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はじめに
障がい福祉サービス施設を開設する際、多くの事業者様が法人格を必要とされます。その中で、株式会社や合同会社ではなく NPO法人(特定非営利活動法人) を選択されるケースもあります。
NPO法人は営利を目的としない法人形態で、地域社会や福祉活動に根ざした運営が可能です。今回は、NPO法人設立の流れ・必要書類・役員構成の注意点・費用や税務面 を中心に解説します。
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設立までの大まかな流れ
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事前相談(所轄庁:大阪府または市町村)
- 設立趣旨や事業計画について事前に相談することが推奨されます。
- 提出書類の確認や修正指導が入るため、スムーズな手続きのためには必須です。
2.社員(正会員)の確保
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- NPO法人設立には 社員10名以上 が必要です。
- 「社員」とは株式会社の従業員ではなく、NPO法人の意思決定に参加する会員を指します。設立当初からこの人数を満たしていないと申請できません。 3.設立総会の開催
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- 定款の承認
- 理事・監事の選任
- 設立趣旨書や事業計画書の承認
3.設立認証申請(所轄庁に提出)
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- 定款、役員名簿、設立趣旨書、事業計画書、収支予算書などを添付。
4.縦覧期間
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- 吹田市の場合:申請書受理の日から2週間、市民や利害関係者が意見を述べられる期間があります。
- 株式会社のような「公証人による定款認証」は不要で、この縦覧制度がチェック機能を担います。
5.認証・不認証の決定
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- 縦覧終了後、2か月以内 に所轄庁が認証または不認証を決定します。
- 不認証となる例:役員に親族が多数含まれる場合、事業目的が公益性を欠く場合など。
6.登記(認証後2週間以内)
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- 法人登記の際には以下の印鑑が必要です:
- 法人実印(丸印)
- 銀行印(丸印)
- 社印(角印)
- 登記手続き自体は司法書士への依頼が一般的です。
- 法人登記の際には以下の印鑑が必要です:
7.完了届・銀行口座開設・事業開始
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- 所轄庁へ設立登記完了届を提出し、事業活動を正式にスタートできます。
◆全体のスケジュールは 最短でも3〜4か月程度 かかるのが一般的です。
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設立趣旨書と定款のポイント
設立趣旨書の構成案
- 社会的背景・課題
- 設立目的
- 活動の具体的内容
- 期待される効果
- 設立に至る経緯
定款の主なポイント
- 名称・事務所所在地
- 目的と事業内容(障がい福祉サービスを含む場合は明確に)
- 社員資格・入退会手続き
- 役員の定数・任期・選任方法
- 総会や理事会の議決方法
- 会計年度・資産に関する規定
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役員構成と親族制限
NPO法人の役員には 理事と監事 が含まれます。
- 役員は最低3名(理事3名)+監事1名以上が必要。
- 親族(配偶者・3親等内の親族)が占める割合は全役員の1/3以下 でなければなりません。
具体例
- 役員4名または5名 → 親族はゼロ(実質NG)
- 役員6名 → 親族は最大2名まで
- 役員9名 → 親族は最大3名まで
親族が多数を占めると不認証の原因となるケース:
- 理事5名中3名が同一家族(父・母・子) → 親族が過半数を占めるため不認証。
- 監事も含めて親族関係が濃い場合も同様に判断されます。
◆「役員=理事+監事の合計」で親族制限がかかる点に注意が必要です。
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税務上の扱い
NPO法人だからといって税金が一切かからないわけではありません。
- 法人税:収益事業を行った場合は課税。非収益事業(福祉事業のみ)なら非課税。
- 法人住民税均等割:収益の有無にかかわらず毎年かかります(約7万円〜)。
- 消費税:課税売上高1,000万円超の場合は課税。
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設立費用の目安
株式会社と比べると初期費用は安価ですが、ゼロではありません。
- 定款印紙代:不要(NPOは収入印紙非課税)
- 登録免許税:不要
- 登記事項証明書や印鑑証明取得費用:約数千円
- 印鑑作成費用:1〜3万円程度
- 専門家依頼費(司法書士や行政書士):10〜20万円前後
◆ 全体で 数万円〜20万円程度 を見込むのが一般的です。
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まとめ
- NPO法人設立には 社員10名以上 が必須
- 役員は 理事+監事 で構成し、親族は1/3以下
- 株式会社と違い 定款認証は不要、その代わりに 縦覧制度(2週間) がある
- 認証決定は 縦覧終了後2か月以内
- 運営開始までには 3〜4か月 かかるのが一般的
- 税金は「非営利だからゼロ」ではなく、法人住民税や収益事業に係る法人税は発生
障がい福祉サービス事業を見据えてNPO法人を設立される場合は、法人格の選択理由や運営体制をしっかり整理し、事前相談で確認を受けながら準備を進める ことが重要です。
(参考)