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保育・教育等移行支援加算は、児童が障害児通所支援から「保育所・幼稚園・認定こども園・小学校等」へ円滑に移るための支援を評価する加算です。令和6年度改定では、従来の「退所後の訪問等」に加え、退所前の移行に向けた取組(移行先への助言・関係機関連携の協議等)も新たに評価対象となり、実務での活用場面が広がりました。今回は「保育・教育等移行支援加算」について説明します。
目次
- 保育・教育等移行支援加算とは
- 対象サービス名
- 算定加算単位
- 算定の基本要件と実務留意点
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保育・教育等移行支援加算とは
児童が地域の保育・教育等(保育所、幼稚園、認定こども園、小学校 等)へ移行する際、退所前の準備・連携や退所後の訪問・助言など、移行に直結する支援を評価する加算です。令和6年度改定で、退所前の取組(移行先への助言援助、関係機関連携の協議 等)が評価対象に追加され、算定可能な機会が拡充されています。
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対象サービス名
- 通所系(障害児通所支援)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 相談支援系(障害児相談支援)
- 計画相談支援
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算定加算単位
3-1. 通所系(児発・放デイ)
令和6年度改定後の単位は以下のとおりです(いずれも500単位/回)。
- 退所前に、移行に向けた取組(移行先への助言援助、関係機関連携の協議 等)を行った場合:500単位/回(2回を限度)
- 退所後に、居宅等を訪問して相談援助を行った場合:500単位/回(1回を限度)
- 退所後に、保育所等を訪問して助言・援助を行った場合:500単位/回(1回を限度)
(※改定前は「500単位/回(1回限度)」のみ。改定で退所前評価を追加)
実務ヒント(通所系)
- 退所前後で評価軸が分かれます。個別支援計画・移行支援の記録様式に「退所前の移行準備」「退所後の訪問・助言」のチェック欄を設け、実施日・実施内容・関係機関名を明確に残すと審査対応がスムーズです。
3-2. 相談支援系(障害児相談支援)

報酬告示「7 保育・教育等移行支援加算」の規定(該当月に各項目2回を限度で合算可/利用終了後6か月以内も算定可)に基づき、次の単位が設定されています。
- (1) 情報提供・連携協力(保育所・学校等、または就業生活支援センター等へ必要情報を提供し、支援内容の検討に協力)… 150単位
- (2) 居宅訪問・面接(オンライン併用可)(月2回以上、うち1回は居宅訪問が必須。※他加算との同時算定制限あり)… 300単位
- (3) 会議参加(保育所等や就業生活支援センター等が開催する会議に参加)… 300単位
実務ヒント(相談支援)
- (2)のオンライン活用は、令和6年度見直しで明確化(ただし月1回は対面訪問要件)。訪問・面接の回数管理と、初回・集中的支援・医療連携等の他加算との同月併算制限に注意してください。
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算定の基本要件と実務留意点
- 移行の事実関係:通所系では「事業所退所→保育所等に通う」ケースを前提に、退所前・退所後のどの取組を実施したかで算定区分が変わります。実施日・実施先・内容(助言・協議・訪問の別)を記録してください。
- 回数上限:通所系は退所前2回限度、退所後の各行為は各1回限度。相談支援系は(1)〜(3)の各項目2回を限度で合算可(かつ利用終了後6か月以内も対象)。
- オンライン面接の可否(相談支援):月2回以上の面接のうち1回は居宅訪問が必須。オンライン併用の要件や同月の他加算の併算不可は指定権者に必ず確認してください。
- 台帳・記録の整備:審査対応では移行先名称・関係者・協議事項・助言内容、訪問なら日時・場所・面接者、会議なら開催主体・議題・結論の記録が要点です。
まとめ

- 通所系(児発・放デイ)は退所前2回/退所後各1回(各500単位)で移行支援を評価。
- 相談支援系は150/300単位を各2回限度で合算でき、利用終了後6か月以内も対象。
- オンライン面接の活用可(ただし月1回は居宅訪問)など、令和6年度見直し点の運用を参考資料等で確認してください。
根拠を踏まえた記録・回数管理・併算制限の運用が、適正算定と監査対応の要です。
※本稿は、公的資料と実務書に基づき概要を整理したものです。最終判断は最新版の告示・通知・Q&Aおよび各自治体の取扱いにてご確認ください。
(参考文献)
障害者総合支援法 事業者ハンドブック〈報酬編〉(中央法規)
障害福祉サービス 報酬の解釈(社会保険研究所)
(参考資料)
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)の改定事項の概要について(こども家庭庁)(令和6年4月1日) P41、P70