障害福祉サービス全般

【7月末が締切り】WAM NET(障害福祉サービス等情報公表システム)定期報告を忘れずに!

障がい福祉サービスを運営する事業所にとって、毎年忘れてはならない業務のひとつが「WAM NET(障害福祉サービス等情報公表システム)」への定期報告です。
この手続きは単なる形式的な報告ではなく、報酬請求や制度上の信頼性とも深く関係しています。報告を怠ると、報酬減算などの実質的なペナルティもあるため注意が必要です。

今回は、WAM NET定期報告の目的や基本的な手順、吹田市・大阪市での運用状況、そして未報告時の減算措置について、制度面と実務面の両方から説明します。

 

WAM NETとは?情報公表制度の役割

WAM NET(障害福祉サービス等情報公表システム)は、障がい福祉サービス事業所の運営状況をインターネット上で公表し、利用者やその家族が事業所を選択する際の参考とすることを目的とした仕組みです。

この制度により、事業所の基本情報、加算取得状況、職員配置、自己評価結果などが公開され、サービスの透明性と質の向上が期待されています。

この情報公表は法令上の義務とされており、年に1回以上、定期的に報告を行う必要があります。

 

 

定期報告の時期と概要

定期報告は、全国共通で次のスケジュールで運用されています。

  • 報告受付期間:毎年5月1日から7月31日まで
  • 対象事業所:指定障害福祉サービス・障害児通所支援・計画相談支援・地域生活支援事業など全ての指定事業所
  • 報告方法:WAM NETの専用システムにログインし、必要情報を入力・送信

注意すべきは、「前年度と変更がない」場合でも必ず報告が必要であるという点です。入力内容が更新されていなくても、年1回の確認と承認を受けることが義務付けられています。

 

吹田市におけるWAM NET報告の取扱い

吹田市でも、WAM NETによる情報公表制度が導入されており、報告スケジュールは全国と同様に設定されています。

  • 報告期間:5月1日から7月31日まで
  • 報告方法:WAM NETシステム上でのオンライン入力・提出(面談・郵送は不要)
  • 新規指定事業所:指定日から1か月以内に初回報告が必要

ID・パスワードは毎年通知されますが、紛失した場合は福祉部福祉指導監査室(障がい事業者担当)に問い合わせることで再発行が可能です。

吹田市ではこの報告を怠った場合、情報公表未実施として報酬減算の対象となる可能性がある旨を明示しています。

 

 

大阪市での対応:全てオンラインで完結

大阪市においても、WAM NETへの定期報告は完全オンラインで完結する形式が採られており、別途の郵送や面談対応は不要です。

報告受付開始と同時に、WAM NETへのログイン情報(ID・パスワード)が通知され、各事業所がシステム上で情報を更新・確認・申請する流れとなります。

また、大阪市では報告内容に不備がある場合にはシステム上で差戻しが行われるため、提出後もしばらくはシステムの通知やメールを確認しておくことが推奨されます。

 

 

情報公開未報告減算の内容

定期報告を行わなかった場合や、承認手続きを完了しなかった場合には、「情報公開未報告減算」が適用される可能性があります。

この減算は、令和元年度報酬改定以降に制度化されたもので、以下のような内容が定められています。

 

減算率(2025年時点)

サービス種別 減算内容
訪問系・通所系サービス 所定単位数の5%減算
施設系・居住系サービス 所定単位数の10%減算

この減算は基本報酬に対して適用され、体制加算や処遇改善加算等には直接的な影響はありません。

しかしながら、基本報酬の5~10%が減算されるというのは事業経営上非常に大きな影響をもたらします。しかも、減算対象となった場合、遡って修正報告しても即座に解除されるわけではなく、一定期間継続するケースもあります。

 

 

実務上の注意点

報告はシステム上で数段階のステップを踏む必要があります。以下のような点に注意することで、提出漏れや差戻しを防ぐことができます。

チェックリスト

  • WAM NETにログインできるか(ID・パスワードの確認)
  • 情報の入力は完了しているか(未入力・空欄なし)
  • 承認者(法人代表者等)による「承認操作」が完了しているか
  • 提出後、システム上で「承認済み」または「公表済み」となっているか
  • 差戻しや修正依頼の通知が届いていないか確認したか

 

 

まとめ:早めの対応で減算リスクを回避

WAM NETの定期報告は、障がい福祉事業者にとって避けて通れない年次業務の一つです。報告自体は比較的簡便なものですが、忘れてしまうと報酬減算という大きなリスクにつながります。

特に2025年度は、7月31日(木)が報告締切りと見込まれています。報告の完了には「入力→承認→公表」までのステップが必要なため、余裕をもって対応を進めることが重要です。

吹田市・大阪市ともに、オンライン完結型で運用されており、面談や郵送の必要はありませんが、ログイン情報やご担当者様の確認漏れにはくれぐれもご注意ください。

 

参考リンク

 

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