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はじめに
「物価高が続くなか、スタッフの給料を上げてあげたいけれど、経営状況を考えると踏み切れない……」 「令和8年度の報酬改定まで、このまま人材流出を指をくわえて見ているしかないのか?」
そんな悩みを抱えていませんか?
現在、障害福祉分野の人材不足はかつてないほど厳しい状況にあります。 他の業界にスタッフが流れてしまうのを防ぐため、国と大阪府は「令和8年度の報酬改定を待たず、今すぐ賃上げを支援する」という異例の緊急措置を決定しました。 それが今回の「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」です。
しかし、いざ資料を読み込むと「交付率は?」「うちは対象?」「どうやって計算するの?」と、専門用語や複雑なルールに頭を抱えてしまう方も多いはずです。
そこでこの記事では、大阪府の事業者の皆様に向けて、以下のポイントをどこよりも分かりやすく解説します。
- 自社のサービスで「いくら」補助金がもらえるのか
- 「今は加算を取っていない」事業所でも受給できる方法
- 早期支給(3月末)に間に合わせるための具体的なスケジュール
この記事を読めば、複雑な実施要綱を読み解く時間を大幅に短縮でき、自信を持って申請手続きを進められるようになります。 スタッフの笑顔と、事業所の安定した運営を守るための第一歩として、ぜひ最後までご一読ください。
大阪府の障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業とは?

この事業は、深刻な人材不足に直面している障害福祉現場を支えるため、国と大阪府が連携して実施する「緊急の賃上げ支援」です 。
通常、福祉・介護職員の給料アップは「報酬改定」という数年に一度のタイミングで行われますが、今回は人材の流出を食い止めるため、令和8年度の本格的な報酬改定を待たずに対策を講じることになりました 。
事業の目的:令和8年度の報酬改定を待たない緊急支援
現在、他職種との賃金格差などから、障害福祉分野では働く人の確保が非常に厳しい状況にあります 。そこで、令和8年春に予定されている報酬改定の時期を先取りする形で、前倒しで賃上げに必要な費用を補助し、現場の職員が安心して働き続けられる環境を整えることが最大の目的です 。
対象となる期間と「基準月」の考え方
今回の補助金は、原則として令和7年12月を「基準月」として設定しています 。この月(令和7年12月)に提供したサービスに対する報酬額をベースにして、6か月分の補助額が算出される仕組みです 。 人材流出を防ぐための「緊急的対応」という性質上、令和8年4月以降に新しく開設された事業所などは対象外となる点に注意が必要です 。
補助金の対象となる職員(障害福祉従事者)の範囲
「誰の給料を上げられるのか」という点については、現場で働く福祉・介護職員だけにとどまりません 。 この事業では、対象となる事業所に勤務する「福祉・介護職員以外の障害福祉従事者」も賃金改善の対象に含まれています 。事業所ごとの判断により、事務職や調理員、清掃員といった幅広いスタッフの処遇改善に充てることが可能です 。
自社はいくらもらえる?補助額の計算方法と交付率

補助金の申請にあたって、経営者や事務担当者の方が最も気になるのは「実際にいくら支給されるのか」という点でしょう。この補助金は、一律の金額が配られるのではなく、事業所の売上(報酬額)にサービスごとの「交付率」を掛けて計算されます。
補助額の計算式:基準月の報酬額×交付率
補助金の計算は、原則として令和7年12月(基準月)の売上をベースに行います。具体的な計算式は以下の通りです。
事業所ごとの補助額 = 令和7年12月分の総報酬額 × サービスごとの交付率
この「総報酬額」には、基本のサービス費用だけでなく、各種の加算や減算(過誤調整分を含む)も含まれます。こうして算出された金額を、対象となる全ての事業所分、合計したものが法人に支払われる補助額の総枠(6か月分相当)となります。
【サービス別】交付率一覧表
交付率は、人件費の割合などサービスごとの特性を考慮して細かく設定されています。今回、大人の「障害者福祉」だけでなく、子供の「児童福祉」サービスも同一の要綱内で網羅されています。
