障害児通所支援

事業所間連携加算の趣旨・要件・加算単位の実務解説

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障害児相談支援を利用せずにセルフプランで複数の事業所を併用する児童について、事業所同士が継続的に情報連携しながら支援をコーディネートした取組を評価するのが「事業所間連携加算」です。今回は令和6年度報酬改定で新設された「事業所間連携加算」について説明します。

 

目次

  1. 対象サービス名
  2. 算定加算単位
  3. 本加算の位置づけ
  4. 算定の考え方
  5. コア連携事業所の選定と役割
  6. 連携会議の実施・記録・共有
  7. 具体的手続フロー
  8. よくあるNG/減算・不可事例
  9. 請求・台帳整備の実務メモ
  10. まとめ

 

 

1.対象サービス名

  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス

 

 

2・算定加算単位

  • 事業所間連携加算(Ⅰ):500単位/回(月1回を限度
  • 事業所間連携加算(Ⅱ):150単位/回(月1回を限度

 

 

  1. 本加算の位置づけ

背景:セルフプラン率が高い地域では、給付決定から更新までの間に第三者モニタリングの機会が乏しいという課題が指摘されていました。

趣旨複数事業所の併用児について、事業所間で状態・支援状況を共有し、包括的な連携体制のもとで支援を提供する取組を評価します。

 

4 .算定の考え方

 

事業所間連携加算(Ⅰ):市町村から依頼を受け、コア連携事業所として会議開催等の連絡調整を担い、保護者への相談援助自治体との情報連携まで実施した場合に評価します。

事業所間連携加算(Ⅱ):上記会議に参画し、得た情報を事業所内で共有必要に応じて個別支援計画の見直し等、支援へ反映した場合に評価します。

 

 

  1. コア連携事業所の選定と役割

 

選定

保護者の同意を前提に、市町村が中核となる事業所(コア連携事業所)を依頼・確認。上限額管理事業所や中核機能強化の拠点など、日常的に連絡調整を担いやすい事業所が候補になります。

 

役割

他事業所との関係構築、会議の設定・運営日常的な情報共有会議記録の整理・共有、必要に応じた助言・援助等。

 

 

  1. 連携会議の実施・記録・共有

目的

対象児の支援の連携(状態、支援実施状況、生活環境、学校・家庭との接点等の共有)。

 

頻度・形式

月1回限度の評価枠に留意。オンライン併用も、記録が適切なら実務上運用可能と整理される例が見られます(詳細は各自治体の運用を確認してください)。

※記録会議の開催日時・参加者・共有内容・合意事項・各事業所の対応を整理し、保護者・関係事業所・市町村へ共有します

 

 

  1. 具体的手続フロー

  • 支給決定時の同意・確認書:市町村が「事業所間連携加算確認書」を配布→保護者がコア連携事業所を記載・承諾取得→市町村が確認し、セルフプラン写しと併せて交付します
  • 会議実施~請求:コア連携事業所が会議を実施・記録を作成して関係者に共有→コア連携事業所(Ⅰ)参加事業所(Ⅱ)がそれぞれ加算を請求します。

 

 

  1. よくあるNG/不可事例

  • 同一法人内のみでの併用利用事業所がすべて同一法人の場合は算定不可
  • 同意・確認書の不備:保護者同意が未取得/確認書の保管・共有が不十分。
  • 会議記録の欠落:日時・参加者・共有内容・合意事項が曖昧で、内部共有や市町村への活用に耐えない。

 

 

  1. 請求・台帳整備の実務メモ

  • 月1回の限度:Ⅰ・Ⅱとも「月1回」の評価枠。実施日管理と重複防止を台帳で見える化が必要です。
  • 証拠性の確保確認書写し会議案内・議事メモ共有先リスト保護者への相談援助記録(Ⅰ)、計画見直し痕跡(Ⅱ)をセット保管することが必要です。
  • 市町村連携:給付更新時に活用されるため、適時・適切な共有を意識することが必要です。

 

 

  1. まとめ

  • 対象児:セルフプラン×複数併用(児発/放デイ)。
  • 保護者同意:自治体配布の確認書で取得・保管。
  • コア連携事業所の依頼・承諾・確認を完了。
  • 会議実施:目的は支援の連携議事録を作成し、保護者・関係先・市町村と共有。
  • 請求(Ⅰ)コア連携事業所 500単位/回(Ⅱ)参加事業所 150単位/回(いずれも月1回)。
  • 不可例同一法人内のみの併用は算定不可。

 

(参考文献)

障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)

障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)

 

(参考資料)

 事業所間連携加算の創設と取扱いについて(こども家庭庁)(令和6年5月2日)

令和6年度報酬改定(事業所間連携加算について)(吹田市)

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