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はじめに
障がい福祉事業を始めるには、まず「法人格」を取得する必要があります。大阪府や市町村での指定申請も、法人格を前提として進められます。
法人形態の中でも費用を抑えやすく、比較的簡単に設立できるのが「合同会社」です。今回は、合同会社設立の流れと、登記を司法書士に依頼するケースを想定した費用感をまとめています。
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合同会社設立の主な手順
(1) 商号(会社名)の決定
- 商号は必ず末尾に「合同会社」を付けます(例:さくら合同会社)。頭に付けることはできません。
- 「同一住所で同一商号」は不可。例:吹田市佐竹台5-5-4に「さくら合同会社」が登記されていれば、同住所で同名は登記できません。
- 住所は市区町村以下(丁目・番地まで)を登記簿に記載します。
(2) 定款の作成
- 合同会社では 公証役場での定款認証が不要 です(株式会社との大きな違い)。
- 記載内容:会社の目的、本店所在地、社員(出資者)の氏名や住所、出資額、業務執行社員・代表社員の定めなど。
(3) 出資の履行
- 出資金は、社員の個人口座に振込み → 通帳コピーで証明。
- 株式会社のような「払込金保管証明書」は不要です。
(4) 登記申請書類の作成
- 設立登記申請書
- 定款
- 代表社員の就任承諾書
- 印鑑届出書
- 登記すべき事項を記録したCD-R(紙申請の場合)
(5) 法務局での登記申請
登記は法務局への申請が必要です。
ここだけは司法書士に依頼するケースを想定しています。申請後、登記完了まで1〜2週間ほどかかります。
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社員・業務執行社員・代表社員の違い
合同会社では役割を「社員」「業務執行社員」「代表社員」と区分します。
- 社員:出資者(株主に近い立場)
- 業務執行社員:社員の中で業務を執行する権限を持つ人(取締役に近い)
- 代表社員:業務執行社員の中で会社を代表する権限を持つ人(代表取締役に近い)
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費用の目安(2025年8月時点)
登記以外を自分で行い、登記を司法書士に依頼する場合
- 登録免許税: 6万円
- 司法書士報酬(登記のみ):3万〜6万円程度
合計:9万〜12万円程度
※ 株式会社のように「電子定款で印紙代4万円を節約」という発想は不要です。合同会社はもともと定款認証が不要だからです。
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まとめ
合同会社は、株式会社に比べて定款認証が不要で、設立費用や手続きの負担を抑えられます。コストを抑えつつ確実に法人格を取得することができます。