主なサービスの交付率は以下の通りです。
| サービス区分 | 交付率 |
| 【障害福祉】 居宅介護、重度訪問介護、同行・行動援護 | 20.3% |
| 【障害福祉】 生活介護 | 11.1% |
| 【障害福祉】 就労継続支援(A型・B型) | 11.4% |
| 【障害福祉】 共同生活援助(グループホーム) | 14.1% |
| 【児童福祉】 児童発達支援、放課後等デイサービス | 18.5% |
| 【児童福祉】 福祉型・医療型障害児入所施設 | 80.8% |
(※施設入所支援などは22.2%、宿泊型自立訓練は23.0%などとなっています。自社のサービスがどれに該当するか、必ず別紙1の表を確認しましょう。)
計画相談・障害児相談支援などの高い交付率
今回の事業の大きな特徴は、普段は処遇改善加算を受け取ることができない「計画相談支援」や「障害児相談支援」なども対象に含まれている点です。
| 相談系サービス区分 | 交付率 |
| 計画相談支援、地域移行・定着支援 | 47.0% |
| 障害児相談支援 | 47.0% |
これらのサービスは交付率が47.0%と非常に高く設定されています(他のサービスは11%〜23%程度)。これまで処遇改善の仕組みから外れていた相談支援専門員の皆さんの賃上げを行う、またとない機会となります。
申請のために満たすべき「支給要件」のチェックポイント
補助金を受け取るためには、単に申請書を出すだけでなく、国や自治体が定めるいくつかの「ルール(支給要件)」をクリアする必要があります。大きく分けて、「今の加算の状況」と「職場環境の改善内容」の2つがポイントになります。
1.処遇改善加算を算定していること
原則として、基準月(令和7年12月)において「福祉・介護職員等処遇改善加算」を算定していることが条件です 。 ただし、「今は取っていないけれど、令和8年度中には取る予定」という事業所も、「誓約(約束)」をすることで今回の補助金を申請することが可能です 。
2.「職場環境等要件」をクリアする
職員が働きやすい環境を作るための取り組み(職場環境等要件)を、決められた数以上実施している必要があります。
- 加算I・IIを算定している場合:全体から14項目以上、または後述する賃金改善要件のいずれか
- 加算III・IVを算定している場合:全体から8項目以上
もし現時点で項目数が足りなくても、申請時に「令和8年度中に実施します」と誓約すれば、要件を満たしているものとして審査が進められます 。
3.特定の職員への賃金改善(加算I・IIの場合)
処遇改善加算IまたはIIを算定している事業所は、次のいずれかの対応が求められます。
- 460万円ルール:経験・技能のあるスタッフのうち1人以上は、今回の改善後の年収見込額が460万円以上になるようにすること
- 項目数アップ:上記の年収設定が難しい場合は、前述の職場環境等要件を14項目以上実施すること
これらも、申請時に「年度内に実施する」と誓約すればOKです 。
4.相談支援事業所などの場合
普段、処遇改善加算の対象外となっている計画相談支援などの事業所については、別途定められた「任用要件」や「研修の実施」などの要件をすべて満たす必要があります 。 具体的には、職位に応じた賃金体系を整え、それを就業規則などの書面で全職員に周知していることなどが求められます 。こちらも、小規模な事業所(10人未満)であれば内規での整備で認められるなど、柔軟な対応が取られています 。
【重要】賃金改善の方法と実施上のルール
補助金を受け取った後、最も大切なのは「ルールに沿って正しく職員へ還元すること」です。この補助金は、単に運営費に充てられるものではなく、使い道が厳格に決められています 。
全額を賃金改善に充てる義務と対象となる賃金項目
本事業で受け取った補助金は、その全額を職員の給与アップ(賃金改善)に使用しなければなりません 。対象となるのは、基本給、手当、賞与(ボーナス)などです 。ただし、退職金への積み立てに充てることは認められていない点に注意してください 。
基本給での改善が望ましい?一時金による支給の可否
