「任意項目」となっています。

4.報告の単位と実施スケジュール

最も注意すべきは実務上の期限です。本制度は、毎年の決算サイクルに密接に関わっています。

  • 報告の期限: 最初の報告として、令和8年3月31日までに「令和6年度の決算情報」を報告する必要があります。それ以降の令和7年度決算報告等については、毎会計年度終了後、原則として3ヶ月以内に報告を完了させる必要があります(決算月が12月~2月の事業所に関する特例措置あり)。
  • 報告の単位: 報告は原則として「事業所単位(単独会計)」で行います。ただし、事業所ごとの会計区分を行っていない等のやむを得ない事情がある場合は、特例として「法人全体(一体会計)」での報告も認められています。
  • 報告フロー: インターネット上の「障害福祉サービス等情報公表システム」にログインし、数値を入力・送信する電子申請が基本となります。

5.報告を行わなかった場合のペナルティ(減算規定)

報告を怠った場合、行政上の指導や報酬の減額といったペナルティが科されます。

  • 「情報公表未報告減算」の適用: 令和8年3月31日までに報告がなされない場合、減算の対象となります。減算の割合は一律ではなく、提供しているサービスの種類に応じて所定単位数の5%または10%が減算されます(例:施設入所支援や療養介護などは10%、居宅介護、生活介護、就労継続支援、放課後等デイサービスなどは5%)。
  • 行政による指導と指定更新への影響: 期限を過ぎても報告がない場合は行政からの指導や是正命令の対象となり、従わない場合は事業所名が公表されます。また、法令遵守状況として指定更新の審査において不利な材料となるリスクもあります。

6.実務上の注意点:今から準備しておくべきこと

直前になって慌てないよう、現在の事務フローをあらかじめ整理しておくことが重要です。

  • 会計区分の整理と「按分」のルール化: 複数のサービスを併設し事業所単位で報告を行う場合、人件費や共通経費(家賃や光熱費など)をどのように分けるかという「按分ルール」を明確にする必要があります。
  • 資産情報の正確な把握: 車両や建物などの固定資産、リース料などがどのサービス区分に該当するか、顧問税理士と連携して整理しておきましょう。
  • 処遇改善加算との整合性: 毎年提出している「処遇改善実績報告書」の人件費数値と、今回報告する経営情報の数値に大きな矛盾が生じないよう、元データの精度を高めておくことが大切です。
  • ID管理: 電子申請に必要なシステムのログインIDやパスワードが適切に管理されているか確認しておきましょう。

7.まとめ

令和8年度から本格運用される「経営情報の報告義務化」の実務上のポイントは以下の3点に集約されます。

  1. 期限の遵守: 令和8年3月末、および決算後3ヶ月以内の期限に対応できるよう、決算業務と報告業務をセットで計画に組み込むこと。
  2. 根拠データの整理: 自社が事業所単位と法人単位のどちらで報告すべきかを確認し、複数サービス運営時は按分基準を明確にしておくこと。
  3. システム環境の整備: 電子申請に必要なIDを管理し、最新の通知をチェックできる体制を整えること。

制度を正しく理解し、期日までに所定の手続きを完了させれば「未報告減算」は確実に回避できます。まずは現在の会計処理が報告フォーマットに対応できているか、社内外の専門家と情報共有を図り、体制を整えておくことをお勧めします。

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