障害児通所支援

児童発達支援・放課後等デイサービスにおける収益性向上のための加算活用ガイド

障がい福祉サービスでは、スタッフ配置や保護者支援などで基準以上の支援を行うことで、報酬に「加算」を算定できます。事業所の利益向上のためにはこれら加算の獲得が重要です。基本人員にプラスして所定の職員を配置することや、利用者への送迎サービスを提行うことで、基本報酬に上乗せして所定の単位が加算されます。今回は、大阪府(吹田市周辺)の施設で特に算定単位数が高く経営に大きく影響する主要な加算について、概要・要件・申請手続き・注意点などをまとめて説明します。

主要加算の概要と対象要件

医療連携体制加算・看護職員加配加算

医療連携体制加算は、喀痰吸引など医療的ケアを行った場合に算定できます。認定特定行為者が医療機関と連携してケアを行うとⅠ~Ⅶまで算定区分があり、令和6年度改定で特に加算(Ⅶ)が100→250単位へ引上げられました。重症心身障害児への対応強化も可能です。算定には「医療的ケア児」であることの判定が必要で、市町村への報告も求められます。 看護職員加配加算は重症心身障がい児対応型事業所が看護師等を配置することで算定でき、Ⅰ(職員1名配置&スコア合算40点以上)・Ⅱ(2名配置&72点以上)に分かれます。配置人数に応じて133~800単位/日と高い点数が得られます。いずれも加算には事前の市区町村届出が必要で、他の医療ケア加算との重複算定不可など制度上の制約に注意が必要です。

 

専門職配置関連の加算

児童指導員等加配加算は、常勤換算で児童指導員や保育士等の専門職員を追加配置することで算定可能です。配置形態と経験年数に応じ、36~187単位/日が得られます(例えば常勤職員・経験5年以上配置で187単位)。算定要件は「指定人員に加え1人以上を常勤換算により配置し、通常配置に欠員がないこと」などです。事前に人員変更届出が必要で、欠員発生時には算定できない点にも留意しましょう。
専門的支援体制加算・実施加算は、理学療法士・作業療法士・心理職員など専門職を配置(体制加算)し、実際に個別・集中的な支援を行った場合に算定できます。体制加算は常勤換算1名配置で123単位/日、実施加算は専門職が支援実施日ごとに150単位/日と高い点数です。理学療法士等を人数に応じて配置すると、例えば定員10名以下なら187単位/日(理学療法士配置)を加算可能です。算定には事前届出のほか、支援計画への記載や月ごとの上限回数(月4~6回)を守る必要があります。

 

家族・児童支援加算

家庭連携加算(令和6年新設)は、保護者の同意のもと居宅訪問や事業所内相談などで相談援助を行うと算定できます。1回300単位(訪問1時間以上)など、最大で280~300単位の加算が可能です。上限は月4回で、事前同意・個別支援計画への明記、相談記録の保存が要件です。事業所内相談支援加算(子育てサポート加算)は事業所内での相談援助で1回80単位が加算され、同月で家庭連携と同日算定はできません。
関係機関連携加算は、学校や保育園など関係機関との会議・調整・連絡を行った際に算定します。月1回までで250単位、200単位、150単位、200単位と区分ごとに単位が異なり、各種会議や連携活動を記録しておく必要があります。
保育・教育移行支援加算(令和6年変更)は、障害児通所施設を退所し保育園等へ移行した利用者について、退所後30日以内の居宅訪問を行った場合に1回500単位が加算されます。利用開始前後に親子の状況を把握し、手続きを計画的に行えば算定できます。移行先が他の社会福祉施設の場合は対象外となる点に注意が必要です。

 

支援提供時間・輸送等の加算

送迎加算は、利用児を学校・園・自宅から施設まで送迎した場合に、片道ごとに算定できる加算です。施設内で同一施設間送迎を行うと片道37単位、一般送迎で54単位、加えて要件を満たせば94~134単位/片道が得られます。看護職員同乗で医療ケアが必要な児童の送迎には40単位加算(重度心身障害児等)などもあります。事前に保護者同意を取り、安全計画の作成や添乗員配置など安全対策も義務化されています。
延長支援加算(令和6年変更)は、営業終了時間を超えて支援を行った場合に算定します。児発は5時間超、放デイは平日3時間超・休日5時間超で発生し、延長時間に応じて最大256単位/日(重症児256単位)まで得られます。算定には事前届出と支援計画への記載、延長時に直接支援職員1名以上配置が必要です。

算定手続きと注意点

  • 届出・申請:多くの加算は、算定前に市町村への届出・承認が必要です。例えば吹田市では人員配置系加算や専門支援加算など加算ごとに所定様式の届出書が用意されており、増額変更の場合は算定月前月15日までに提出が必要です。加算ごとの要件や様式を確認して漏れなく手続きを行いましょう。
  • 記録・報告:算定の根拠となる活動は必ず記録し、請求伝票に添付するなど提出が求められます。例えば欠席時対応加算は、欠席連絡の日時・理由や相談内容を詳細に記録し、月4回まで算定可能です。運営指導では加算要件の遵守が厳しくチェックされるため、記録不備や回数超過には特に注意が必要です。
  • 職員配置と研修:加算獲得のため専門スタッフや経験ある職員を配置する場合、採用・教育コストも発生します。加算算定には保育士・児童指導員の資格要件、経験年数要件、必要研修修了(強度行動支援研修など)への参加が求められることがあります。これら要件を満たすための人事計画・研修計画をあらかじめ策定しておくとよいでしょう。
  • サービス提供計画の整合性:延長や家庭支援などを算定する際は、個別支援計画にも該当時間延長や支援内容を明記し、計画通りに支援を提供できる体制を整えます。送迎や移行支援でも、利用者の同意取得や計画的な訪問スケジュールが欠かせません。

まとめ

加算を適切に活用すれば、収益性向上と支援サービスの質向上を同時に実現できます。施設独自の強みや地域ニーズに合わせて戦略的に加算を選択・実施し、要件遵守の体制を整えることが重要です。行政書士等の専門家に申請支援を依頼すると手続きがスムーズになるため、検討時の相談先として活用すると良いでしょう。

参考資料: 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係) 改定事項の概要(こども家庭庁)

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