国や自治体は、職員が将来にわたって安心して働けるよう、月々の給料が変わらない「基本給」での引き上げを推奨しています 。しかし、事業所の経営状況や将来の報酬改定を見越して、「手当」の新設や「一時金(ボーナス)」としてまとめて支給することも認められています 。自社の状況に合わせて、柔軟に組み合わせることが可能です。
守らなければならない「賃金水準」のルール
この補助金を使って賃上げを行う際、注意すべきルールが2つあります。
- 既存の賃下げはNG:この補助金をもらう代わりに、元々支払っていた基本給や手当を減らしてはいけません 。前年の同じ時期と比べて、全体の賃金水準を低下させないことが大原則です 。
- 決定済みの賃上げに充てない:補助金が出る前から決まっていた昇給の原資にこの補助金を充てることも、趣旨に反するため認められません 。
職員への周知と就業規則の整備・保管について
賃上げの計画については、必ずすべての職員に周知する必要があります 。具体的には、「いつ、どの項目(基本給や手当など)で、どれくらいの額が改善されるのか」を書面などで分かりやすく伝えます 。
また、賃上げに伴って給与規定などの就業規則を改定した場合は、その内容も職員に周知し、関連する書類(就業規則や労働保険の書類など)は、都道府県から提出を求められた際にすぐ提示できるよう、2年間適切に保管しておく義務があります 。
申請手続きと必要書類の流れ

補助金を受け取るための手続きは、大きく分けて「計画書の提出」と、後日行う「実績報告」の2ステップです 。大阪府のスケジュールに合わせて、漏れのないよう準備を進めましょう。
手続きの全体スケジュール
大阪府における申請は、令和8年2月1日(日曜日)から受付が開始されています。
- 早期支給(3月末)を希望する場合:令和8年2月16日(月)までの申請が必要です。
- 最終的な申請期限:令和8年4月30日(木)となります。
経営状況に配慮し、可能な限り早期の支払いが検討されていますが、書類に不備があると支給が遅れる可能性があるため注意しましょう 。
ステップ1:計画書(一体化様式)の作成と提出
まず、「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業計画書」を作成し、「大阪府行政オンラインシステム」から提出します。この書類は「処遇改善加算」の計画書と一体化したExcel様式(別紙様式2)になっています。
※原則としてオンライン申請のみで、郵送や持参は受け付けていないためご注意ください。
基本情報入力シート:法人名や住所、各事業所のサービス種別や売上見込額を入力します 。ここに入力した内容が、他のシートに自動で反映される仕組みです。
- 別紙様式2-3・2-4:今回の補助金専用のシートです。振込先の事業所口座情報や、賃上げの要件を満たしているかどうかのチェック、誓約事項などを記入します 。
なお、補助金の振込口座は、原則として国保連に登録している介護給付費等の振込口座が使用されます 。
【重要】ファイル名のルール
大阪府の指定により、作成した計画書のエクセルファイル(様式2)を保存する際は、ファイル名を必ず以下のように変更してください。
ファイル名:障がい補助金 〇〇〇(法人名) (例:障がい補助金 大阪株式会社)
※ダウンロードしたエクセルファイルの名前を、上記のように書き換えてから提出フォームにアップロードします。
ステップ2:実績報告書の提出と資料の保管
補助金の支払いを受けた後は、実際にどのように職員へ配分したかを報告する「実績報告書」を提出する必要があります 。
- 報告内容:補助金の総額に対し、実際にいくら賃金改善を行ったかを記載します。改善額が補助金額を下回らないようにしなければなりません 。
- 資料の保管義務:計画の根拠となった就業規則、賃金台帳、労働保険の納付を証明する書類などは、2年間保存しておく必要があります 。都道府県から求められた際には、速やかに提示できる状態にしておきましょう 。
こんな時どうする?よくある疑問(Q&A)
制度が複雑な分、「うちは対象になるの?」「もし失敗したらどうなるの?」といった不安を感じることもあるでしょう。特によくある疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1:令和8年4月以降に新規開設した事業所は対象になる?
