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障がい福祉サービスでは、利用者の自己負担に「月ごとの上限額(負担上限月額)」が設けられています。複数の事業所を併用すると、各事業所の請求合計がこの上限を超える可能性があるため、どこか一つの事業所が利用者の自己負担総額を取りまとめて調整する「上限額管理」を行う必要があります。この管理業務を評価するのが「利用者負担額上限額管理加算」です。
今回は利用者負担額上限管理加算について説明します。
目次
- 上限額管理の位置づけと基本概念
- 対象サービス名
- 算定加算単位
- 算定の基本要件と実務フロー
- 留意点
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上限額管理の位置づけと基本概念
- 目的:利用者の自己負担が、その人に定められた負担上限月額を超えないように、月単位で総自己負担額を管理・調整するため。
- 管理主体(上限額管理者):制度上、「上限額管理者」を位置づけ、当該事業所が他事業所分も含めた自己負担見込みの取りまとめ・調整を行います。
- 評価の枠組み:上限額管理の事務を実施した月に、所定の「利用者負担上限額管理加算」を月1回算定できます(サービスごとの報酬告示・算定構造表に明記)。
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対象サービス名
・児童発達支援・放課後等デイサービス
・居宅介護・重度訪問介護・同行援護
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・生活介護
※最終的な可否・単位は、当該サービスの個別の告示・算定構造表で必ず確認してください。
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算定加算単位
- 回数:月1回を限度
- 単位:150単位/月
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算定要件と実務フロー

算定要件
- 利用者(又は保護者)から「上限額管理」の依頼・同意を受け、当事業所が上限額管理者として管理すること。
- 同一月に他事業所の利用があること(当事業所のみの利用で自己負担がそもそも上限内に収まる月は、算定不可となる取扱いが一般的)。
- 当該月の自己負担見込み額の収集・調整(他事業所から利用実績・自己負担見込みを確認し、合算後の本人負担が上限月額を超えないよう調整)。
- 国保連請求での加算算定(上限額管理事務を実施した月に限り、月1回算定)。
実務フロー(例)
①依頼受領:支給決定内容と負担上限月額(区分:生活保護・低所得・一般1・一般2)を確認。
②情報収集:当該月における他事業所の予定/実績・自己負担見込みの提供依頼(様式化・期日設定が実務のコツ)。
③調整:合計自己負担額が上限月額を超過しないよう、利用回数や請求額の調整・最終確認。
④記録:管理依頼書、確認票、合計表、照合作業メモ等を保管(監査・指導対策)。
⑤請求:上限額管理者として上限額管理加算(150単位/月)を算定。
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留意点

- 「当事業所のみ利用の月」は原則算定不可:他事業所がないため、上限額管理の調整事務が生じず、加算の趣旨に合致しません。
- 月1回の限度管理:同一利用者について同一月に複数事業所での重複算定は不可。
- 負担上限月額の区分確認:区分(生活保護・低所得・一般1・一般2)と例外(入所・共同生活援助に関する扱い)を毎年度資料で再確認する。
- 「上限額管理者」の切替え:月途中の切替えは実務トラブルの要因。月単位で一事業所の原則を徹底し、関係事業所と事前調整する。
※本稿は、公的資料と実務書に基づき概要を整理したものです。最終判断は最新版の告示・通知・Q&Aおよび各自治体の取扱いにてご確認ください。
(参考文献)
障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)
障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)
(参考資料)
障害者の利用者負担(厚生労働省)
障害福祉サービス費等の報酬算定構造(厚生労働省)
 
   
  