いま、居宅介護・重度訪問介護の現場に何が起きているのか
障がい福祉の現場、とくに居宅介護や重度訪問介護を担う皆様にとって、もっとも大きな課題のひとつが「人材確保」ではないでしょうか。
特に、24時間体制での支援が求められる重度訪問介護では、職員の確保・定着が非常に難しい現状があります。
加えて、利用者の方が高齢になった親御さんと同居しながら介護を受けているケースでは、「親が亡くなった後、誰がこの子を支えてくれるのか」という“介護者なき後”の不安が、ずっと付きまといます。
こうした問題に対応するため、国土交通省が新たに打ち出したのが、
「居宅介護・重度訪問介護等における人材確保支援事業」です。
どんな補助事業?~概要と目的をわかりやすく解説~
この補助事業は、2025年5月30日に国土交通省から発表されたもので、正式名称は:
「令和6年度福祉有償運送等活用促進事業(居宅介護・重度訪問介護等における人材確保支援)」
となっています。
◆ 目的は?
- 障がい者等の移動や生活を支える人材を育成・確保すること
- 特に、「介護者なき後」も障がいのある方が地域で安心して暮らせるようにするための環境づくり
- すでに介護に関わっている人だけでなく、新たに参入を考えている人・団体への支援も含まれています
補助金の対象になる取組内容
実際に、どんな活動が補助対象になるのでしょうか?以下のような取り組みが想定されています。
✅ 新たな人材の確保に関する取り組み(例)
- 福祉事業所が移動支援・生活支援の研修会を開催
- 他業種からの参入者(タクシー会社、介護タクシー等)への研修提供
- 人材バンクやマッチングサイトの開設・運用
- 地域住民を巻き込んだ介護ボランティア育成
✅ サービス提供体制の強化に関する取り組み(例)
- ICTの導入による支援の効率化
- 複数事業所の連携体制の構築(ネットワーク化)
- 移動支援・介護支援のシフト管理の効率化
✅ 移動支援・生活支援のモデル構築
- 「重度訪問介護+移送支援」の組み合わせモデルの実証
- 住まいと支援を一体的に提供する体制の整備
- 地域交通・NPO等と連携した支援体制の検討・検証
補助金の額と対象
■ 補助対象者
- 障がい福祉サービスを行う事業者
- NPO法人
- 一般社団法人
- 自治体 など
■ 補助率と補助上限
- 原則として定額補助
※ただし、補助額の上限は「採択された計画の内容による」とされています(要相談)
■ 実施期間
- 令和6年7月頃~令和7年2月末まで
※事業実施期間は短いため、すぐに計画を立てて動き出すことが大切です。
申請の流れと期限
補助事業に応募するには、以下のような流れが想定されています。
-
公募要領の確認
→ 国土交通省のホームページにてダウンロード可能
(プレスリリース資料リンク) -
申請書類の作成
→ 取り組み内容、目的、スケジュール、予算見積などを記載
-
6月20日(木)17:00までにメールで提出
-
審査・選定(7月上旬予定)
補助金を活用して、未来の不安に備える
「親亡き後の暮らしをどう支えるか」という問題は、現場にいる支援者、そして家族にとってずっと付きまとう深刻な課題です。
今回の補助事業は、ただ単に「お金がもらえる」というだけでなく、
地域で障がいのある方が安心して暮らしていけるしくみづくりを始めるチャンスです。
特に、今後の福祉経営を考える上では、
- 他業種との連携
- ICTを活用した運営
- 地域を巻き込んだ体制づくり
などを視野に入れることが必要不可欠になってきています。
まとめ
項目 | 内容 |
補助金名 | 居宅介護・重度訪問介護等における人材確保支援事業 |
目的 | 「介護者なき後」の不安を減らし、地域での支援体制を強化する |
対象者 | 障がい福祉事業者、NPO法人、自治体など |
募集締切 | 2025年6月20日(木)17時まで |
実施期間 | 採択後 ~ 2026年2月末まで |
主な支援内容 | 人材確保、ICT導入、地域ネットワークづくり等 |