A:残念ながら対象外です。 この補助金は、人材流出を防ぐための「緊急的対応」として、令和7年12月の実績をベースに算出されます 。そのため、令和8年4月以降に新しくオープンした事業所については、この補助金の対象には含まれません 。
Q2:経営が悪化して、どうしても賃金を下げざるを得ない場合は?
A:「特別な事情に係る届出書」を提出する必要があります。 原則として、補助金をもらう代わりに元々の賃金水準を下げることは認められません 。しかし、利用者数の大幅な減少などで経営が赤字になり、事業を続けるためにやむを得ず給料を引き下げる場合は、都道府県知事に理由を届け出ることで例外が認められる場合があります 。この際、職員側としっかり話し合い、合意を得ていることが必須条件となります 。
Q3:補助金が「返還」になってしまうケースとは?
A:ルールが守られなかった場合、返還を求められることがあります。 以下のようなケースでは、すでに受け取った補助金の一部、または全部を返さなければなりません 。
- 補助額の全額を賃金改善に使わなかった場合
- 期限内に「誓約」した内容(加算の取得や職場環境の整備など)が守られなかった場合
- 労働基準法などの法律を守っていなかった場合
- 嘘の申請や不正な手段で補助金を受け取った場合
Q4:他の事業所の赤字補填に回してもいいの?
A:同じ法人が運営する「対象事業所」の間であれば、融通が利きます。 例えば、A事業所で算出された補助額を、同じ法人が運営するB事業所(こちらも補助対象であること)の賃金改善に充てるといった使い方は可能です 。ただし、あくまで「人件費(賃金改善)」に使うことが絶対条件であり、事業所の設備投資や光熱費などの経費に回すことはできません 。
大阪府の「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」は、現場を支えるスタッフの皆さんへの感謝を形にする大きなチャンスです。要件や期限を正しく理解し、スムーズな申請を目指しましょう。
まとめ:早めの準備と要件確認を
今回の「障害福祉従事者処遇改善緊急支援事業」は、現場で働く皆さんの処遇をいち早く改善するための、国と大阪府による極めて重要なプロジェクトです 。令和8年度の大きな報酬改定を待たずに行われるこの緊急措置は、人材不足が深刻な障害福祉現場にとって、職員の離職を防ぎ、新しい仲間を迎え入れるための力強い後押しとなります 。
スムーズな受給のためのポイント
申請を検討されている事業者様が、今すぐ取り組むべきことは以下の3点です。
- 自社の対象サービスと交付率の確認:障害福祉サービスだけでなく、児童福祉や相談支援など、自社が運営するどの事業所が対象になり、どれくらいの補助が見込めるのかを正確に把握しましょう 。
- 「誓約」を活用した要件の整理:現時点で職場環境の項目数などが足りていなくても、令和8年度中の実施を「誓約」することで申請は可能です 。焦らず、まずは要件を一つずつチェックしてください。
- 職員への丁寧な周知:この補助金は「全額を賃金改善に充てる」ことが絶対のルールです 。どのような形で給与に反映されるのか、職員の皆さんに書面などで分かりやすく伝え、職場全体のモチベーション向上につなげてください 。
大阪府のスケジュールを忘れずに
大阪府では、令和8年2月16日(月)までに申請を完了させることで、3月末という早い時期に支払いを受けることが可能になります 。また、最終的な申請期限は令和8年4月30日(木)までとなっています。
手続きには「一体化様式」というExcelファイルの入力が必要ですが、一度基本情報を入力すれば多くの項目が自動反映される便利な仕組みになっています 。
この支援事業を最大限に活用し、職員の皆さんがより一層やりがいを持って働ける職場環境を整えていきましょう。不明な点があれば、大阪府のホームページや最新の通知をこまめに確認し、早めの準備を心がけてください。