障害児通所支援における多機能型事業所とは?

多機能型事業所とは児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、障害者総合支援法に係る事業(生活介護、就労継続支援A型、B型など)の内2つ以上の事業を一体的に行う事業所です。今回は多機能型事業所の中でも組み合わせの多い「児童発達支援+放課後等デイサービス」を例に挙げてメリット、デメリット、指定要件を説明します。

「児童発達支援+放課後等デイサービス」多機能型事業所のメリットデメリットとは?

メリット

・「人員配置基準に関する特例」「設備基準に関する特例」「利用定員に関する特例」と3つの特例を受けることが出来ます。(内容については後で説明します。)

・0歳から6歳までは「児童発達支援」、6歳から18歳までは「放課後等デイサービス」と利用者にとっては同日事業所で一貫性のあるサービスを受けることが出来ます。また、事業者側にとっても利用者を長期間に渡って確保することが出来ます。(就労継続支援A型とB型の多機能型事業所、就労継続支援A型と就労移行支援の多機能型事業所にも同じことが言えます。)

・「開所時間減算」を避けることが出来ます。児童発達支援や放課後等デイサービスを単独で行う場合、営業時間が6時間未満の場合所定単位の15%から30%の減算対象となります。多機能型事業所の場合、2つの時間の営業時間を合算して6時間以上を確保すれば減算は避けられます。

デメリット

・「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の2つを行う場合、幼年から少年、青年が通うため、怪我やトラブルなどの安全面の配慮が必要です。

・両事業の従業員の兼務が可能なため(後で説明します)、従業員の負担が大きくなります。

・多機能型事業所はすべての事業を合算した利用者数により報酬を算定します。従業員の兼務により人員を削減できる分、単独で事業を行う場合より報酬単価が下がる場合があります。

3つの特例とは?

多機能型事業所を行う場合の大きなメリットとして「人員配置基準に関する特例」「設備基準に関する特例」「利用定員に関する特例」の3つがあります。それぞれについて説明してゆきます。

人員配置基準に関する特例とは?

利用定員が「児童発達支援」「放課後等デイサービス」の合計で20名未満の場合、常勤の従業員が単独で行えばそれぞれに1名以上必要なところ、多機能型事業所にすることにより事業所全体で1名以上の配置で行えます。また、両事業の必要な従業員を兼務させることも出来ます。

設備基準に関する特例とは?

サービス提供に支障をきたさない程度で、両事業の設備を兼用させることが出来ます。但し、訓練・作業室に関しては兼用が出来ません。

利用定員に関する特例とは?

両事業をあわせて利用定員を10名以上とすることが出来ます。また、主として重症心身障害児を利用者とする事業所の場合、利用定員を5名以上とすることが出来ます。

多機能型事業所として指定を受けるための要件とは?

多機能事業所として指定を受けるためには下の6つの要件を満たす必要があります。

①事業所の利用申し込みにかかわる調整・職員に対する技術指導などが一体的であること。

②勤務体制・勤務内容が一元管理されており、異なる事業所間で相互支援が出来る体制が整っていること。

③損害賠償や苦情に対する処理について一体的に対応がとれること。

④事業の目的・運営方針・営業日・営業時間・利用料金などを定める同一運営規定が定められていること。

⑤勤務条件(福利厚生・人事・給与など)による職員の管理と事業所の会計のどちらもが一元管理されていること。

⑥異なる場所でサービス提供をする場合、事業所間が約30分以内で移動が可能な距離にあり、なおかつ児童発達支援管理責任者が業務を遂行するにあたり支障がないこと。