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はじめに
次年度の基本報酬区分を決定する重要な業務の一つが「前年度実績に基づく平均工賃の算出」です。算出に誤りがあると、不適正な報酬受領として過誤調整を求められるリスクが生じるため、正確な算出が求められます。本記事では、最新のルールに基づいた算出公式や、根拠資料の整え方について解説します。
1.令和8年度報酬改定における「平均工賃」関連の変更点

① 報酬区分の判定閾値(基準額)の見直し
今回の改定では、平均工賃月額の算定方式見直しに伴う工賃上昇に対応するため、基本報酬区分の基準額がそれぞれ3千円引き上げられました。あわせて、報酬単価の急激な下落を防ぐための「中間的な区分の新設」や、一部基準額の据え置きなどの配慮措置が講じられています。自所の実績がどの新区分に該当するか、最新の「報酬算定構造」を参照して正確に把握することが重要です。
② 新算定式の定着と除外要件の廃止への注意
平均工賃月額の算定には、「1日当たりの平均利用者数」を用いた新しい計算式が適用されています。それに伴い、過去に存在した「著しく利用が困難な期間(入院や特定の疾患等による欠席等)」の除外要件は廃止されています。古いルールのまま、特定の利用者を分母から除外して計算しないよう改めて注意が必要です。
2.【実務の鉄則】工賃と加算手当の明確な分離
令和6年度の新加算(処遇改善・特定処遇改善・ベースアップ等の一本化)への移行以降、生産活動収益から支払う「工賃」と、加算財源から支払う「手当」の区分けが厳格に求められています。これらを合算して計算してしまうと、過誤調整(返還)の対象となるリスクがあります。会計上、工賃と加算手当が明確に分離されているか、改めて確認が必要です。
3.【実務】最新の平均工賃算出公式

就労継続支援B型の平均工賃月額は、以下の数式で算出します。
平均工賃(月額)= 前年度の年間工賃支払総額 ÷(前年度の年間延べ利用者数 ÷ 年間開所日数)÷ 12ヶ月
- 分子:前年度の年間工賃支払総額 分子には、前年度(4月〜翌3月)に「実際に利用者に支払った工賃の合計額」を計上します。前述の通り、「処遇改善加算」などを原資とする手当等は、ここには一切含められません。また、自治体からの独自補助金や訓練等給付金からの補填も対象外です。
- 分母:前年度の年間延べ利用者数と年間開所日数 分母の計算においては、短時間利用(例:1時間のみ)であっても、通所、施設外就労、在宅支援を行った日は「1人」としてカウントします。欠席した日や、欠席時対応加算のみを算定した日は生産活動の実態がないため除外します。
4.運営指導に備えるエビデンス管理

平均工賃の算出根拠となったデータの正確性は、運営指導等で厳しくチェックされます。以下の3つの資料間で数値が一致していることが、適正運営の最大の証明となります。
- サービス提供実績記録票(出席簿): 利用者が実際に作業を行った日数
- 工賃台帳: その作業に対し、支払われた工賃額
- 総勘定元帳(会計ソフトの記録): 法人から工賃として実際に支出された記録
実務上、特に確認が必要なのは「総勘定元帳の工賃支出」と「工賃台帳の合計」の一致です。年度末(3月分)の工賃を4月に支払う未払計上を行っている場合など、対象期間(4月〜翌3月)の整合性が取れているかを経理担当者と共有しておくことが不可欠です。
まとめ
日々の支援業務と並行して正確な実績算出を行うことは、不適正な報酬返還を回避し、利用者様へ安定した支援を継続することに直結します。自治体指定の最新の算出フォーマットを使用し、計算プロセスを記した根拠資料は5年間適切に保管するようにしてください。